脅威の侵略者編
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瞳子「木暮くん、君にはDFをお願いするわ。」
木暮「DF?」
瞳子「適任だと思うけれど、不服かしら?」
木暮「別に。こだわってないんでDFでいいです。」
目金「まっ、せいぜいケガしないことですね。」
木暮「・・・」
湊川「木暮くん、よろしくね。」
春奈「大丈夫、木暮くんならできるよ、信じてる!」
木暮「あのさ、”信じてる”なんて、そんな簡単に言うなよ。」
目金くんをにらんだ後、木暮くんはぶっきらぼうに言葉を発し、フィールドに
行ってしまった。
湊川「あらら・・・。警戒MAXって感じ。」
目金「どうなんですかねぇ!あの態度!!」
秋「大丈夫かな・・・」
春奈「木暮くんはやればできるんです。みんなホントの木暮くんを知らないだ
け・・・。」
春奈ちゃんが小さな声で呟いた。木暮くんは毎日修行させられていたけれど、
それらの日々は多少はサッカーのスキルに役立っている感じがした。まぁ、
本人がやりたいサッカーではないし、たまたまサッカーのプレイに好影響を及
ぼしただけにすぎないんだけど。明け方近く、自主練から帰るときに木暮くん
と春奈ちゃんと古株さんがボールを蹴っていたのをこっそり見ていたのでそれ
なりにサッカースキルがあることは確認済みだ。あの体力、うらやましいな。
小柄なことはスポーツにおいて不利かもしれないけれど、小回りもきくし、低
い姿勢でプレスを掛けたら相手は対応に手こずるだろうし、いい仕事するので
は?とにかくケガしない程度に頑張って~!
デザーム「ふむ。なかなか骨のある奴もいるようだな。だが、もう終いか?」
選手交代の宣言を瞳子監督が行い、中断していた試合が再開する。それぞ
れ自分のポジションに着く間、デザートさんは私を一瞥し、少しがっかりした
表情をしたものの、すぐに不敵な笑みをたたえて言った。
デザーム「まぁ、いい。私を楽しませてくれた雷門に報いようじゃないか。た
しか、レーゼ曰く”礼には礼を”、だったな。一同、やれ。」
デザートさんの合図を皮切りにイプシロンはGK以外全員が駆け上がってく
る。ボールを取られた場合にDFが1人もいない状況になるけれど、そんなこと
まるで気にしていないみたいだ。雷門のみんなも応戦するべくイプシロンの前
に立ちはだかるが、巧みなパス回しやフェイントを使って翻弄していく。先ほ
ど私が対面していたときよりもさらに上のスピードで、ボールを蹴り始めてか
ら1分もしないうちにゴールを決めてしまった。えっ。私すごく頑張ってやっ
と1点取ったのに一瞬で同点にされちゃった!?雷門は傷だらけなのに対して
エイリア学園は息も上がっていない。いや、木暮くんはうまく立ち回っていた
ので無傷だけど。見切るのうまぁ。
デザーム「まもなく3分。我らは次の一撃を以てこのゲームを終了する。聞け!
人間ども。我らは10日の後にもう一度勝負をしてやろう。・・・だが、
お前たちは勝負のその日まで、果たして生き延びていられるかな。」
鬼道「なに?どういう意味だ!」
デザートさんの蹴り上げたボールがフィールドのド真ん中を突き抜けていく。
吹雪くんが対応しようとするも飛ばされてしまう。進むたびに勢いを増してサ
ッカーコートの外のベンチにまで突風が吹きつけた。あまりの威力に木暮くん
が逃げ出すが、倒れていた壁山くんにこけてしまう。危ない、そう思った瞬間、
木暮くんがこけた勢いでヘッドスピンのような動作が繰り出され、ボールの勢い
を押さえ込むことに成功した。
風がやんで土煙が収まると、そこにはもうイプシロンの姿はなかった。
春奈「木暮くんすごい!!!」
目金「偶然でしょ!いわゆるビギナーズラッグですよ!」
円堂「お前、ヤツらのシュートをカットしたんだぜ!」
一ノ瀬「やっぱり意外性があったね。」
土門「あぁ!そうだな!」
塔子「補欠にしとくのもったいないよ!」
円堂「ってことだ!お前すごいんだぜ!」
イプシロンが帰り、一安心すると円堂くんを筆頭にみんなが木暮くんのもとに
集合し、代わる代わる木暮くんのことを賞賛した。
木暮「っ!そうさ!オレ、すごいんだ!うっしっし」
垣田「たいしたモンだ」
影田「木暮!見事だったぞ!」
木暮くんの活躍に笑顔で駆け寄ってきた漫遊寺中の面々だが、一瞬のうちに姿
を消してしまった。どうやら木暮くんの掘った落とし穴に落ちたらしい。・・・いつ
掘ったの?宇宙人襲来と試合っていう大きなイベントがあった割に今まで誰も落
ちてなかったのが不思議で仕方がない。あっ漫遊寺中のキャプテンも落ちてる。
なんて眺めがいいことでしょう!
木暮「うっしし!遅いんだよ!今更オレがすごいって分かったのか!」
湊川「ほんとにすごい!こんなにも大人数が気づかずに全員落とし穴に落ちるな
んて!そして私のモンブランの敵討ちもしてくれてありがとう、木暮くん!」
木暮「うっしっし」
秋「なんか…ズレてるような?」
土門「あぁ…」
春奈「もうっ!木暮くん!みんながあなたを誉めてるのに、またそんなことして!」
木暮くんはイタズラが怒られそうになるとどこかへ走り去ってしまった。
風丸「監督、木暮を仲間にいれなくていいんですか?」
円堂「俺も、アイツは戦力になると思うんです。」
瞳子「…彼が自分の意志で私たちと行くことを望むのならね。」
一ノ瀬「でも当の本人はどこかに行っちゃったね。」
染岡「ったく。しょうがねぇ奴だな。な、吹雪。」
吹雪「…ボク、役に立たなかった。アンリちゃんはあんなにボロボロになる
までがんばったのに…」
染岡「そんなこと言ったら俺だって!」
吹雪「なにもできなかったんだ!!くっ…こんなんじゃダメだ…完璧にならなく
ちゃ…」
風丸「…やっぱり、やつらと戦うにはもっとパワーが…」
一応、試合結果としては引き分けに終わったけれど最後に見せられたイプシロンの
強力無比ともいえる身体能力。強烈な畏怖と次なる課題を各々に刻む一日となった。