脅威の侵略者編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
円堂くんの顔つきもすっかり明るくなり、良いペースで後半戦が始まった。フィ
ールドをいっぱいいっぱいに使ったパスで”ジェネシス”を翻弄する。
円堂(俺には仲間がいる。ここまで一緒に戦ってきてくれた仲間が。新しく加
わってくれた仲間がいる。いつも見守ってくれた仲間がいる。俺たちの
強さはそんな仲間たちと共にあるんだ!)
円堂くんがチラリと有人くん、土門くんの方を見てうなずく。そして、3人は
それぞれの位置を確認して三方に分かれる。3人の回転が風を発生させ、その威
力が中心にあるボールに集められる。有人くんのホームベースともいえる帝国学
園で習得した『デスゾーン2』が”ジェネシス”のゴールを割った。
円堂「よし、まず1点だ。この調子で”ジェネシス”に追いつき、追い越すぞ!」
グラン「”ジェネシス”が2点も失うなんて・・・。」
円堂「仲間がいれば、心のパワーは100倍にも1000倍にもなるんだ!」
グラン「仲間を思う心が彼らをレベルアップさせているというのか・・・?俺には
お父様がいる!お父様さえいれば仲間なんて必要ない!!」
ヒロトくんが円堂くんから目をそらすように、ボールをゴール前まで運び、『ス
ーパーノヴァ』を打つ。負けじと円堂くんもそれに食らいついて、ヒロトくんの
前に立ちはだかった。
円堂「立つんだ、立向居。雷門のキーパーはお前だ、雷門のゴールを守るのはお
前なんだ!!」
土門「行け!立向居!」
綱海「そうだぜ!お前ならできる!立向居勇気!!」
立向居「そうだ・・・雷門のキーパーは俺なんだ。ゴールを守るのが俺の仕事・・・!
みんなのゴールは俺が守る!」
立向居くんが『ムゲン・ザ・ハンド』でジェネシスの必殺技を止めた。この試合
で『ムゲン・ザ・ハンド』はグレードアップしていたにもかかわらず、同じ試合
の中でさらに成長を遂げた。吹雪くんもパワーアップしたし、後輩の立向居くん
が頑張ってるんだもん、私も負けてられない。
星二郎「ありえません・・・!特別な訓練をしていたマスターランクのチームと接
戦になるなんて・・・!彼らはいったいどんなチカラを使っているのです?
エイリア石以上のものがあるというのですか?・・・このままではいけま
せん。せっかくの”ジェネシス”計画が・・・。ふぅ。いけませんね、取り
乱しました。・・・グラン、リミッターを解除しなさい。」
ヒロト「父さん?!そうなことをしたら、みんなが!」
星二郎「怖じ気づいたのですか?グラン。貴方にはがっかりです。ウルビダ、以
降はお前が指揮をとりなさい。」
ウルビダ「はい、お父様。・・・リミッター、解除。」
星二郎さんが”リミッター解除”というとヒロトくんは慌てた様子で星二郎さん
を止めようとした。しかし、星二郎さんは聞く耳を持たなかった。イヤな、予感
がする。
円堂「相手にボールを渡すな!はやくゴール前へ!」
円堂くんも同様に何か良くない空気を感じたらしい。みんなに指示を出しなが
ら、ドリブルで前線へ上がっていく。その際にウルビダさんの横を通っていくが、
ウルビダさんはまったく動く気配がない。リミッター解除って何?何が起ころう
としているの?とにかくこのまま雷門イレブンに波が来ているうちに少しでもリ
ードしないと。パスを呼ぼうと口を開いた瞬間、口内が乾燥するほどの空気が入
り込んでくる。”ジェネシス”はエイリア石による強化を受けていないと言ってい
たけれど、リミッター解除してからの選手たちは人間とは思えないほどの驚異的
な身体能力を披露していた。
星二郎「人間は身体を守るために限界を超えるチカラを出さないよう、無意識に
身体をセーブしている。では、そのすべてのチカラを出し切れるとした
ら?」
瞳子「そんなことをしたら、筋肉が悲鳴をあげ、身体はボロボロになってしまう。」
ウルビダ「お父様の望みは私たちの望み・・・!『スペースペンギン』!!!」
”ジェネシス”最強のシュート技と銘打つだけあり、やっと縮まったと思った点差
がまた開いてしまった。雷門ボールで次のプレイが始まるため各選手が定位置に
戻る、その時前を歩いていたヒロトくんたちがうめき声をあげて膝を地面につい
た。
ウルビダ「これくらい・・・、お父様の為なら!!」
ヒロト「そう・・・、父さんの、ため」
星二郎「そうです。”ジェネシス”は最強であらねばならないのです。」
円堂「こんなにヒロトたちが苦しんでいるのに・・・。”ジェネシス”ですら道具なの
かよ!?・・・そうじゃないだろ、目には見えないけれど絆はたしかに在る
んだ!」
”ジェネシス”のウルビダさんが並走しながらも、円堂くんから有人くんへ、有
人くんから再び円堂くんへパスをつないでボールをキープする。豪炎寺くんへ繋
ぐ際にチャージを受けボールが転がるが、吹雪くんがサイドラインを超えるのを
阻止した。
吹雪「このボールは!絶対に繋ぐ!」
豪炎寺「吹雪、お前の魂、受け取った!『爆熱ストーム』!」
相手のキーパーネロが必殺技を繰り出したことで、シュートの軌道が変わり、
ゴールポストにボールがぶつかる。
湊川「ホイッスルが鳴るまで!試合は止まらない。決まるまで何度でも!」
円堂「あぁ!まだまだ!!豪炎寺!」
想いのチカラがひとを強くする。お互いに思いやり尊重しあう、仲間がボール
に込めたメッセージを受け取り、自分の熱い想いを乗せて仲間に託す。その想い
に真剣に向き合い、途切れることのないようにボールを繋いでいく。仲間を想
うチカラをもつチームは際限なく成長する未知数の可能性を持っている。そして、
そのチカラは、宇宙を生み出したビッグバンにも匹敵するんだ!
