脅威の侵略者編
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陽花戸中に到着した次の日。私は一人で電車に乗っていた。プチ旅行である。
福岡では目的地が陽花戸中に絞られていたため探索タイムという名のカフェタイ
ムがなく、瞳子監督に抗議しに行ったところ長考のすえ外出許可をもらえた。有
人くんのせいではあるけれど私をキャラバンに誘った理由がご当地スイーツだっ
たことと、現在のエイリア学園の敵チーム”イプシロン”が毎回襲撃予告してくる
タイプでその予告がまだないことからなんとか認めてもらえた。ただし、そのか
わりの条件として1時間ごとの定期連絡と今日行く場所·スケジュールの提出、エ
イリア学園の奇襲があった際はすぐに戻ってくることを口すっぱく言われた。まぁ
その程度の条件なら喜んで受け入れよう。今日行く場所についても春奈ちゃんの
パソコンで事前に調べていたのですぐに提出したところ、準備が良すぎると若干
引かれた。
円堂「よーしっ!今日は陽花戸中サッカー部との練習試合だ!実践形式で練習で
きる機会はなかなかないから、みんな、気合い入れていこーぜ!」
戸田「おはよう、今日はよろしくな。こちらが実力不足なのは承知の上だから本
気でいかせてもらうよ。お互い実りのあるものになることを願っているよ。」
立向居「おはようございます!円堂さん!…あのー今日はアンリさん、居な
いんですか?」
円堂「おぅ、おはよう!今日はよろしくな!…本当だ、湊川の姿が見えないな。」
秋「あら?でもテントのなかには居なかったわよ?」
瞳子「湊川さんなら今日はカフェに行くって出掛けたわ。」
戸田「昨日言ってたの、マジだったんだ…。」
円堂「まぁそのうち帰ってくるさ。湊川のシュートはすごいんだ、同じGKだか
らな、あのボール受けてみたいって気持ちすっごくわかるぞ!早く帰っ
て来ないかな~。な、立向居!」
立向居「はい…」
というわけでやってきました、パンケーキのお店!パンケーキというとどら焼
の皮のようなものやメレンゲ入りのふわふわの厚焼きのものが多いけれど、ここ
のパンケーキはカルデラ状になっており、壁のようにそびえ立つ外側はサクサク、
くぼんだ中央はもっちりなのが珍しい。大きさも大満足の20cmごえのボリュー
ム。パウダーシュガーやレモンの量を自分で調整して掛けられるのが嬉しい。そ
してなによりメープルシロップ掛け放題。トムニャンのルームメイトジェリーさ
んもにっこりだ。…コマさんタクシー行きにならないようにだけ気をつけよう。
パンケーキの中央には溶けたバターがメープルシロップと混ざり黄金色に輝い
ている。そして、イートインだからこそ食べられる半熟の生地がとてもおいしい。
パンケーキというよりプディングに近いのかな。写真に撮ってみたけどパンケー
キって一発で分かる人いないよねぇ…。大きいなとは思ったけれどペロッと平ら
げてしまった。大変満足です!レモンで味もほんのり変えられたし、全然飽き
なかった。神戸にも出店してくれないかな~…一応他の地域にも進出はしてるみ
たいなんだけど頻繁に訪れるのは難しそうだ。オープンと同時に来店したことや
店内のお客さんが少ないこともあって予定よりも早くパンケーキを食べ終えてし
まった。…定時報告の時間にも余裕あるしもう一軒行ってもバレないのでは?幸
いお店は駅から近い複合施設の中にあったため迷わず駅に向かうことは可能だろ
う。そして、次に訪れたいと考えているカフェもここから電車使えばすぐだし徒
歩4分とガイドにあるので迷うこともないハズ。迷ったらやれ!が私の行動原理
だ。(今決めた)思い立ったが脊髄反射でいつもより早歩きで駅に向かった。
鬼道「・・・遅い!」
一ノ瀬「カフェに行ってるんだったら混むこともあるだろうし、そんなもんじゃ
ない?」
鬼道「そもそも何故監督は外出を許可したんだ・・・。」
吹雪「確かに予定より遅いのは心配だよね、何か大変なことに巻き込まれてない
といいけど・・・。」
鬼道「アンリがカフェ一軒で満足して帰ってくると思うか?あいつのことだ、
何個もケーキを食っているに違いない。懲りずに飯が入らないなんて言い
出したら今度こそ灸を据えてやるからな・・・。」
窓際の席に座り、街を歩く人の波を眺めていると、突然の寒気が襲ってきた。
