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ついに、この日が来てしまった。
目が覚めて1番最初に夢主さんの脳裏に過ったのは、
絶望と悲嘆であった。
万が一、まだ今日がその日でない事を祈りながら
部屋の壁に貼っているカレンダーに目線を向けると、
今日の日付に大きな赤丸が書かれている。
それを見た夢主さんは肩を落とした。
「ホワイトデーが、来ちゃった…」
夢主さんは、休みたいという衝動を抑えながら
何とかベッドから起き上がる。
正直、憂鬱ではあるが授業は休めない。
その一心で通学の準備を始めようとした時、
夢主さんのPDAにメールを受診した通知音が鳴った。
メールの送り主の名前を見て、夢主さんの心は大きく跳ねた。
「今日の放課後、予定空けておけよ!」
送り主は、十代であった。
夢主さんはその場に力なく座り込んでしまう。
あぁ、どうしよう。今まで目を逸らしていた物と向き合わなければいけない。
どうすればいい、いっそのこと今すぐ消えてしまいたい。
夢主さんは、冷静な思考を失っていた。
「バレンタインデーにチョコなんて渡さなければ良かったぁああ!!」
夢主さんの悲痛な叫びは、自室に響き渡った。
何故、夢主さんがここまで苦悩しているか。
その理由は、1ヶ月前のバレンタインデーに十代にチョコを渡したことにある。
夢主さんは十代に片想いをしている。
だが、告白する勇気はないので、バレンタインデーという機会を活用し、自分の想いをチョコに込め、
それを渡す事で潔くこの恋を終わらせようと決意した。
色恋沙汰に疎い十代だ、バレンタインデーすら知らないだろうと夢主さんは目論んでいたが、1つの大きな誤算が生まれた。
「なぁ、これ俺への本命チョコか?」
十代に、素知らぬ顔でチョコを渡して終わらせるつもりだったのに、
本人から本命チョコか否かと尋ねられたのだ。
想定外の出来事に夢主さんがフリーズしていると
十代は口元をニヤつかせながら夢主さんに再度尋ねた。
「これ、俺への本命チョコなんだな?」
「………はい」
「…!そっか、本命か…」
「あ、あの本当ごめんなさい、これはやっぱりなかったことに…」
「何言ってるんだ?今更そんなの無理に決まってるだろ!」
「ぅ、ぁ…」
「そんな顔するなよ!来月楽しみにしておけ!な?」
「来月?」
「おぅ!あ、やべ!今日は翔とデュエルの約束してるんだった!悪い、俺行くわ!」
「あ、待って十代!」
夢主さんは、十代の言葉の真意を尋ねようとしたが
十代は風のようにその場からいなくなってしまった。
これが、1ヶ月前に起きた出来事である。
その日以来、夢主さんは何をするにも十代の発言について考えてしまい、
何も手につかなくなっていた。
そして、当日が近付く程、時間差で断られるのでは、
というネガティブな考えが頭を過るようになっていた。
「殺すなら、一気に殺してほしい…」
そんな物騒な呟きを発するぐらい、夢主さんは追い詰められ始めていた。
だが、現実は残酷だ。気づけば、もう登校しなければいけない時間が迫ってきている。
部屋を出る直前、夢主さんは扉の前で立ち止まる
神様、仏様、キングオブデュリスト様
誰でもいいので、どうか私を守ってください。
夢主さんは、そう心の中で願った。
*********************
「お、いたいた!おーい、夢主さんー!」
最後の授業を終えてしまった、と夢主さんが1人絶望の表情を浮かべていた時、
タイミングを見計らったように、十代本人から声を掛けられた。
まるでアンティーク・ギア・ゴーレムになったかのようにぎこちない動きで振り返ると、
満面の笑みを浮かべた十代が、夢主さんに向かって手を振っているのが見える。
「夢主さん、これからちょっと話がしてぇんだけど、いいか?」
「……それって、絶対聞かなきゃダメ?」
「当たり前だろ!大事な話なんだから」
大事な話と言われ、夢主さんの身体に一気に緊張が走る。
きっと、十代は先月の返事をする気なのかもしれない。
恐らくお断りの返事だ。
あぁ、いやだ聞きたくない…聞いてしまったら、
もう明日から十代と友人でいられなくなる。
そう考えたら、夢主さんの身体は自然と動いていた
「あっ!おい、夢主さんどこに行くんだよ!」
「お腹痛くなったから帰ります!!」
「腹痛えのに走れるっておかしいだろ!?」
十代からの至極真っ当なツッコミを聞き、
たしかに!と同意しつつ夢主さんは、走り出した。
十代から逃げる為に。
だが、男と女では体力の差は歴然としており、
あっという間に夢主さんは十代に追いつかれてしまった。
それでも、何とか逃げようとする夢主さんを
十代は廊下の壁に追い詰め、夢主さんの顔の脇に両手をつく形で退路を塞いだ。
いよいよ逃げ場をなくした夢主さんは、
十代と目線が合わないように、懸命に逸らそうとするものの、
十代により無理矢理目線が合うように頬を掴まれた。
「これで逃げられないぜ、夢主さん」
「う、うぅ…!!」
「なっ!?どうしたんだよ、急に泣き出したりして!