豪炎寺くんと吹雪くんが同時に走り込み、2人の気迫が猛炎と氷嵐となって、
ボールに宿る。目金くんによって『クロスファイア』と名付けられた、強力なシ
ュートは相手のゴールを見事破った。
星二郎「こんなバカなことが・・・。」
円堂「豪炎寺、吹雪、やったな!」
吹雪「これは、みんなで取った1点だね!」
豪炎寺「あぁ。」
鬼道「だが、試合時間も残り僅かだ。最後まで走り抜け!」
深呼吸をして脳に酸素を送る。大丈夫。周りはちゃんと見えている。仲間が私を
呼ぶ声がはっきりと聞こえる。有人くんだったらきっとこの場面でこう動く。その
とき、どこに選手がいたら嬉しい?背中越しに相手のプレスを感じながらフィール
ドの様子を把握する。
コーマ「またあの司令塔のところに!マークはついているはずなのに?!」
アーク「おい、敵の10番、ちゃんと押さえとけよ!俺はこっちの9番を!」
鬼道「いて欲しいタイミングでいいところに・・・!アンリ!」
星と星とをつなぐ星座線みたいに、ボールの軌跡がほのかに光を帯びる。次に
誰にボールを渡すかは決まっている。先ほどフィールドを見渡したときに見えた、
豪炎寺くんや吹雪くんに注目が集まってマークが少ない人物。
アーク「?あいつ、どこにボール蹴ってんだよ?!」
一ノ瀬「俺に取れってことだよね!ムチャするなぁ。」
湊川「ムチャでも取ってくれたじゃん、フィールドの魔術師さん!」
一ノ瀬「求められてるならご要望に応えなきゃね!Showtimeだよ!」
鬼道「今、このタイミング、3人のリズムが重なった!」
湊川・鬼道・一ノ瀬『アステリズム!!』
3人が一等星の輝きを放ち、とびあがる。相手のDFの動き、キーパーの表情さ
えもが明快に、スローモーションに見える。このシュートは必ず決まる。何故か
は分からないけれど、着地をしてボールの行方を見守るまでもなくそう確信した。
一ノ瀬「決まった・・・!」
鬼道「フッ・・・当然だ。」
湊川「うん、信じてた。」
これでようやく、”ジェネシス”に追いついた。あともう一歩。
グラン「仲間がいるから強くなれる・・・これが円堂くんのサッカーなのか・・・?!」
ウルビダ「だが!最強なのは”ジェネシス”!お父様のサッカーだ!」
立向居「やっと追いついたんだ。もう、1点もやるわけにはいかない!雷門のゴ
ールは俺が守るんだ!・・・よし、止めた!綱海さん!」
綱海「おうよっ!次!!壁山ぁ!」
壁山「木暮くん!」
後から振り返ってみたら、最後の得点はみんながボールに必ず触れた、一筆書
きのような全員サッカーだった。立向居くんから始まり、仲間の名前を呼びなが
らパスをつなげる。最終決戦、残り時間的にも最後のプレイ。瞳をとじれば一緒
に走ってきたプレイヤーたちの顔が浮かんでくる。みんなが教えてくれた、きっ
と道はひらける、それを信じているから共鳴できる。
円堂(感じる。このボールにみんなの想いを。そうだ、これはここにいる人たち
だけじゃない。サッカーを愛する、みんなの強い想い、互いに仲間を想う、
心の力。じいちゃんのノートにあったのはこのことだったんだ!)
円堂・豪炎寺・吹雪『ジ・アース!』
ウルビダ「お父様のために!」
グラン「負けるわけにはいかない!」
ゴール前、ボールの近くにいた円堂くん、豪炎寺くん、吹雪くんが呼吸をあわ
せて同時にボールを蹴る。ヒロトくんとウルビダさんがフォローに入るが、11人分
の想いが乗ったシュートは勢いが止まることを知らない。
雷門が勝ち越したところで試合終了のホイッスルがなった。