冷房直下の席だからかな。上着の上から腕をさすっていると、目の前にイチゴの
パフェが運ばれてきた。いくつかカフェを調べたなかで一目惚れしてしまったイ
チゴを贅沢に使ったグラスパフェ。柄の長いスプーンで食べる、いかにもなパフェ
グラスもいいけれどカクテルグラスに入っているのがとってもおしゃれ。トッピ
ングだけでなく底面にも配置された真っ赤なイチゴのコンポートが本当にカクテ
ルが入っているみたいでちょっぴり大人な気分になる。ナパージュされたイチゴ
がつやつやと光を反射する宝石のようでついうっとりと眺めてしまうけれど、甘
い香りが鼻をくすぐり、すぐに食べ物だということを思い出す。ぎっしりと敷き
詰められたイチゴの山のなかにはアイスや紅茶風味のクリーム、ミルフィーユの
サクサクのパイ生地にホワイトチョコなどが隠れていてスプーンを入れる度に異
なる味が楽しめる、まさにパーフェクトな一品。おいしすぎて次の一口を急いで
しまうあまりあっという間に目の前のパフェは姿を消してしまった。もっとゆ
っくり味わって食べたらよかったな…。おいしいものって何ですぐなくなっちゃ
うんだろう。でも賞味期限もあるから早く食べないとだし…。昔お話で読んだ溶
けないキャンディとか味のなくならないガムとか現実に開発されないかなぁ。チ
ョコレート工場作ったら開発してもらえないかな。お金なら出します…!さすが
SNSやブログで人気のカフェ。気がつくとお店の前に少しだけれどお客さんの列
ができていたため、会計を済ませて店をあとにした。
なんだかんだいい時間だからそろそろ帰らなきゃ。今から帰りますと瞳子監督
にメールをうつ。指示通りケーキの写真を添付することも忘れない。写真フォ
ルダを開くと先ほど食べた半熟パンケーキやイチゴパフェの写真が目に飛び込ん
でくる。やっぱり外出許可出てよかった~、これらを食べずに福岡を去ることに
なってたかもしれないと思うと後悔しか残らなかっただろう。瞳子監督に感謝!
せっかくだし瞳子監督にお土産買っていってあげよ~っと!たしか帰る途中のど
こかの駅にデパートがあったハズ。さっきどら焼きのことを思い出していたから
か、ずっと頭の片隅にどら焼きが居座っている。イチゴ入りの生どら焼きも食べ
たかったんだよね。お土産枠なので食べて帰るわけじゃないからセーフ!怒られ
ない!どら焼きだからもちろんあんこも入ってるけどそれに加えて生クリームも
楽しめる洋菓子と和菓子のいいとこ取りみたいなハッピーパンチなお菓子だ。薄
くスライスしたパンに挟んだカスタード入りのフルーツサンドもいいけど、あん
ことしっとりしたどらやきの皮でたべるフルーツサンドも絶対おいしいに決まっ
ている。ドラ焼き界のクイーンの名に恥じなし!!はち切れんばかりに具をパン
パンに詰め込んだどら焼きの入った袋を片手にホクホクして帰途についた。
湊川「ただいま~!・・・ひっ」
鬼道「おかえり。」
湊川「なんで仁王立ちしてるの・・・。ちゃ、ちゃんと瞳子監督には許可取ったん
だから有人くんに怒られる筋合いはないんだからね!」
鬼道「あぁ、そのようだな。」
お土産の袋を置きにイナズマキャラバンに向うべく有人くんの横をおそるおそ
る通る・・・が、特に何もなかった。逆に怖いんだけど?キャラバンの中に入ると
春奈ちゃんがみんなの寝るとき用のブランケットを洗濯し終え、それぞれの座席
に戻しているところだった。
春奈「あ、アンリさん、おかえりなさい。カフェではゆっくりできましたか?」
湊川「うん!見てみて、前に見てたフルーツパフェのお店行ってきたの!」
春奈「わぁ〜キラキラしててかわいいです!ずっと行きたいって言ってましたも
んね、よかったですね!」
湊川「味もすっごく美味しかった!・・・で、春奈ちゃん。ちょっと聞きたいんだ
けど、さっき有人くんに会ったんだけど様子がちょっと変?っていうか怖
いんだよね。春奈ちゃん的にあれってどう見える?怒ってる?今日は会
話しないように逃げるべき?」
春奈「あぁ・・・。あれでもアンリさんのことお兄ちゃん心配してたんですよ。
土地勘のない場所で1人で出かけて大丈夫なのか~って。お灸を据えるな
んて怖いことは言いつつも、なんだかんだ、午前中の練習の間もチラチラ
時計を見てるんだもの、少し笑っちゃいました。」
