ポケモンまとめ


ライジングボルテッカーズを出て行った[#dn=1#]が、
無事に船に戻ってきてから数日が経とうとしていた。
何故、家出したのか仲間達から聞かれたが、
それについて答えることはできなかった。
あの日、フリードは[#dn=1#]への想いに今は答えれられないが、
[#dn=1#]自身の事をもっと知りたいと言った。
勝手極まりないフリードの発言に戸惑いながらも、
船に戻ることを決めたものの、やはり戻るべきではなかったのでは、と
ここ数日毎日悩んでいる。
しかし、この男はそんな[#dn=1#]の苦悩等お構い無しと言わんばかに、以前と変わらない様子である。

「[#dn=1#]、おはよ」
「お、おはようございます、フリードさん」
「ん、ほら早くしねえと朝飯冷えちまうぞ」

食事をする時、[#dn=1#]はいつもフリードの隣に座っていたので、
フリードの声掛けに大した意味はない筈だが、
フリードのあの発言のせいで、1つ1つの言動に対して
何か特別な意味があるのでは、と勘ぐってしまう自分が[#dn=1#]は嫌いだ。
だが、無駄に波風を立てるのはご法度だと考え自然を装い隣に座ることにする。

「いただきまーす」

手を合わせてから、食べ始める。
マードックの作る食事はどれも美味しいが、特にこの手作りクロワッサンが[#dn=1#]お気に入りだ。
口に入れた瞬間、広がるバターの芳醇な香りと甘み、外はサクサク、
中はふわっと膨らむ生地が抜群のシンフォニーを奏でる。
[#dn=1#]が、味わって食べている時、隣から視線を感じたので見上げると、
フリードがじっと[#dn=1#]の事を見つめている。
[#dn=1#]が、その事に気付くとフリードは笑みを浮かべた。

「[#dn=1#]って美味そうに食うよな」
「え、そうですか?」
「俺のも半分食うか?」
「いやいや、大丈夫ですよ!」
「遠慮するなって!なんか、[#dn=1#]が食ってるの可愛いし。デデンネみたいっていうか」
「か、かわっ!?」
「ほら、遠慮してないで食え食え!」

フリードから、半分に千切ったクロワッサンを手渡されたので、
仕方無しに食べ始めると、その姿をフリードは頬杖をつき、身体毎[#dn=1#]に向けた。

「美味いか?」
「…はい、」
「そっか、なら良かった」

なんで、そんな優しそうな視線を向けてくるのか。
さっきまで美味しく味わっていたクロワッサンの味が分からなくなった
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