あー、もう泣くなってば!」
「やだぁ!お断りの返事なんてぎぎだくな”い”ぃ”ぃ”!!!」
夢主さんは、瞳から大粒の涙を流し始めた、
そんな彼女を見て十代はある言葉に引っかかりを覚えた。
「断るって、何のことだ?」
「え、?」
「お前、なんか勘違いしてねえか?」
そう言うと十代は、制服のポケットから可愛らしい小袋を取り出し、夢主さんに手渡した。
「トメさんや明日香達に教えてもらいながら、俺が作ったんだ!まぁ、お前がくれたのと比べたら上手くねぇけどさ、」
「これを、私に…?」
「おう!」
あの十代が、わざわざ手作りしてくれた。
それだけで渡された小袋が愛しく思えた。
感慨深く見つめる夢主さんを見た十代は、
彼女の耳元に顔を寄せて囁いた。
「なぁ、知ってるか?ホワイトデーにチョコを
渡すのって、お前と同じ気持ちって意味があるらしいぜ」
目が覚めて1番最初に夢主さんの脳裏に過ったのは、
絶望と悲嘆であった。
万が一、まだ今日がその日でない事を祈りながら
部屋の壁に貼っているカレンダーに目線を向けると、
今日の日付に大きな赤丸が書かれている。
それを見た夢主さんは肩を落とした。
「ホワイトデーが、来ちゃった…」
夢主さんは、休みたいという衝動を抑えながら
何とかベッドから起き上がる。
正直、憂鬱ではあるが授業は休めない。
その一心で通学の準備を始めようとした時、
夢主さんのPDAにメールを受診した通知音が鳴った。
メールの送り主の名前を見て、夢主さんの心は大きく跳ねた。
「今日の放課後、予定空けておけよ!」
送り主は、十代であった。
夢主さんはその場に力なく座り込んでしまう。
あぁ、どうしよう。今まで目を逸らしていた物と向き合わなければいけない。
どうすればいい、いっそのこと今すぐ消えてしまいたい。
夢主さんは、冷静な思考を失っていた。
「バレンタインデーにチョコなんて渡さなければ良かったぁああ!!」
夢主さんの悲痛な叫びは、自室に響き渡った。
何故、夢主さんがここまで苦悩しているか。
その理由は、1ヶ月前のバレンタインデーに十代にチョコを渡したことにある。
夢主さんは十代に片想いをしている。
だが、告白する勇気はないので、バレンタインデーという機会を活用し、自分の想いをチョコに込め、
それを渡す事で潔くこの恋を終わらせようと決意した。
色恋沙汰に疎い十代だ、バレンタインデーすら知らないだろうと夢主さんは目論んでいたが、1つの大きな誤算が生まれた。
「なぁ、これ俺への本命チョコか?」
十代に、素知らぬ顔でチョコを渡して終わらせるつもりだったのに、
本人から本命チョコか否かと尋ねられたのだ。
想定外の出来事に夢主さんがフリーズしていると
十代は口元をニヤつかせながら夢主さんに再度尋ねた。
「これ、俺への本命チョコなんだな?」
「………はい」
「…!そっか、本命か…」
「あ、あの本当ごめんなさい、これはやっぱりなかったことに…」
「何言ってるんだ?今更そんなの無理に決まってるだろ!」
「ぅ、ぁ…」
「そんな顔するなよ!来月楽しみにしておけ!な?」
「来月?」
「おぅ!あ、やべ!今日は翔とデュエルの約束してるんだった!悪い、俺行くわ!」
「あ、待って十代!」
夢主さんは、十代の言葉の真意を尋ねようとしたが
十代は風のようにその場からいなくなってしまった。
