脅威の侵略者編
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急いでキャラバンに乗り込み、スタジアムをあとにした。もう少し遅ければ
スタジアムの出口を塞がれていたかもしれない。爆発と鬼ごっこするようにし
て何とか安全圏まで逃げてきた。遠くに見える「星の使徒研究所」の最後を見
届ける。もう誰もあの施設に脚を踏み入れることはないだろう。円堂くんがし
みじみと「やっと、終わったんだな。」と呟いた。
刑事さんの話によると、研究所内にいた他のエイリア学園の子たちも無事に
保護されたらしい。刑事さんが星二郎さんの方を向くと、星二郎さんは音もな
くパトカーの方へ歩き出した。こういうのってドラマだと警察に囲まれて連行
されるシーンをよく見るけれど、星二郎さんが、自身の行いを罪と認め、抵抗す
る気がないためか、刑事さんが両脇にぴったり張り付いて連れて行くというこ
とはしなかった。
瞳子「・・・お父さん!」
星二郎「ありがとう、瞳子。お前のおかげで目が覚めたよ。」
ヒロト「父さん!俺・・・待ってるから。父さんが帰って来るまでずっと待って
るから。」
星二郎「ヒロト・・・。」
親子を遮断するかのように星二郎さんの乗ったパトカーの扉がパタリと閉め
られる。パトカーの音が聞こえなくなるまで、お日さま園の子たちはずっと星
二郎さんのいる方角を見つめていた。
鬼瓦「さぁ、君たちも。」
事件は解決し、彼らを縛るエイリア学園はもうなくなった。緊張が解けたの
はいいけれど、しばらくの間は生きる気力を取り戻すこと、大切なお父さんと
会えなくなる苦しみとに向き合わなければならないだろう。事件中枢にいた関
係者としての聞き取り調査、また、カウンセリングも合わせて警察がしばらく
の間子どもたちを保護することになった。
瞳子「・・・響木監督、円堂くんたちのことお願いしてもよろしいでしょうか。
ヒロトたちのそばにいたいんです。・・・ありがとう、みんな。ここまで
これたのもみんながいたからこそ。本当に、ありがとう。」
瞳子監督は深々と頭を下げた。・・・お日さま園の子たちが心配なのはもちろ
んなんだろうけど、瞳子監督も無理してるよね。大人だって泣いていいのに、
先に年下の”ジェネシス”の子たちが星二郎さんのもとに集まって泣いてしまっ
たから、瞳子監督はまた、かっこいい大人であり続けた。まぁ、しっかりもの
タイプだし甘える瞳子監督っていうのも想像できないけど。
湊川「ねぇねぇ!この後ってどういう予定?」
円堂「ん?そうだなー・・・雷門町に戻って風丸たちに伝えにいかなきゃ、終わ
ったって。試合に出てたのは11人だけだけどさ、俺、最後に風丸や、染
岡たちの、このイナズマキャラバンの旅で出会ってきたみんなの顔が浮
かんだんだ。俺たちだけじゃ勝てなかった。一緒に研鑽を積んだみんな
がいたから今日の俺が在るんだ。それを伝えに行きたい。また、サッカ
ーやろうぜ、って。」
湊川「じゃあ、東京までまた長旅じゃん。私疲れた!甘いもの食べたい!」
円堂「でも・・・」
湊川「私は休んでいくからさ、みんな先に戻っててよ。」
鬼道「はぁ。菓子のことになるとこいつはテコでも動かん。置いていくぞ。
・・・やりたいことがあるんだろう。」
夏未「じゃあ、鬼瓦刑事。雷門町に帰るときにアンリのこと、任せてもい
いかしら。」
鬼瓦「はい、安心安全のお墨付きですよ。」
そっか。夏未ちゃんの知り合いということは、刑事さんも東京の人で、ある程
度捜査が終わったら雷門に戻るんだ。たしかについでに乗せてもらえばちょう
どいいや。夏未ちゃんやっぱ頭いい~。有人くんもこちらの意図を汲んでかす
んなり私の好きなようにさせてくれたし、やっぱり幼馴染みの2人には敵わな
い。雷門に帰ったら、みんなでパフェ食べに行こうねー!!と声をかけイナズ
マキャラバンを見送った。
瞳子「みんなと行かなくてよかったの?」
湊川「なんだか瞳子監督の好きな食べ物を食べたい気分!」
瞳子「もう・・・。クリームあんみつでも食べに行きましょうか。」
湊川「ソフトクリーム乗ってるやつだとなお良し!」
瞳子「どうだったかしら。」
湊川「他には?何が好き?今日は好きなものいっぱい食べましょう!チート
デー!だって、がんばったんだもん!」
瞳子「・・・そうね。」
湊川「ちなみに私はお菓子ならなんでも好き!!」
瞳子「知ってるわ。」
湊川「物知りですねっ!?」
なんて、2人で笑いながら歩き始めた。それから瞳子監督は晩ご飯のメニュ
ーを考え始めた。ビーフストロガノフにハンバーグ、エビフライ、グラタン、
