サ『かっこいい！』

ル「すっげぇだろう！？本物の海賊船だぞ！！」

サ「海賊船！？じゃあ、ナグリがいつも作ってたのって‥‥」

ナ「1人じゃとなかなか進まなくてのう‥お前たち、こいつを作るの手伝ってくれんかのし」

サ「えっ？」

エ「手伝いだと？」

ナグリの提案にエースとサボは聞き返した。

ナ「“煮るなり焼くなり好きにしろ”と言ったのし」

エ「くっ‥‥」

エースは何も言えず黙った。

サ「ちょ、ちょっと待て！“たち”って俺とサファイアも手伝うのか！？」

ナ「ま、ついでじゃのし」

サ「“ついで”ってどんな理屈だよ！！」

サ『私は楽しみだな！海賊船作りをお手伝いできるなんて！』

サ「前向きだな！じゃなくて、俺たちは大虎倒すのに忙しいんだよ！」

サボがナグリと言い合っている間、エースは何か考え込んでいるようだ。

サ『どうしたの？エース』

エ「いや‥‥1つ聞かせろ！‥‥船なんか作ってどうするつもりだ？」

エースの質問にナグリは笑いながら答えた。

ナ「もちろん、海へ出る‥‥別れ別れになった仲間たちを探すために‥‥」

サ「海へ出るって‥‥」

ナ「なんじゃ？ジジイが海へ出てはいかんのか？」

サ「いや‥‥そんなことはねぇけど‥‥」

ナ「夢を追うのに年など関係ないのし！わしゃ誰がなんと言おうと、海へ出る！そう決めたんじゃのし！文句あるかの？」

サ『‥‥‥』

ナグリの固い決意にサファイアは圧倒された。その決意は母と同じだったからだ。

母《サファイア‥よく聞いてね‥人は1度決めたことは何があっても曲げてはいけないの‥‥とても辛いことや困難なことにぶつかってしまうかもしれない‥‥だけど、それでもまっすぐに貫けば、必ず報われるのよ‥‥母さんはずっとそんな仲間たちと一緒に過ごしてきたの‥だからこれからも、その意思だけは変えずに大切にしていきたいの… サファイアもこのことを忘れないで》

サ（海賊だった母さんと同じことを言っている‥‥ナグリさんは立派な海賊なんだ）

するとエースが反対方向に歩き出した。

サ「エース？」

エ「‥‥約束は約束だ‥船作りは手伝う‥‥それと‥‥」

ナ「‥‥」

エ「明日は俺が勝つ！」

それだけを言ってエースは再び歩き出した。

サ「なんだあ、そりゃ‥‥」

サ『ふふ、エースらしい』

エースの言葉を聞き、ナグリは小さく笑った。

【こうして始まったナグリとの海賊修行の日々‥船作りで体を鍛え、ナグリとの戦いで技を磨く日々は、エース、サボ、サファイア、ルフィの4人の少年、少女を心身ともに成長させていく‥‥そして季節はめぐり、不確かな物の終着駅（グレイ・ターミナル）にも遅い春が訪れようとしていた】