出会いは最悪だった。
銃口を向けられたことが尾形さんとの出会いだった。
無理もない、未来から来たこんな怪しさ満点の女疑わないわけが無い。
私がこんな人間に出会ったとしたら迷いなく疑っていただろう。
私が苦し紛れに言った、
「尾形さんが今だと思った時に殺してください」
という一言からこの奇妙な関係は続いている。
始めはその日のうちに殺されるだろうと思っていたが案外そんなことはなかった。
それどころかこの1年間尾形さんは私を殺さなかった。
野宿が基本なせいでもあるが常に寝食を尾形さんと共にしているしそんなに多くはないが色々な話をした、楽しいことも悲しいことも。
尾形さんの家族の話を本人から聞いた時、尾形さんの奥に少しだけ触れる許可を得たような気がして嬉しかった。
それと同時に彼の境遇を知り、本人でもないのに胸が苦しくなった。
彼はきっと愛に恋焦がれているのだとそう思った。
そして、気づいた時には愛を渇望する彼のことを私は愛してしまっていた。
尾形さんと私の関係は殺す人と殺される人、それだけだ。
独りでいる彼のそばに居たい、彼が今まで受けることの出来なかった分私が彼を祝福したい。
隣に居る時間が増えれば増えるほど私は彼に惹かれていった。
夜が更けてきた頃、私と尾形さんは2人で焚き火を挟んで向かい合わせに座っていた。
会話は特にない。
会話なんてなくても居心地が良かった。
それは尾形さんも同じだと思う。
私はそう確信していた。
もう言ってしまおう。
尾形さんはきっと受け入れてくれる。
少しだけ笑って悪態をついてくるだろう。
「尾形さん、私貴方のことを愛していまs」
私が愛の告白を言い終わるよりも早く尾形さんの銃が火を吹いた。