呪術のまとめ
机の上に置かれた白い菊の花
ブス、死ね等と書かれた机
持ち物がなくなるのは当たり前
理不尽な理由で水をかけられたりする毎日
最初は少しの間我慢すれば、いつか終わると思っていた。
だけど、地獄のような日々が終わることはなかった。
何故、こんな事になったのか。それは、私が「視える」から。
小さい頃から、ソレが見えていたから、
他の人にも視えるのだと思っていたけれど、
どうやら違うらしくて。
大きくなってからは、視える事を隠していたけど、
偶々下校している時に泣いている女の子がいたから
声をかけて、行くべき場所を教えてあげたら、
それをクラスの子達に見られてしまった。
「気持ち悪い」
と、次の日から私への苛めが始まってしまった。
けして多くない友達もいなくなり、
イジメは日毎にどんどんエスカレートしていく。
時々「このまま死んじゃいたいな」と考えていたけど、
もう限界かもしれない。
屋上の扉を開きフェンスの外側へ足をかける。
見下ろすその先は、とても高く感じる。
このまま一歩足を踏み出せば全てが終わる。
そう考えれば、少しだけ恐怖心が揺らいだ気がする。
お父さん、お母さん、親不孝者でごめんなさい。
そして、私は一歩踏み出した。
身体は一瞬宙に浮くものの重力に従いゆっくりと落ちていく。
衝突した時の衝撃と痛みはどんなものなのか、
少しだけ怖いな。そう思って目を瞑った。
だけど、一向に予想していたものは来なくて。
代わりに何か温かい感触とお香の匂いがする様な気がして、
恐る恐る目を開けると私の身体は何かの上に乗っていた。
「やぁ、こんにちは」
「…あ、あの…どちら様ですか?」
「私かい?んー…まぁ、君にとっての王子様といったところから」
「王子、さま…?」
「そう、私はね君を迎えに来たんだよ」
君は、視える側の人間だろ?
袈裟姿のお坊さん?は、私の秘密を言い当てた。
私とは初対面のはずなのに、どうしてと質問しようとしたら
お坊さんに抱きしめられた。
動揺する私の背中をトントンと優しく叩いて、
頭を撫でられた。
「君はね、選ばれた人間なんだ。君に酷い事をする奴らは才能のない猿なのさ。だが、私が来たからもう大丈夫。君にとっての地獄を終わらせてあげるよ」
お坊さんは、小さく指を鳴らした。
その瞬間、大きな音と共に私の目の前に黒く禍々しい
何かが現れた。そして、ソレは校舎へと向かった。
中から沢山の人達の悲鳴が聞こえる。
逃げ惑う生徒と、それを追いかけ捕食するソレ。
その光景は、正に地獄絵図だった。
「ほら、これで君はもう自由の身だ。
のような人間を探していた。私と共に来てくれるかい?」
その手を取ってはいけない、と
頭の中で警報がけたたましく鳴り響く。
同時に、お坊さんの後ろにさっきのソレよりも
ずっと黒く歪んだ何か達が見える。
きっと怖い人なんだろう、
頭ではわかっている筈なのに私はその手を取ってしまった。
「よろしく、[#dn=1#]」