夜明け前 ────

サボは家の屋根の上で街の様子を見ていた。しかし、人の反応は普段と変わらず町に出ても賑やかさがあり、人々は笑顔で過ごしていた。しかし、そのうちの一人から不確かな物の終着駅（グレイ・ターミナル）で火事があることについて聞くと、「知っている」という返答をされた。

その返答を聞き、サボは驚き困惑した。高町の人々は、不確かな物の終着駅（グレイ・ターミナル）で火事があることを知っていて平気で普段通り過ごし、笑っている。この事実はサボにとって、とても恐ろしいことに感じられた。




その頃、不確かな物の終着駅（グレイ・ターミナル）ではエース、サファイア、ルフィがブルージャムの仕事の続きを始めようとしていた。

ブ「よぉ！来たな、チビ共」

エ「今日もあの箱を運ぶのか？」

ブ「ああ。それに、今夜は大仕事だ…内容は後で教える」

サ（なんだろう…胸騒ぎがする…）

サファイアは何事も起きないことを祈りながらエースの服の端を掴んでいた。





サボは走り続け、中心から離れて立ち止まった。すると、犬の散歩をしている一見優しそうで穏やかな老紳士に出会い、同じように聞いた。

サ「あ、あんたも…今夜、不確かな物の終着駅（グレイ・ターミナル）で火事があるって知ってるのか？」

「ああ…分かっておるとも」

老紳士は髭を整えながら答えた。

サ「町のやつらや、あんたも、なんで平気な顔してるんだ！？なんで誰も止めるやつがいないんだ！？」

サボの言葉を老紳士は黙って聞いていた。

「ふぉふぉ…どうやら坊やは、優しい子のようだな…」

そう言った紳士だが、次の瞬間顔を険しいものにして続けた。

「だが…よぉぉくお聞き…火事のことはみなが黙認すべきことだ！もし、【高町】以外の人間に漏れたら、どうする？」

老紳士の言葉にサボは恐怖し震えが止まらなかった。

「我々は特別なんだ！君も貴族の子なら…」

サ「うわぁぁぁ！！」

サボは叫び、逃げ出した。そして走りながら思ったことは不確かな物の終着駅（グレイ・ターミナル）に残してきた兄弟のことだった。

サ（エース！サファイア！ルフィ！…この町はどうかしてる！みんなイカれてる！…これから人が死ぬと知っていても、いつものように過ごし、笑顔さえ浮かべてる！…こんな町、いたくねぇ！早くあいつらに知らせねぇと！）

サボが走り続けていると警官隊に見つかり、サボは必死に逃げ続ける。それでも、3人のことを思いながら走り続ける。

サ（この町の人間たちは、今夜…国の汚点を焼き捨てる気なんだ！…不確かな物の終着駅（グレイ・ターミナル）から逃げろ！エース！サファイア！ルフィ！）

サ「逃げろ〜〜！！エース！サファイア！ルフィ！」

サボは必死に叫び、3人の無事を願い走り続けた。