脅威の侵略者編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
円堂(・・・じいちゃんの究極奥義が通用しなかった?)
円堂くんが考え事をして静かなせいか、ハーフタイムの雷門ベンチの空気は重く
緊張が走っている。
綱海「なぁに、正義の鉄拳が通用しなかったから、その分俺たちが頑張りゃいいだ
けの話だ、だろ?!」
壁山「そうッス!俺、頑張るッス!」
一ノ瀬「でも、点を取らなければ勝つことはできない。」
鬼道「機会があれば積極的にゴールを狙っていこう。今GKに立っているゼルがデ
ザームより実力が劣るとすれば俺たちにもゴールチャンスがある。必ず勝つ
んだ!」
土方「見てて焦れってぇな・・・。こんなとき、圧倒的パワーの選手がいれば・・・!」
夏未「試合を続けますか。」
瞳子「えぇ。この危機を乗り越えられればあの子たちはもっと強くなれる。エイリ
ア学園を倒すために成長してもらわなくては。」
円堂「何が足りないんだ。一体、どうすれば…」
立向居「円堂さん、感じたことを言ってもいいですか?『正義の鉄拳』はすごい技
です。見ていても欠点があるとは思えません。ただ…初めてマジン・ザ・ハ
ンドを見たとき、あまりのすごさに雷みたいな衝撃が身体を走ったんです。
でも、『正義の鉄拳』にはそんな衝撃みたいなのは感じませんでした。なん
というか、ライオンはライオンでも、まだ子どもを見ているよう…とでもい
うような。…すみません、感覚的なことしか言えなくて。」
円堂「子ども…。いや、ありがとう、立向居。後半もがんばろうぜ。」
デザーム「私のお前たちに対する興味はなくなった。よって、今からお前たちをつ
ぶしに行く、覚悟しろ。」
後半戦が開始すると有言実行するかのように、今までよりも早いスピードで攻撃
をしかけてきた。その勢いを乗せ、轟音を立てながら空間を切り裂いていくボール
に円堂くんが弾き飛ばされる。すかさず、綱海くんがフォローに入り、”イプシロ
ン改”に追加点が入るのを阻止した。
綱海「これくらいどうってことねぇよ・・・!みんなでゴールを守って、勝とうぜ、
円堂。」
円堂「綱海・・・!あぁ!!」
みんなで円堂くん、いや雷門のゴールを守るために守備で参加する。もはや得点
を取りに行くところまで手が回らない。ずっと考え事をしている円堂くんだけれど、
立向居くんの話を聞いてから『正義の鉄槌』の方向性は見えたらしい。ただ、方向は
分かっても道が分からないといった様子で、模索するように『正義の鉄槌』を繰り
出していた。円堂くんならなんとかするって思ってるけど、できれば早くして!!
円堂「ライオンの子ども・・・。究極奥義は未完成・・・。ライオン・・・子ども・・・成長途
中・・・・・・そういうことだったのか!!じいちゃん!究極奥義が未完成っていうの
は完成しないってことじゃない、ライオンの子どもが大きくなるように、常に
進化し続けるってことだ!」
シュートが打ち込まれ、目の前にボールが迫っているその最中、ついに何かを掴
んだ円堂くんがついに一人でボールをキープすることに成功した。技は同じ”正義の
鉄拳”だけれど、今までのそれよりもパワーアップした”正義の鉄拳”。名前をつけ
て、型に収まった必殺技ではなく、各々の力に伴い、進化する必殺技。やっぱり円堂
くんはすごいなぁ。サッカーに新たな道を示してくれた。新しい必殺技を考えるの
も楽しいけれど、自分のプレーを形作ってきた、今までの必殺技も大切にしながら
一緒に強くなろう。大好きなお菓子の世界の物語を思い出にしなくて済むことに胸
をなで下ろした。
デザーム「楽しませてくれるじゃないか・・・!!だが、技が進化しようと、我らか
ら点を取らない限り、雷門に勝ち目はない。」
円堂くんのはじいたボールがデザートさんの横を抜け、ピッチさえも置き去りに
していく。転がるボールを目で追いかけると白いはずのボールに黒い影が落ちた。
オレンジ色のパーカーを目にした円堂くんの顔がパッと明るくなる。
豪炎寺「待たせたな、円堂」
円堂「…!いつもお前は遅いんだよ!豪炎寺!」
声の主がピッチに足を踏み入れると同時に露になった逆立った髪が、闘志を燃や
した瞳が、オーラが、まさに彼が炎のストライカーであることを想起させた。南雲
くんも炎系の技を使っていたけれど。彼が、まごうことなき炎のストライカー。
彼の帰還がわかるや否や雷門のみんなの表情も明るいものに変わる。チームにとって
の柱がどれだけ大事なのかを嫌でも思い知らされる。いつだって遅れてやってきて
みんなを助けていくのがヒーローなんだ。今までのチームのことを考えると最初か
ら柱がいてくれたらよかったのに、なんて。多少思ったり思わなかったり。…事情が
あってチームを抜けてたんだもん、仕方ないよね。こんなこと考えてちゃダメだよ
ね。頭を切り替え、両頬を叩いて気合いを入れ直す。
選手交替の旨を審判である古株さんに伝え、豪炎寺くんが雷門のユニフォームに
腕を通す。
前よりもパワーアップしたらしい豪炎寺くんに感化されて、一ノ瀬くんや有人く
んも動きにキレを取り戻した。そして、あっという間に豪炎寺くんのシュートが2回
ゴールを奪い取った。
逆転したところで試合終了のホイッスルが鳴る。チームのみんなは両手を仰ぎ喜び
ながら豪炎寺くんの元へと駆けていく。
湊川「…かっこいいなぁ。」
圧倒的信頼を寄せられ仲間たちに囲まれる豪炎寺くんは、まるで昨日までいなか
ったのがウソかのように完璧な連携、絆を見せた。トウアロード学園サッカー部の
みんなは私にあんな表情を向けてくれるだろうか、雷門の支えに私はなれているだ
ろうか。私も、豪炎寺くんみたいに。
いつか…明日は誰かのヒーローになれているといいな。
お昼近くになってより暑さを帯びた熱気に一歩後ずさり、手で日差しを遮りなが
ら照りつける太陽の様子を伺った。
円堂「地球では試合が終われば敵も味方もない。…俺はさ、サッカーの楽しさをお
前らにもわかってほしいんだ。」
円堂くんがいつもの笑顔を浮かべ、デザートさんに手を差しのべる。デザートさんが
その手を取ろうとした時、黒いエイリアボールと一つの影が現れた。
ガゼル「私はマスターランクチーム、ダイヤモンドダストを率いるガゼル。雷門はダ
イヤモンドダストの新しい練習相手に決まった。今回の敗けで”イプシロンは
完全に用済みだ。」
ガゼルと名乗る白髪の少年から青白い光線が放たれ、次の瞬間にはイプシロンは
跡形もなく消えていた。最後にデザートさんが悲しそうな笑みを浮かべて円堂くん
から距離を取ったのはきっと見間違いではない。