海賊のまとめ


「待ってください、私…あ、ダメっ!」


[#dn=1#]は、乱れた着衣を必死に手で抑えながら、
目の前の赤に許しを請う様な視線を向けた。
それに対して、男は額に血管を浮かせ眉毛を深く顰めながらも
伸ばした手をゆっくりと引いた。


「いい加減観念しやがれ」

「えっと私、一応聖職者の生まれなので、その…結婚前にそういう事をすると、教えに反してしまうので…な~んて…」


[#dn=1#]とキッドは恋人同士だ。
敵海賊との戦闘の際に、[#dn=1#]と出会ったキッドは
海賊団を壊滅させた上で強引に[#dn=1#]を略奪した。
そこから、キッドの強引ながらに、
不器用な愛を向けられた[#dn=1#]は、
絆された結果交際することになったのだが、
如何せん[#dn=1#]が聖職者の両親の元に生まれた為、
今も尚教会の教えを守っていた。


[#dn=1#]が仕える神の教えによれば、
信徒は須らく神に仕える身の為、
婚前交渉又並びに欲を満たす為の性行は
戒律に反すると定められていた。


しかし、実際は[#dn=1#]自身そこまで厳粛な信徒ではなかった(そも、自身で故郷を滅ぼし海賊の頭と結ばれた時点で
貞淑な信徒とは言えない)


教えに反する事よりも、キッドと身体を重ねることに
対することに恐怖心があった。
日頃からキッドの大きすぎる愛を向けられているからこそ、
[#dn=1#]は確信していた。
きっと、1度彼に抱かれたから2度と彼のそばから繋がれて、
壊されてしまうのではないか、と


「気に食わねえな」


キッチンは舌打ちを落としながら、
[#dn=1#]の肩を掴み自身の胸元に引き寄せた。
白く柔らかな[#dn=1#]の肌に、キッドの黒のマニキュアにより
彩られた爪が食込む。
それは、自身の中にある苛立ちと[#dn=1#]への想いとの間に
葛藤することを表してるかのようだった。


「俺は、海賊だ。海賊は欲しいもんはどんな手段を使っても、
奪い取る。お前を手に入れる為なら、俺がその神を殺してやる」

「キッド…」

「だから、さっさと堕ちろよ[#dn=1#]」


キッドという男は、海賊らしい海賊だった。
海兵、敵海賊、時には民間人に対しても容赦がなく、
己の強さへの渇望を抱き強者に挑むそんな男だ。
だが、そんな男が自分よりも弱い一人の女に執着する。
噛み付くようなキス。
全てを射ぬかんとする鋭い視線、
横暴な言葉それら全ての中に隠された縋る様な想い。


[#dn=1#]は、目の前の男と共に地獄へ落ちる事を選んだ。


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