湊川「そうなんだ。」
午後の練習にはきっちりと参加した。午前中の練習試合の反省を踏まえて、午
後は個人練習に時間を当てるらしい。春奈ちゃんの言うとおり、有人くんは怒っ
ていなかったようで、練習中も特に絡まれることもなかった。甘いスイーツを食
べてリフレッシュもできたことだし、必殺技も求められれば大盤振る舞いした。
円堂「湊川!お前のシュート立向居に見せてやってくれないか!」
湊川「おっけ~!」
立向居「四方八方からシュートが・・・!うわぁっ!・・・今の!もう一度、今度は外
から見ててもいいですか?!」
湊川「え、いいけど・・・。」
立向居「ありがとうございます!」
立向居くんからのアンコールを受け、再びゴールから離れた位置にボールをセ
ットする。・・・そんなにまじまじと見られるとやりにくいんだけど。シュート
に集中するために目を閉じ、呼吸を整え、ドラジェットシュートを放つ。
立向居「なるほど・・・。横から見るとこんな感じなんだ・・・。ボールとロケットが
紛らわしいな。見極めるためには・・・。」
私のシュートを見てなにやら唱え始める立向居くん。え、止める気満々?そり
ゃ、GKはシュートを止めるのが仕事だし、私のシュートも別に無敵ってわけじ
ゃないけど!技を出している当人だから当たり前かもしれないけれど私はどれが
ボールでどれがドラジェかはきちんと判断がついている。おいしいお菓子とボー
ルを見間違えることなくない?つまり、そういうことだ。ある程度お菓子に理解
のある人には初見であっても通用しない。私のドラジェットシュート初見で止め
られる人募集中です、ぜひお友達になりましょう。まぁ、他のシュートと一緒で
何度も見て、目が慣れてしまうと止められてしまうことは十分にある。でも、立
向居くんあの調子だとすぐに対抗策出してきそうだなぁ。新しい必殺技はシュー
ト技にしようかな。
晩ご飯を食べ終え、瞳子監督の隣に並んで座る。次もまた外出したいときは頼
みますよ?という念を込めて、今日のお土産ですといいながらどら焼きの箱を置
いた。2人でどら焼きを食べていると有人くんが明日の練習について打ち合わせ
にやってきた。最初は私とどら焼きとを交互に見て何かを言いかけた有人くんも、
横に瞳子監督がいて何も言わないからか言葉を飲み込んだ。瞳子監督のそばにい
れば有人くんも文句をつけてこないのでは?と思ったが以前に有人くんと瞳子監
督2人による地獄の説教2時間コースをうけたことがあるんだった。横で2人
が話しているのを聞きながら悩んだあげく2つ目のどら焼きに手を伸ばすことは
やめた。自分で食べる用にいっぱい買ってきたけど、ココは敵陣。でも、生クリ
ームもフルーツも日持ちしないんだよねぇ。仕方がないので残りの1つは有人く
んにあげることにした。
湊川「今日はカフェもいったし、どら焼きも今1個食べたし。あとはあげる。」
鬼道「アンリ・・・。ありがたくいただこう。今日はどこに行ってきたんだ?」
湊川「えっとね、写真撮ったよ!ほらこのパンケーキ!すっごい厚焼きなの、
卵の味!」
パンケーキの厚さや変わった形状であることを伝えるためにいくつもある写真
をボタンを操作しながら見せていると、イチゴのパフェの写真が表示された。
あ、やば。
ケータイの写真画面だとプレビュー機能がないため分からなかったが、そこに
は本来写ってはいけないものが写ってしまっていた。この怖さお分かりいただけ
ただろうか。気温が体感で0.5℃ほど下がり、隣からは恐ろしい気配を感じる。
鬼道「おい、今のはなんだ。」
湊川「前に夏未ちゃんと行ったカフェの写真、かな・・・。」
鬼道「アンリ、ちゃんと目を見て話せ。パフェの写真はパンケーキよりも後
に撮られたものだよな。」
湊川「えーと・・・そう、かも?」
瞳子「湊川さん?提出してくれた予定行動にはカフェは1軒しか書かれていない
わよね?」
湊川「・・・何事も予定通りに進むとは限らないじゃないですか。予定は未定って
ね!」
鬼道「あらかじめ定められたスケジュールのことを予定と言うんだ。個人的な
都合で予定をねじ曲げるな。」
再度おやつ禁止令が言い渡され、しばらくは食事のときも必ず有人くんが監視
役として隣に座るように監督と有人くんの間で取り決めが為された。
・・・・・・ホラーは夏だけで十分です!