鹿を調達し、ダダン一家のアジトに戻ったのは日が沈んだ頃だった。

ル「帰ったぞぉぉぉ！！」

ダ「帰ってくんな！悪ガキ共！」

エースとサボはダダンの顔に鹿を投げつけた。

サ「晩飯だ」

エ「早く焼け」

ル「メーシ、メシ」

ダダンは勢いで倒れた。

サ『大丈夫ですか？』

サファイアはダダンに近づいてダダンの顔から鹿をどけた。

ダ「あ、あの悪ガキ共め‥‥」

サ『起き上がれます？』

ダ「平気だよ‥‥たくっ、しょうがねぇから焼くか‥‥」

サ『私も手伝います！』

夕飯の時‥‥肉が焼けたことで争奪戦が始まった。

サファイアとダダンは端の方で食事をしていた。

サ『ふふ、やっぱりみんなお肉のことになると勢いが止まらないですね』

ダ「全く静かにメシを食うことが出来ねぇのかねぇ」

ダダンはおちょこに酒を注ぎながら言った。

そんなダダンに左右から肉が顔に飛んできた。

最後には、おちょこが顔面に当たった。

サ『あ！』

サ（これは、爆発しちゃいそう‥‥）

ダ「うがぁぁぁ、食い物粗末にすんな！！」

サ『やっぱり‥‥』

叫んだダダンの後からルフィがダダンの頭に噛み付いた。

サ『え！？』

ダ「喰われるぅぅぅ！！」



食事の後、ダダンはエース達3人を風呂に投げ込んだ。

ダ「1万数えるまで出てくんな！！」

食事の終わった部屋は争奪戦で荒らされていたので、ダダン達は掃除を始めた。

ダ「たくっ‥‥なんで毎晩毎晩メシのあとは大掃除になんのさ！？」

サ『ルフィとサボが来てから、さらに掃除が増えましたね』

ダ「あいつら、絶てぇ追い出してやる！」

サ（こう言うけど、本当はとっても優しい人なんだもん‥‥ダダンさん、素直じゃないからなぁ‥‥）

サファイアはダダンの言葉に苦笑いを浮かべながら、掃除をする手を早めた。

数分後、掃除が終わり部屋は元通りになった。

ダ「あぁ、綺麗になった‥‥」

のも束の間‥‥

ル「へへへっ！！」

エ「ルフィ！！待ちやがれ、このっ！」

風呂から3人が上がってきて、濡れたまま部屋を走り回り、ルフィは囲炉裏の鍋をひっくり返して灰を散らかした。

ド「お、お頭‥」

ダダンの手は怒りで震えていた。

声をかけるドグラの方へ振り向いたダダンの顔は笑っていたが、目が笑っておらず手に持っていたブラシを折った。

サ『ダ、ダダンさん‥‥』

静かな怒りを感じてサファイアは背筋が凍るような思いをした。

サ『それより、3人とも！！』

ル「ああ、サファイア！」

サ『そのままの格好だと風邪ひいちゃうから服を着ておいで！』

サファイアは後ろを向きながら言った。

エ「！！わ、悪ぃ！！／／／」

ル「ああ、悪ぃ」

サファイアは冷静さを装うが気を失ってしまうのではないかというほど赤面していた。