遊戯王ゴーラッシュ!!の男主攻め
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数ヶ月前、私は町中で大怪我をして倒れていたある男を見つけた。男の名は、ゆめおと言い自分の名前以外何も覚えていない所謂記憶喪失の状態であった。己の出自も何も分からない状態で、見慣れぬ土地に1人というのはあまりにも不憫すぎるし、万が一ゆめおが宇宙人による被害者だった場合MIK総帥として問題解決に至るべきだと考えた私は、ゆめおを屋敷に招き入れる事にした。
ゆめおは、見た目は地球人そのものであった。何故か食事をあまり行わないという点以外は。その理由を尋ねても、理由は分からないが食べられないのだ、と言う。何とかゆめおでも食べれるものはないか、探す中で唯一ゆめおでも食べれるものが見つかった。それは、トマトジュースだった。私は、早速使用人に頼み高級トマトをふんだんに使ったトマトジュースを毎日飲ませることにした。
「いつもごめんな、フェイザー」
「いいんだ、気にするなゆめお」
ゆめおはいつも謝る。記憶喪失の自分に対して親切にしてくれるのに迷惑を掛けて申し訳ないと。私はゆめおの力になってやりたかったので、仕事の合間を縫ってゆめおに関する情報がないか調査もした。思えば、この時から私はゆめおの事が気になっていたのだろう。
そんなある日、数日間立て込んでいた仕事が終わった私が屋敷に戻ると使用人から、ゆめおが数日間部屋に引きこもっていると聞いた。急いで駆け付けると、部屋には鍵がかけられていた。
「ゆめお、どうした!?体調でも悪いのか」
部屋の中から返事は聴こえないが、微かにうめき声が聴こえる。そんなに苦しんでいるのか、と私は酷く胸が締め付けられた。何とかゆめおの力になりたい、その一心で俺は部屋の中のゆめおに呼び掛けた
「ゆめお、私にできる事はないか?お前の力になりたいんだ」
少しの沈黙の後に、静かに扉が開いた。扉の向こうから見えたゆめおの姿に安堵したのも束の間、私は腕を掴まれそのまま強い力で部屋の中に引き摺り込まれた。照明も何も付けていない為、辺りは何も見えないが微かにゆめおの気配を感じる。
「フェイザー…お前、なんで」
「ゆめお?」
「そんなに美味そうな匂いがするんだよ」
「っ!お、おいゆめお!何をする!」
私は、扉に身体を強く押し付けられた。何とかこの拘束から抜け出そうとするものの、ゆめおが私の手首を掴んでいる為逃げ出せない。
「お前に初めて会った時から、ずっとずっと思っていた。何でかは分からねえけど、無性にお前が美味そうに見えていた」
ゆめおの顔が私の首元に近づいてきた。そして、首筋に唇を押しあてたかと思えば鋭い牙をゆっくり私の皮膚に突き当てた。
「ぐぅ…、っ!」
そして、まるで飲み物を飲むかのように私の血を吸い始めた。まさか、ゆめおは吸血種の宇宙人だとでも言うのかいや、違う、そんなの認めたくない。ゆめおが宇宙人だなんて。だが、今私の身で感じている痛み、熱さ、そして微かな快楽はゆめおが地球人ではないことを示す。
「は、…あ、っ!…んぅ…」
拒まなければ、そう頭では理解しているつもりではあるがゆめおがあまりにも美味しそうに私の血を吸うから、引き離すのが可哀想に思えたのだ。ゆめおはいつも腹を空かせていたから、私の血で腹を満たせるのであれば、その想いで私はひたすらこの行為に耐えた。私が無意識にゆめおの服の裾を掴むとゆめおが指を絡めてきた。ゆめおにとって何の意味もないのだろうが、それだけの事が私は嬉しかった。あぁ、私は弟を守る為にMIK総帥となり、宇宙人からこの六葉町の平和を守らねばならないのに、たった1人の宇宙人にこうもあっけなく身も心も落とされてしまうなんて。
「ゆめお、…」
遠退く意識の中、無意識にゆめおの名を呟いたら、ゆめおの声が聞こえた気がした。
**************
目を覚ますと、そこにゆめおの姿はなかった。トレモロに聞くと血相を変えたゆめおが、意識を失った私を抱えてきたのだという。その後「全部思い出した」一言そう言って、どこかへ立去ったらしい。私はすぐさまベッドから起き上がろうとしたが、視界が歪み身体に力が入らなかった。ゆめおに血を吸われた後遺症なのだろう。
「兄さん!だめだよ、まだ万全じゃないんだから!」
心配してくれる弟の声が、今は遠くに聞こえる。それだけ、私の意識はゆめおに集中しているからなのだろう。MIK総帥たる私が、1人の異星人に心を支配されてしまうなんてとんだ笑い草であるが仕方ないだろう。私は、本気でゆめおの事が好きになってしまったのだから。
「トレモロ…直ぐにMIK隊員全員に伝えてくれ。ゆめおを探し、見つけ次第拘束しろ、と」
きっと、優しいゆめおの事だ。責任は自分にあると感じ私の前から姿を消したのだろう。だが、そんな事私が許さない。ここまで私の心を奪っておきながら、黙っていなくなるなんて。ましてや、ゆめおの事を想って私自身が黙って身を引いてなどやらん。私は童話に出てくる人魚姫ではないのだからな。
「絶対に逃さないからな、ゆめお!」