脅威の侵略者編
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炎のストライカー人違い事件の次の日、マネージャー組が豪炎寺くん捜しは私たちに
任せてみんなは練習をして!と申し出た。
湊川「3人じゃ大変だろうし私も行くね!」
さっそくカフェで聞き込みを・・・と思い、リュックを背負って走り始めたところでカ
クンと勢いが止まる。なんで?と思い後ろを振り返ると、リュックからヒモが伸びてお
り、その先は瞳子監督の手に結ばれている。何これ?
瞳子「湊川さんは単独行動禁止。みんなの近くにいてもらうわ。」
秋「あれって子どもの迷子防止の・・・。」
土門「食生活に厳しい監督が、なんでお菓子入りのリュックを?と思ってたけど。」
一ノ瀬「たしかにアンリなら何の疑問もなく受け取るね。」
湊川「ねぇ、私中2なんですけど!迷子とかないんですけど!」
瞳子「これが嫌なら練習に加わることね。練習中は走りにくいだろうしヒモ外していい
わよ。」
何度か脱走を試みたものの瞳子監督がヒモを話してくれる様子はない。だんだんヒモ
が伸びてシュルシュルと立てる音が面白くなってきた。ずっとヒモを握りしめるのに疲
れたのか瞳子監督は円堂くんにヒモを預けた。
鬼道「円堂、絶対に離すなよ。」
円堂「タイヤの特訓を思い出すぜ!引っ張られないようにしないと!」
そういうことを言われると対抗したくなるのが人間ですよね。円堂くんを引っ張ろう
と、綱引きの要領で姿勢を低くし反対方向に足を向ける。それに負けじと円堂くんがグ
ローブ越しにヒモを握りしめて踏ん張る。全然動かないんですけど~。その様子を木暮
くんに犬みたいと言われ、追いかけようとしたらまたヒモに強く引っ張られ身体が静止
した。私の行動範囲が制限されているのを良いことに木暮くんがあっかんべーしながら
からかっているのが見える。このヒモさえなければ・・・!いい加減諦めて、練習参加
の敗北宣言(決して負け犬ではない)をしてヒモを外してもらおうとも思ったが、沖縄
のアイスクリーム屋さんに行けていないことが心残りだった。塩アイス・・・。葛藤して
いると見たことのあるサーフボードがすぐ近くの芝生に突き刺さる。それに飛び上がる
ほど驚いた目金くんがボードの持ち主である綱海くんに文句を言った。しかし、現れた
綱海くんが笑顔で、私たちを見て思わずすっ飛んで来た、と言ったものだからなんだか
憎めなくて、目金くんも大人しく引き下がった。
綱海「俺、サッカー部に入ったんだ!俺たちのチームとサッカーしないか?」
中3だし、主要な大会はもう終わってるのでは?とも思うが、本人曰くこの前円堂く
んたちとやったサッカーが楽しくてノリで入部したらしい。綱海くんらしい理由だなぁ。
綱海くんの案内で道を進んでいくと海の上に作られた学校が見えた。廊下?桟橋?の
すぐ下には魚が泳いでいる。壁山くんや春奈ちゃんとリゾート気分だね〜と言いながら、
普段見ることのないヤシの木の高さに口を開けていると綱海くんがボールを蹴ってココ
ナツを落とす。垂直落下してきたココナツはズシンと音を立てて砂浜に着陸した。やる
ことがいつも唐突でビックリする…。飲んでみろよ、と言われ硬めのストローと落ちて
きたココナツを渡される。え、食べるじゃなくて飲むの?実を振ってみるとたしかにチ
ャプチャプと水の動く音がした。それでこんなに重さがあるんだ。でもこの硬い実にど
うやってストローをさせと?とりあえずタマゴ型の実の頂点らしきところにストローを
押しつけてみるもビクともしない。これドリルとか工具が必要なやつでは?ストロー
をさすところが分からなくて実をクルクルとまわしていると綱海くんがひょいと持って
いき、ココナツの実を数カ所叩いた。「お、ここだな」と呟くと思い切りストローを突
き刺した。結局綱海くんは全員分のココナツにストローをさして渡してくれた。
湊川「甘い!けどジュースの甘さじゃなくて優しい自然の感じの水分!遠ーくの方でド
ーナツの周りについてる白いココナツが手を振ってる!食感ないのに!水なのに!
