脅威の侵略者編
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だいぶ2人で話し込んだ後。頼んでいたケーキも紅茶も完食してしまった。さすが
にこれ以上店内に滞在し続けると、ケーキコンプリート食レポ企画が始まってしまう
ので手遅れになる前に私たちは店を後にした。食べ過ぎ?お菓子警察がいて食べられ
なかった昨日の分と一昨日は〜…アフタヌーンティー行ったから…3日前の分!なの
でセーフ!負債はきちんと取り戻そうね。
会計を終え、外に出るとパステルカラーのサーカスのようなテント型のかわいらし
いアトラクションが目に入る。パレードを想起させるリズミカルな音楽と鈴の音に併
せて、一人乗り用の木馬や複数人で乗るための馬車が上下に動きながら回転していく。
いいなぁとは思うけれど、いかにもキッズ向けのメリーゴーラウンドにはやはり家族
連れのお客さんばかり。さすがに中学生の私があそこに入っていく勇気はないなぁ。
楽しげに木馬に乗っているキッズを見て満足するとしよう。せめて、目に焼き付けよ
うと思いくるくると回る木馬を見ているとトントンと肩を叩かれる。
基山「これ、そこのスタンドで売ってたんだ。良かったら。」
ヒロトくんから受け取った”なにわらんど”のキャラクターが描かれたファンシーな
包み紙を開けるとコロンとしたミニチュアのメリーゴーラウンドがついたストラップ
が出てきた。
湊川「かわいい。・・・でも、悪いよ。ヒロトくんが買った物なんだからヒロトくんが
使いなよ。」
ヒロト「んー、じゃ、神戸のおすすめカフェを教えてくれたお礼ってことで。それに、
俺にはそのストラップはかわいすぎるからもらってくれると嬉しいな。」
湊川「でも・・・、あっ、ごめんね?!」
人通りの多い遊園地なこともあり、園内をはしゃいで走っていた男の子にぶつかっ
てしまう。幸い、ぶつかっただけで、男の子にケガはなさそうだ。念のために男の子
に痛いところはないか尋ねてみるとかわいいカールのかかった横髪をぴょこっと揺ら
しながら「大丈夫!」と元気な返事を返してくれた。男の子は心配して後から追いか
けてきたお兄ちゃんと一緒に両親の元へと帰って行った。
湊川「で、ヒロトくん・・・ってあれ?」
再びヒロトくんに話しかけようと目線をもとの高さに戻してみたら、いつの間にか
ヒロトくんの姿は見えなくなっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「とっさに逃げてきちゃった。」
今日は”イプシロン”との戦いで見事な戦績をおさめた湊川アンリちゃんについて
詳しく調査するために雷門イレブンを追って”なにわらんど”にやって来た。この前は
遠くから見ていて正直、アンリちゃんについては行動が予測不可能すぎて直接本
人から情報を探った方がいいと判断した。どうやって近づこうか悩んでいたところで
なぜか都合良く一人になってくれたアンリちゃん。このチャンスを逃すまいと後
を追って俺もレストランに入店した。情報収集、そのハズだったのに求めていたもの
は手に入らず、代わりに神戸の喫茶店に関する情報にばかり詳しくなった。でも、自
分にとっては要らないハズの情報を聞いているときもなぜか煩わしい、という思考に
はならなかった。結局、俺は優雅なティータイムを楽しんでいただけであっという間
に時間が過ぎてしまった。店を出ると、この”なにわらんど”のホームページでもデカ
デカと写真が掲載されているメリーゴーラウンドが目に入った。おとぎ話のような雰
囲気のメリーゴーラウンドはアンリちゃんに似合いそうだ、と思い隣を見ると何
やら葛藤しているアンリちゃんの姿があった。もしかして乗りたいのかな。ここ
で「一緒に乗ろう」と誘えたらよかったかもしれないけれど、そんな物語の王子様み
たいな行動は俺のキャラじゃなくって、想像する前に思考を遮断した。頭の中をクリ
アにするために当たりの風景に視線を移すと園内の各地に設置されているスタンドで
販売されていたメリーゴーラウンドのストラップに目が行った。アンリちゃんに
あげようと思い購入したけれど、最初は断られてしまった。そうだよね、俺が一方的
にアンリちゃんのことを知っていただけでアンリちゃんからしてみれば俺は今日
あったばかりの見ず知らずの人だ。・・・気持ち悪いと思われてないかな。振り返って
みると自分の行動が完全に不審者みたいに思えてしまってこの場から立ち去りたい、
何ならストラップを購入する前に戻りたいという衝動にかられた。そんなところにち
ょうど良く少年がぶつかってくるプチアクシデントが発生したため、俺はこれ以上
墓穴を掘らないためにもすぐにその場から離れた。・・・むしろ穴があったら入りたい
かもしれない。
でも、さすがに挨拶も何も無しに立ち去るのは失礼じゃなかっただろうかと考え直
し、戻ろうかと悩んでいるとアンリちゃんがストラップを見つめながら呟くのが
聞こえた。
湊川「ありがとう。大事にするね。また、会えるかなぁ。」
俺はもう姿を消しているのに、ちゃんとお礼を言うアンリちゃん、いい子すぎない?
その後エイリア学園の拠点に帰るも、前回と同じく父さんに報告できる情報がなく、
再び雷門の偵察に行くことになるのはまた後日の話だ。