私の太子様
聖徳太子と小野妹子が、遣隋使として隋に旅立ってから数か月。
二人は、無事に倭国への帰還を果たした。
二人の働きにより、倭国と隋の国交関係が結ばれ、晴れて倭国は独立国として認められた。
悔しがる[#dn=1#]の父親に対して、人を舐め切った表情を浮かべながら
[#dn=1#]との婚約を認める様に迫ったところ、
「大変不本意だ」「一回りも下の娘にしか好かれないロリコン摂政」等の
呪いの言葉を吐きながらも、父は二人の結婚を認めた。
その後、数か月にも及ぶ婚姻の儀の為の準備が始まり、無事に儀式当日を迎えた。
式自体はつつがなく終わったのだが、如何せん拘束時間が長い。
天皇の挨拶から始まり、来賓の挨拶、夫婦となる誓いの儀等
朝から始まった儀式が終わったのは、夜になってからであった。
くたくたになった身体を引きずりながら、二人は夫婦用にと用意された屋敷へ向かったのだが、
部屋の扉を開けると、そこには一組の布団が敷かれていた。
室内は、香の甘い匂いで満たされており、火のついたランプの灯が
怪しげに揺らめいていた。
「な、なななななこれは…!!!」
「太子様…」
太子と[#dn=1#]は互いに顔を見合わせた。
お互い、異性との関係を持つことが少なかったが、
今目の前に広がるこの光景の意味は当然理解できる。
自分達は、本日を以って正式な夫婦となった。
そして、今は夫婦になって初めての夜。つまり、そういうことであるのだ、と。
「と、とりあえず中で休むとするか!いや、別に変な意味ではなくな!」
「そ、そうですね!そうしましょう!」
二人共、顔を赤くしながら部屋に入ることにしたが、
どうすればいいのか分からないので、ひとまず布団の上に腰を下ろした。
互いに無言のまま向かい合う中、太子は目を閉じて、脳内でどうやればスマートに[#dn=1#]を誘えるのかについて考えていたが、
彼女いない歴=年齢の為一向に思いつかなかった。
「太子様」
「…ん、あぁ、どうし…って、ちょ、おま!!?」
太子が、一人悩む中、不意に[#dn=1#]に名前を呼ばれたので、
顔を上げたら[#dn=1#]は、何かを決心したような表情で、立ち上がり、
着物の帯を取り始めた。パサっと床に落ちた着物、目の前には[#dn=1#]の白く曲線を帯びた美しい身体が現れた。
太子は、初めて見る女体から目を離せずにいられなかった。
そんな太子の熱い視線に気付いた[#dn=1#]は、クスリと笑って
座っている太子の膝の上に跨り、甘えるように首に手を回してきた。
「太子様、遠慮しないでください。私はもう、太子様のものですから」
「[#dn=1#]…」
「不束者ですが、よろしくお願いいたします…太子様」
「っ、![#dn=1#]っ!!」
太子は、布団の上に[#dn=1#]を押し倒した。
そして、[#dn=1#]の唇に己の唇を重ねた。
触れるだけのキスから、徐々に互いに舌を絡め貪り合う様な激しいキスへと変わっていく。
「ん、ぅ…はぁ、太子様…すきぃ」
「私もだ…好きだ、[#dn=1#]!」
互いの手を絡めながら、何度も何度もキスをする。
これまで想い合いながらも、結ばれることはないと諦めていた。
だが、今こうして愛する人と夫婦となれた。
その喜びを噛みしめながら、二人は目の前の幸福に身を沈めた。