どれもお日さま園の子どもたちの好物らしい。用意するのが大変そうだ。優し
い顔の瞳子監督に見ているこちらが嬉しくなった。
みんなが集まって暖をとっている広場まで来ると、いち早く気づいたヒロト
くんがこちらに駆けてきた。いや、どうせ今からそっち行くんだけど?瞳子監
督は「寒いわ」といってこちらを置いて広場の方へ足早に行ってしまった。
ヒロト「アンリちゃん!みんなと一緒に帰らなかったの?」
湊川「え、だって一緒にカフェ行こうねって約束したじゃん。もしかして忘れ
てたっ?!」
ヒロト「忘れてない!!忘れてないよ・・・。でもあの約束のあと、いろいろあ
ったから・・・。」
湊川「私は有言実行のできるかっこいい女なので!ちゃんと来たよ!」
ヒロト「本当にごめんね。ひどいことも言ったし、怖がらせただろうし、巻き
込んじゃったし・・・。」
湊川「思ってないよ。ヒロトくんが優しいのは前から知ってたもん。」
ヒロト「どうして・・・。どうして君は、知り合ったばかりの俺のことをそんな
風に言ってくれるの?俺は・・・。」
湊川「だって大切なお友だちだもん。初めて会ったあの日、ヒロトくんがケー
キをおいしいって言って笑ってくれたから。私の話をちゃんと聞いてく
れたから。あの日のケーキすっごくおいしかった。また一緒にお茶した
いなって思ったの。…この話前にしなかったっけ?なんか恥ずかしいかも。」
ヒロト「買いかぶりすぎだよ。あの日だって本当はアンリちゃんに近づく
目的で”なにわらんど”に行ったんだし…。」
湊川「私がそう思ったんだし嬉しかったんだからそれでいーの!それでも悪い
と思うなら私のカフェ巡りにつきあって!」
ヒロト「もともと約束してたんじゃ…」
湊川「今回だけじゃなくて、私が行きたいって言ったらそのワガママについて
きて。」
ヒロト「…うん。ありがとう。」
湊川「うん。くるしゅーない!」
ヒロト「っはは!なにそれ。」
湊川「シュークリームみたいでかわいいよね。」
カフェ巡り仲間をゲットだぜ、と思ったところで思い出した。そういえば
『ドラジェットシュート』ヒロトくんは初見だったはずなのに一発でシュート
止めたんだよね。やっぱりお菓子好きでは?隠そうとしても私にはバレバレな
のよね(名推理)。お菓子好きはみんな友だちなので!でもやっぱりシュート
技増やしたいなぁ。今日の土壇場でできた有人くんと一ノ瀬くんとの連携シュ
ートもワクワクしたけど。…みんなとのサッカー、すごく楽しかった。
湊川「ヒロトくん、サッカーって楽しいね。」
ヒロト「うん。君たちがまた、思い出させてくれた。サッカーは自由で楽しい
ものなんだって。」
湊川「…私が神戸に帰っても、イナズマキャラバンが解散しても。またみんな
と会えるかなぁ?」
ヒロト「会えるさ。サッカーを続けていれば。円堂くんもそう言ってた。」
湊川「円堂くんが言ってたなら間違いないね。そっか。じゃあ続けないとだね。
…ねぇ、もう一つだけお願い言っていい?あのね…。」
ヒロト「…!そんなのお願いのうちに入らないよ。むしろ喜んで。」
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ある日の神戸トウアロード学園
広い敷地に作られた室内練習場では今日も元気な中学生たちの声が響き渡る。
以前からもサッカー部は活発に活動していたが、最近ではさらに賑やかな声が
聞こえるようになった。
直海部長「おい、インターバルとっくに過ぎてんぞ。サボるな。」
湊川「だって基礎トレばっかり地味なんだもん!早く実践やろうよ~!」
直海部長「ばか。放課後1、2時間しかない平日の部活なんてこんなもんだよ。」
湊川「ミニゲームでいいから!」
谷崎先生「最近湊川さんもがんばっていますからね。うーん…これと、これと、
あとこのメニューが終わって時間が余っていればミニゲームにして
もいいかな。」
湊川「先生、話がはやい!直海部長さっさとやりますよ!時間なくなっちゃう。」
直海部長「お前のせいで遅れてんだよ!それにしてもほんと最近はよく部活に
顔出すなぁ。」
湊川「部活に来るのは当たり前では?」
直海部長「生意気なのはこの口か?」
湊川「痛い、痛いって!…ちゃんと部活入ったんですよ。」
直海部長「おぉ!ついに!!えらいぞ~ちゃんと毎日来て。クッキーいるか?!」
湊川「ください!!わーい久々の味。バターと絶妙な塩味…すき…。」
さぁて、家に帰ったらプディング·シューも待っていることだし。
残りの基礎練もミニゲームもがんばりますか!
すべてはおいしくお菓子を食べるため!
脅威の侵略者編(完)