ワンピースの男主攻め
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目の前に広がる光景にゆめおは己の目を疑った。
地に伏せる二人の仲間と、その傍らで笑みを浮かべている恋人
状況から察するに、彼女がこの状況を作り出した元凶なのだろうが、
俄かには信じられない。いや、信じたくないのかもしれない。
「お前、二人を殺したのか?」
あくまで冷静を装って尋ねるも、微かにその声は震え、頬を汗が伝う。
同じ諜報部員と言っても、ルッチとカクはゆめおよりも格上の強者だ
そんな二人を、不意打ちとはいえ一瞬で倒す程の相手に
自分が戦ったところで勝てる見込みは少ない。ゆめおの身体に緊張が走る。
「殺してはいないわ、二人には眠ってもらっただけ」
その言葉を聞いてゆめおは、少し安堵した。
ルッチとカクは二人共年齢が近いこともあり、ゆめおにとって仲間であり友人の様な存在だからだ。
だが、安堵したのもつかの間ゆめおは目の前でほほ笑む彼女を睨み付けた。
「裏切ったのかよ、俺達を」
「そんな怖い顔しないで、ゆめお」
ゆっくりとゆめおに近づくステューシーに対してゆめおは身構えた
今まで彼女が能力を使った姿を見たことがない故に、何の能力者かは分からない。
だが、少なくとも接近戦タイプであることは分かった。
彼女に噛まれた者は、恐らく血液を介して毒等を仕込まれるのであろう。
ならば、距離を取りながら戦えばいい。幸いにもゆめおは銃器を用いて戦う中距離タイプだ。
ゆめおは懐に仕舞っていた自身の銃を取り出し、銃口を彼女に向けた。
「あら、私に対して銃を向けるの?」
「…お前の行為は、ベガパンク達への利敵行為に値する」
「貴方に私が撃てるのかしら?」
「う、うるせぇ!」
ステューシーは、銃口を向けられている状況にも関わらず一切焦りを見せず、
全てを見透かした様な笑みをゆめおに向ける。
何故なら、ゆめおが自身を殺すことはないと確信しているからだ。
ゆめおは、そんな彼女の言葉に動揺してしまい、照準が定まらないまま発砲してしまった。
銃弾は、ステューシーではなく背後の建物の壁に打ち込まれた。
「ふふっ、ゆめおダメよ。引き金を引く時は、狙いを定めてから撃ちなさいと、教えたでしょう」
ほら、こういう風に。ステューシーはゆめおの手に握られた銃を自身の胸に押し当てた。
「お前、何やって…!」
「あら、裏切り者である私を撃つのでしょう?だから、手伝ってあげようと思ったの」
「そ、そんなの…」
「出来ないの?」
「う”っ…」
「全く…本当貴方って甘いんだから」
まぁ、そんな所も可愛いんだけど。ステューシーはゆめおの頬に手を伸ばした。
そして、愛おしそうに撫でる。ゆめおは手にしていた銃を下ろすことしか出来なかった。
「俺の事も騙してたのかよ…」
「貴方の事を愛しているのは本当よ、ルッチ達の事も仲間だと思ってる」
「じゃぁ、なんで裏切ったんだよ」
「私にとって大切な人を守る為よ」
「…知らねぇよ、そんなこと」
ゆめおはステューシーの身体を力いっぱい抱きしめた。
彼女に対する想いと諜報部員である己の立場の間でせめぎ合う葛藤を押し付けるかのように。
「…裏切り者は殺さなくちゃならねぇけど、だけどやっぱり俺には無理だ、お前を殺すなんて…」
「もう…泣いちゃだめよ。男の子でしょ?」
ステューシーは、子どもをあやすようにゆめおの背中に腕を回し優しく撫でる。
彼女がどんな人物なのか、どんな秘密を抱えているのかは分からない。
それでも、ゆめおの中のステューシーへの思いは変わらなかった。
「俺、どうすればいいのか分かんねぇよ」
自分の事を抱きしめながら、その肩に顔を埋めながら涙を流すゆめおに対して
ステューシーは申し訳なさを感じると同時に、
涙を流す程自分を愛してくれているのだと喜びが込み上げてきた。
「…なら、私と一緒に来る?ゆめお」
ステューシーは、ゆめおに対して選択肢を与えた。
裏切り者である自分と共に来るかという。
ゆめおは少し迷う素振りを見せてから、小さく頷いた。
「ありがとうゆめお」
ゆめおは自身が纏っている純白の正義を脱ぎ捨て、
ステューシーと共に裏切りの道へ歩みを進めていった。