プラス②
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「待ってください、私…あ、ダメっ!」
ゆめは、乱れた着衣を必死に手で抑えながら、
目の前の赤に許しを請う様な視線を向けた。
それに対して、男は額に血管を浮かせ眉毛を深く顰めながらも
伸ばした手をゆっくりと引いた。
「いい加減観念しやがれ」
「えっと私、一応聖職者の生まれなので、その…結婚前にそういう事をすると、教えに反してしまうので…な~んて…」
ゆめとキッドは恋人同士だ。
敵海賊との戦闘の際に、ゆめと出会ったキッドは
海賊団を壊滅させた上で強引にゆめを略奪した。
そこから、キッドの強引ながらに、
不器用な愛を向けられたゆめは、
絆された結果交際することになったのだが、
如何せんゆめが聖職者の両親の元に生まれた為、
今も尚教会の教えを守っていた。
ゆめが仕える神の教えによれば、
信徒は須らく神に仕える身の為、
婚前交渉又並びに欲を満たす為の性行は
戒律に反すると定められていた。
しかし、実際はゆめ自身そこまで厳粛な信徒ではなかった(そも、自身で故郷を滅ぼし海賊の頭と結ばれた時点で
貞淑な信徒とは言えない)
教えに反する事よりも、キッドと身体を重ねることに
対することに恐怖心があった。
日頃からキッドの大きすぎる愛を向けられているからこそ、
ゆめは確信していた。
きっと、1度彼に抱かれたから2度と彼のそばから繋がれて、
壊されてしまうのではないか、と
「気に食わねえな」
キッチンは舌打ちを落としながら、
ゆめの肩を掴み自身の胸元に引き寄せた。
白く柔らかなゆめの肌に、キッドの黒のマニキュアにより
彩られた爪が食込む。
それは、自身の中にある苛立ちとゆめへの想いとの間に
葛藤することを表してるかのようだった。
「俺は、海賊だ。海賊は欲しいもんはどんな手段を使っても、
奪い取る。お前を手に入れる為なら、俺がその神を殺してやる」
「キッド…」
「だから、さっさと堕ちろよゆめ」
キッドという男は、海賊らしい海賊だった。
海兵、敵海賊、時には民間人に対しても容赦がなく、
己の強さへの渇望を抱き強者に挑むそんな男だ。
だが、そんな男が自分よりも弱い一人の女に執着する。
噛み付くようなキス。
全てを射ぬかんとする鋭い視線、
横暴な言葉それら全ての中に隠された縋る様な想い。
ゆめは、目の前の男と共に地獄へ落ちる事を選んだ。
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