これが、1ヶ月前に起きた出来事である。
その日以来、夢主さんは何をするにも十代の発言について考えてしまい、
何も手につかなくなっていた。
そして、当日が近付く程、時間差で断られるのでは、
というネガティブな考えが頭を過るようになっていた。
「殺すなら、一気に殺してほしい…」
そんな物騒な呟きを発するぐらい、夢主さんは追い詰められ始めていた。
だが、現実は残酷だ。気づけば、もう登校しなければいけない時間が迫ってきている。
部屋を出る直前、夢主さんは扉の前で立ち止まる
神様、仏様、キングオブデュリスト様
誰でもいいので、どうか私を守ってください。
夢主さんは、そう心の中で願った。
*********************
「お、いたいた!おーい、夢主さんー!」
最後の授業を終えてしまった、と夢主さんが1人絶望の表情を浮かべていた時、
タイミングを見計らったように、十代本人から声を掛けられた。
まるでアンティーク・ギア・ゴーレムになったかのようにぎこちない動きで振り返ると、
満面の笑みを浮かべた十代が、夢主さんに向かって手を振っているのが見える。
「夢主さん、これからちょっと話がしてぇんだけど、いいか?」
「……それって、絶対聞かなきゃダメ?」
「当たり前だろ!大事な話なんだから」
大事な話と言われ、夢主さんの身体に一気に緊張が走る。
きっと、十代は先月の返事をする気なのかもしれない。
恐らくお断りの返事だ。
あぁ、いやだ聞きたくない…聞いてしまったら、
もう明日から十代と友人でいられなくなる。
そう考えたら、夢主さんの身体は自然と動いていた
「あっ!おい、夢主さんどこに行くんだよ!」
「お腹痛くなったから帰ります!!」
「腹痛えのに走れるっておかしいだろ!?」
十代からの至極真っ当なツッコミを聞き、
たしかに!と同意しつつ夢主さんは、走り出した。
十代から逃げる為に。
だが、男と女では体力の差は歴然としており、
あっという間に夢主さんは十代に追いつかれてしまった。
それでも、何とか逃げようとする夢主さんを
十代は廊下の壁に追い詰め、夢主さんの顔の脇に両手をつく形で退路を塞いだ。
いよいよ逃げ場をなくした夢主さんは、
十代と目線が合わないように、懸命に逸らそうとするものの、
十代により無理矢理目線が合うように頬を掴まれた。
「これで逃げられないぜ、夢主さん」
「う、うぅ…!!」
「なっ!?どうしたんだよ、急に泣き出したりして!
あー、もう泣くなってば!」
「やだぁ!お断りの返事なんてぎぎだくな”い”ぃ”ぃ”!!!」
夢主さんは、瞳から大粒の涙を流し始めた、
そんな彼女を見て十代はある言葉に引っかかりを覚えた。
「断るって、何のことだ?」
「え、?」
「お前、なんか勘違いしてねえか?」
そう言うと十代は、制服のポケットから可愛らしい小袋を取り出し、夢主さんに手渡した。
「トメさんや明日香達に教えてもらいながら、俺が作ったんだ!まぁ、お前がくれたのと比べたら上手くねぇけどさ、」
「これを、私に…?」
「おう!」
あの十代が、わざわざ手作りしてくれた。
それだけで渡された小袋が愛しく思えた。
感慨深く見つめる夢主さんを見た十代は、
彼女の耳元に顔を寄せて囁いた。
「なぁ、知ってるか?ホワイトデーにチョコを
渡すのって、お前と同じ気持ちって意味があるらしいぜ」