01
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「うっ…、お腹痛い…。」
「どれだけ食べたんだよ…」
家を飛び出すと同時に、消化不良を起しているのかお腹が痛くなった。
玄関を出た先で待っていた翼は呆れ顔を浮かべながら、歩き出した。
「…? …ねぇ、翼。」
「何?」
「思うんだけど…、歩きで間に合う訳?」
朝早くから翼に急かされたので、さぞ予定の時間より遅れているのであろう、と思って居たのに急かした張本人は全く急いでいる気配が無い。
―むしろ、遅い。
「…いくら普通の人より背が低くて足が短いからって、もうちょっと遅く出ても…っでででで!」
思った事を正直に言ったら翼に頬を思いっきり引っ張られた。
「朝ちゃんと起した恩を忘れたとは言わせないよ? と言うか、HRより30分前には着く様に出てるから余裕だよ。」
「…は? さ、30分近くっ!?」
30分もあれば、おばさんの美味しい朝ごはんをもっとじっくり味わって食べれたし、髪型だってもうちょっとこだわれた…。
「私、翼に急かされたからあんなに慌ててご飯を食べたのに!?だからお腹痛くなったんだよ!?」
「あり得ない、本当あり得ない、この人本当酷い。優しさの欠片も無いわー」と言っていると、隣からプチン、と言う音が聞こえ…
「お前馬鹿? 転校初日は普通段取りとか色々あるんだよ。そんな事も知らないの?知らなかったとしても、この間学校側から説明あっただろうが。優貴は前々からバカだとは思ってたけど、人から言われた事ですら分からないバカだったなんてな。これが玲の妹とはとても思えないね。
それに加えて朝っぱらからギャーギャー五月蝿いよね。俺が聞こえてないとでも思ってんの?こっちは玲から「道案内してあげて」って言われたから必要じゃない時間に一緒に家を出て来てやってるんだから、怒鳴られるよりも感謝されるべきだね。と言うかお前は朝起させて道案内させてるんだから感謝するのが筋ってもんだろ?」
…一言どころが、お得意のマシンガントーク。
朝からの猛毒に普通なら脳みそが完全に思考停止する。
…でも、そこは私。上手い具合に聞き流した。それよりも、今なんとなく聞いていて気になる事が…。
「…前から思ってたけど、翼ってあんだけペラペラ喋ってても絶対噛まないよね。普通は噛むか息切れするかする筈なのに…。私だったら絶対一回は噛んでるし、息切れしてるわ」
その後、翼の本日二度目のプチンと言う音と共に私の頬は、餅の様にびよんびよんに伸ばされた。
◇◆◇◆
「今日から転校してきた西園寺優貴です! よろしくお願いします!」
学校に到着すると先ほどの(多分)喧嘩ですっかり機嫌を損ねてしまった翼は「後は自分でやれ」と無責任にも職員室に私を放り出して、スタスタと何処かへ行ってしまった。
知らない場で私がどうすればいいのかと戸惑っていると「西園寺さんかな?」と、たまたま近くに居た専任の教師に声を掛けられた。
校長室に通されてなにやら学校の規律だのなんだのを頭が寂しい校長が延々と喋っていたが、正直私は目の前の薄い頭が気になってしょうがなく、殆ど話は聞き流していた。
―どうせ入って体験してみなきゃ分からない事だし。
そして、あっと言う間に教室に連れて行かれ、気付けば転校最初のあいさつ。
私は教壇に立ち、ペコリとお辞儀をし、某ファーストフード店に負けないくらいの笑顔を浮かべた。
横で私の事を紹介をする担任の言葉を流しながら、どんな人が居るクラスなのかと教室内を見回すとよく見知ったあからさまに嫌そうな顔をした見知った人物が居て…。
その顔を見つけた瞬間、思わず叫んでしまった。
「あれ?翼じゃーんっ!!」
「…声でけぇよ」
頬杖をつきながら、はぁ、とため息を吐く翼に少しイラッとしたものの、見知った顔が居るのはなんだか嬉しかった。
私が翼に声を掛けた瞬間クラス一同はザワザワと騒ぎ出した。
「てか、同じクラスだったら置いていかなくてもいいじゃん!」
「いや、俺も知らなかった…。て言うか、学校来る前にクラス教えて貰わなかったのかよ?」
「え?聞いてないけど?」
予想外の答えにキョトンとして私は担任である小林先生を見ると、「保護者の希望があったんだよ」と苦笑いを浮かべ、翼はまた深い溜め息を吐いた。
(全く余計な事を…)
</a>