ちゃんとココナツだ~!」
リカ「変わった味やなぁ。」
壁山「これ割ったら中身も食べられるんスかね?」
吹雪「すごい、想像していたよりもいっぱい入ってるんだね。」
鬼道「天然の点滴と言われるくらいだからな、養分も多く含まれているはずだ。」
ドリンク片手に奥の浮島エリアにあるサッカーフィールドにやってきたが誰も居ない
ようだ。周りは海で壁も何もないけどボールが場外になったらどうやって取りに行くん
だろう。春奈ちゃんが誰も居ないですね、と呟くとのろしが上がり、水中から野生のサ
ッカー部が現れた。サプライズ!というかけ声があったことからずっと水中でスタンバ
イしてたのかもしれない。大海原中の簡単なメンバー紹介と挨拶を終え、試合の準備を
始めた。
円堂「よーし、みんな気合いを入れていくぞ!相手はちょっと変わっているが、戦うと
きはいつでも真剣勝負だ!」
綱海「こっちも行こうぜ!ノリノリでな!」
大海原中ボールで試合が始まり、私たちを翻弄するようにパス回しが行なわれる。動
きも連携もスムーズだが妙に余計な動作が多い気がする。あ、今も1回転した。
綱海「おぉ?!みんなノッてんな!俺も負けられないぜ!ボールこっちへくれよ!」
たまらずといった感じで綱海くんが飛び出しスーパー横っ飛びジャンプを披露する。
頭の上でボールキャッチするの体力消耗しないのかな。綱海くんが華麗に着地すると大
海原中の人たちが拍手に指笛を吹いて賑やかした。だが、ここまで大海原中が進んだ距
離はわずか1mである。最初は大海原中のノリと勢いに置いて行かれて唖然としていた
が仮にも試合だ。積極的にボールを取りに行こう。ドリブルしている渡具知くんからボ
ールを奪おうと近づくと、渡具知くんがスピードを上げて交点をずらされてしまった。
いけると思ったんだけどな?私だけでなくリカ姉さんや塔子ちゃんも同じ要領で抜かれ
てしまった。そして、ハーフラインを越えてゴール前に攻めてきた宜保くんを中心にシ
ュート技「イーグルバスター」が放たれる。2人分の脚力が乗せられたボレーシュート
は鋭さを帯びていたが、円堂くんが「マジン・ザ・ハンド」でセーブした。大海原中
は攻撃が止められたにも関わらず、必殺技を打つことができた喜びに盛り上がっている。
何なら対戦相手の円堂くんにまで「よく止めたぞ!」という声をかけている。
・・・ノリについて行くのは大変だけど、いいなぁ。こういう試合。勝っても負けても
楽しいと思える試合になるだろうな。というか、綱海くんがキャプテンマークしてるの
ね。ボールの扱いはまだまだだし、最近入部したばかりと聞いてたけど。綱海くんが今
回の試合のホストだからか、それとも、彼ら特有のノリなのかは分からない。少なくと
もチームとしての一体感はここ数日で作られたとは思えないほど安定している。
試合経験が豊富なだけあって必殺技による接近戦をしかけると、雷門が有利な場面が
多々あるが、司令塔の音村くんがチームを動かしているときは、大海原中が一つにまと
まり戦術がうまくハマっている。有人くんの分析によると、音村くんは選手の動きをリ
ズムとして認識し、こちらがチャージしようとするとそのリズムを逆算して指示を出し
ているらしい。指示を聞いた一ノ瀬くんは必殺技を使うことなくDFの赤嶺くんを抜い
た。そのままリカ姉さんと塔子ちゃんのシュートが決まり、前半戦が終了した。ベンチ
に戻ろうとすると膝に手をつき息を切らしている立向居くんがいた。
湊川「立向居くん、大丈夫?」
立向居「はい。…ペースがちょっと早くて。さすがフットボールフロンティア地区予選
決勝に進んだだけありますね…!」
ハイペースな試合に体力が削れらているだろうにも関わらず、立向居くんは「楽しい
です!」と言って元気そうに拳を握っている。アドレナリンが出ているのかもしれない。
そして始まった後半戦。前半に得点を決めた雷門だが、その勢いは減速し、テンポの
悪い試合運びとなる。チーム競技であるサッカーは11人の仲間が同じフィールドに入る。
お互いがお互いを信頼し、カバーし合うことによって個のチカラは何十倍もの相乗効果
を生むこともあるが、逆に、歯車がかみ合わないとズレが生じることも出てしまう。陽
花戸中で苦い経験をした雷門イレブンは仲間意識こそいっそう強くなったものの、他人
を気にしすぎて自分のプレーに集中できていない局面が多々あった。
大海原中がそのスキを見逃すことはなく、何度も立向居くんのトラップミスを狙って
強気な攻防が繰り広げられた。しかし、プレーのテンポが上がりきっていないのは大海
原中も同様だった。サッカーを始めたばかりのひよっ子の綱海くんだ。それに気づいた
のかすぐに3トップFWの強気なフォーメーションを提案した。
ボールをもつ時間が少なくやきもきした綱海くんは再びスーパー横っ飛びキャッチを
披露し、強引にリカ姉さんからボールを奪う。そして、ボールを奪われる前に渡具知く
んいパスを出し、ボール支配率は少しずつ大海原中に軍配が上がり始めた。試合時間
も残り僅かになりかけた頃、綱海くんの足下にボールが収まる。すぐにパスを出そうと
周囲を見回すも、他の大海原中のメンバーにはマークが一人ずつついており、綱海くん
は孤立してしまう。
綱海「・・・誰にもパスできねぇ!だったら、自分で打つしかねぇだろ!!」
覚悟を決めた綱海くんがたどたどしくもドリブルで前に上がっていく。ボールを奪う
ために私も圧をかけに行くが、そのタイミングで足元に水が流れてきて、その波の勢い
に足を掬われてしまう。綱海くんはその波を利用して、サッカーボールの上に乗りサー
フィンのようにスイスイとゴール前へ進んでいく。
綱海「ツナミブースト!!」
円堂くんがマジン・ザ・ハンドを繰り出そうとするが、間に合わないと判断したのか、
とっさに右手をパンチのように突き出した。拳からオレンジ色の閃光が発声したがそれ
はすぐに拡散した。技は不発に終わったものの、シュートの勢いは消え、ゴールを守っ
たところで試合終了のホイッスルが鳴った。