スワロー島
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「…戻った」
「あっ、おかえりなさいローさん!んで、どーでした?マシュのやつ…」
家に入ると、シャチがもう街から戻ってきたようで出迎えてくれた。やはりあいつのことが気になるらしい、少し暗い顔をしながらソワソワと聞いてきた。
「…どうもこうもねぇよ」
「えっ?それってどういう…」
「たっだいまー!」
俺の後ろにあるドアが開きベポが入ってきた。恐らく散歩から帰ってきたであろう。
「…?どうしたの?ローさん、シャチ。なんか顔暗いね?何かあった??」
「な、なんだベポか驚かせやがって!」
「驚かしたつもりはなかったけど…」
「……ベポ、お前マシュに刀渡したか?」
「えっ、うん。マシュの持ち物だったから返したよ!」
やはりマシュの言っていた事は本当だったらしい。
「ベポお前か!マシュに刀渡したの!あいつ、刀持って森に入ってったぞ!」
「えっ?ど、どういうこと?」
混乱しているベポと詳しく知りたいらしいシャチに先程までの一部始終を話した。
話終わると、ベポの顔がサァッと青くなった。
「たっ、大変だ!!探しに行かなきゃ!」
「ま、待てよベポ!探してどうするんだ!?」
「どうするって…!そんなの連れ戻すに決まって」
「あいつの意思は固かった。今更連れ戻そうとしたところで素直に戻る気がしねぇ」
「だからって…!」
「…ちょっ、ちょっと待てよ!!」
シャチが声を荒らげると、ベポがピタッと止まった。
「さっきも言ったけど、連れ戻してどうするんだよ?マシュは元海賊じゃねぇか……俺はまだあいつと一緒にいるの怖ぇよ」
「……」
「…シャチ、それ本気で言ってるの?」
「……あぁ。」
「俺はマシュの事、受け入れてくれると思ってたよ、俺もミンク族でシャチ達にいじめられたけど…今はこうして一緒に住んでるじゃないか!!」
「!」
「元海賊だからなんだよ!マシュはそんな奴じゃないってことくらいわかるじゃないか!!」
「…ッ、!それでも!!この島の人達やお前らが万が一にでも傷ついたら…っ!俺は…!」
ベポとシャチが声を荒らげながらお互いの主張を話していく。シャチの言い分は最もだ、危険な奴じゃないと薄々わかっていても可能性が捨てきれ無い以上怖いものは怖いだろう。
…というより、俺たちが傷つけられるのが怖いんだろうな。
「2人ともそこまでにしろ。…ペンギンが怯えてるぞ」
「!……ば、バレてたんですか」
「ペンギン…」
2階に続く階段からひょこっと顔を出したペンギン。出てこれる雰囲気じゃなかったし、しょうがないな。
「…俺もこの際だから言うが、俺も今大切にしている人達が万が一にでも傷つけられたらと思うと気が気じゃない」
「…ペンギン…」
「……ごめんな、ベポ。本当は俺達もわかってるんだ、マシュはそんな事する奴じゃないって。」
「…でも、もう誰も傷ついて欲しくないし失いたくない。だから、俺達だけでも警戒しとかなきゃって思ってたんだ」
ベポも2人の雰囲気にあてられたのか大人しく聞いている。少し寂しげだ。
「……でも、やっぱり俺は放っておけない!とりあえず探してくる!」
「待てベポ」
「ローさんが止めても俺は行くからね!」
「そうじゃなくてだな……俺も行く」
「えっ、ほんとに?」
「あぁ。野垂れ死なれても後味悪いからな」
「じゃあ早く行こう!」
そう言いベポが玄関の扉を開けると、雪が少し吹雪き始めていた。段々天候が荒れてき始めたのもあり、早めに見つけなければあの時の二の舞になるだろう。
今度こそペンギンとシャチは止めには入らず静かに見送っていた。
…まぁ、連れ帰るかはまた別の話、だがな。
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