01
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「西園寺さんって椎名くんと知り合いなのっ!?」
「え? うん、まぁ…」
HRが終わり、休憩時間。
クラスの人と仲良くなる為に声を掛けよう席を立とうとした瞬間、私の周りにドッと人だかりが出来た。
そんなに皆私の事が気になるのかぁー…なんて、のんきに思っていたので次に飛んできた質問に驚愕した。
「何で転校してすぐなのに椎名くんの事知ってるの!?」
(え、何でそこ…?)
しかもこの質問を投げ掛けて来た女の子の目が異様にキツくて、歓迎と言うよりは…詰問に近い。
「え?…まぁ、何と言うか…。居候させて…」「てか、“西園寺”って、椎名が居るサッカー部の監督と同じ名字じゃねぇ?」
「あ、うん!アタシのお姉ちゃ…」「えぇぇ!? そうなの!?」
1つの質問に答えると、またすぐ別の質問が飛んできて、ちゃんと喋らせて貰えない処か、お姉ちゃんと姉妹だと言えば、周りに居た人全員が声を上げた。
―何なんだ?
「て言うか!西園寺さん、さっき居候って言ってたよね!? 二人は一体どう言う関係なの!?」
お姉ちゃんの話を暫く聞かれて居ると、今度は後ろからグイグイとまた別の子が出てきて、私の眼前まで顔を近付けてそう聞かれた。
(…ち、近い……!てか、顔怖いッ!)
あまりに近すぎる顔とギラギラとした目にどうすればいいのか分からなくなってしまった私の頭上から聞き慣れた声が聞こえた。
「親戚だよ。」
「椎名くん!」
その声の主にその女の子は私から顔を離し、それと同時に今まで質問して来た全員が視線を翼に向けた。
皆の注目が翼に向かったので、少しほっとした。
「まぁ親戚って言っても母さんの従姉妹の子どもで、はとこなんだけど親等で言ったらただの“他人”だけどね」
“他人”っと言う所をやたら強めて言う翼。
―何だ?喧嘩売ってるのか?
「だから居候であっても優貴自身、俺とは殆ど関わり無いよね。」
「ちょっと! そう言う言い方は無いんじゃない!?」
明らかに他人行儀を全うしようとする翼に何だか無償に腹が立ってきた私はイスから立ち上がった。
「実際の所はそうだろ?はとこって言ったって6親等に入らないんだから、結局は他人だろ。そんな事も知らなかったの?」
「知ってたけど!でもね!他人って言っても、ひぃばぁちゃんまで辿ってったら嫌でも血繋がってるの! おばさんだっておじさんだって私が居候する事許してくれてるんだし、他人強調しなくたっていいんじゃない!? それに!私が“他人”だったらアンタが慕ってる姉ちゃんやお父さんはどうなるの!?」
「母さんと父さんはただの世話好きなだけだし、それは俺自身に関係ない。玲は他人と言えば他人だけど、俺等サッカー部の監督だからそこで他人には部類されないし、勝さんはサッカー協会の人だからいずれサッカー関係でお世話になる。そんな事も分かんないの?」
「~!!このチビっ子薄情者!!そんなちっこい器だから何時まで経っても身長伸びないんだよ!」
「…チビっ子? へー。たった数センチしか変わらないのに随分偉そうに言ってくれるじゃん。そう言う優貴だって周りの奴と比べたら小さいんだから、さっきの言葉そのまま返してやるよ。それにな、少なくとも俺の方がお前なんかよりもずっと器デカいし、今は伸び盛りの年だからそんな数センチの差すぐに抜くよ。」
「とか言っておきながら、2年前に会った時に比べて実際全然伸びてないじゃん!」
「っ!?それは誰かさんが毎晩の様に部屋でバタバタ煩いから寝れないんだろ!いつも思っていたけど、何で朝とかはウダウダしてる癖に何で夜になってからやたら動くんだよ!夜になってから慌てるぐらいなら朝からやっとけよ!」
「それは昨日の夜の事だけでしょ!今日の準備に不備が無いか確かめてたんだから!それに女にはやらなきゃいけない事がたくさんあるから無理!」
「昨日だけじゃない!いつもだ!馬鹿みたいに夜遅くまでテレビ見て爆笑しやがって!!」
「面白いの見て笑って何が悪いのよ!?」
ギャーギャーと気付けばいつもの様に私と翼の言い合いが始まっていた。
それに周囲は付いて行けないと厭きれ返って、気付けば私の回りからはだんだん人が居なくなって行った。
そのまま喧嘩は収まる事を無く、授業を始める為教室に入ってきた先生が仲裁に入った事によってやっと収まった。
◇◆◇◆
「…しかし西園寺さん、よくあの椎名とやりあえるよね」
結局、翼との言い争いに決着が付かずに授業が始まったので不完全燃焼。
私は納得行かなくて、授業が始まってからずっとボールペンの芯をカチカチしていると、後ろから苦笑いを含んだ声が聞こえた。
「…えーっと、」
「あ。俺、西口ね」
挨拶した時に前後・左右の人の名前をチェックしたものの、まだ完全に覚え切れていなくて、名前を思い出そうとしたら先に言われてしまった。
「西口くんね!OK!…んで、西口くん。何でそう思うの?」
「だって…今までうちの学校であの椎名と対等に言い合える奴居なかったんだよ?」
「それって俺等からしたらスゴい事なんだよ」そう言って笑う西口くんだが…。
私からしてみればそんなの日常茶飯事の事。本当にごく当たり前の事なので、全く理解出来なかった。
そうなのかなぁ…? と、第三者から見た感じを考える。
―考えても考えても理解に苦しむ。
更に西口くんの言葉を色々と考えながら視線をあっちこっちと泳がすと、目に飛び込んできたのはエナメル素材のスポーツバッグ。
しかも、それはスポーツブランドの物では無く、飛葉中の文字。
…と言う事は……。
「…ねぇ、西口くんってさ…。もしかして野球部?」
「そうだよ?よく分かったね」
「ほら、鞄に飛葉中の名前入ってるし!」
「あー、そっか 西園寺さん、野球好き?」
「うん!私、野球好き!」
そう言うと、西口くんも笑顔を浮かべた。
お互いプロ野球の話に花を咲かせて居ると、「何、何?何の話?」と、二人の会話を近くで聞いていた女子も加わった。
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