エースが帰ってくる少し前‥‥



？「もうすぐ、着くから頑張るんじゃぞ」

小さな少女を連れて1人の老人が言う。

少女は、俯きながらついて歩く。

そんな少女を見て、海軍本部中将のモンキー・Ｄ・ガープはため息をついた。

ガ「サファイア‥‥」

ガープは立ち止まり、少女の名を呼んだ。

サファイアと呼ばれた少女は、名前に呼ばれて一瞬肩を震わせたが、ガープに視線をやった。

サファイアが目を合わせると、綺麗な瞳と目が合う。

ガープは、一瞬その瞳に目を奪われたが、すぐに正気に戻りサファイアの前に屈んだ。

ガ「どうした？少し疲れたか？」

と、優しく聞くとサファイアはガープに笑う

サ『大丈夫です！‥‥ガープさん』

ガープは、サファイアの頭を少し乱暴に撫で、

ガ「ガープさんじゃなくて、じいちゃんと呼べと言っとるだろ‥‥」

と少し困ったように言った。

ガープの言葉にサファイアは、可愛らしい笑みを浮かべ、はいっ！と言った。

その笑顔を見て、ガープもつられて笑った。

そして、サファイアの小さな手を取り再び歩き出した。

歩きながら、ガープはサファイアのことを考えた。


ガープがサファイアと出会ったのは三年前だった。

ある島で、海軍本部も危険視していた極悪海賊が暴れたという、報告が入った。

その海賊は、女子供構わず殺してしまう悪名をとどろかせた海賊だった。

その海賊を、捕らえるため“海軍の英雄”と呼ばれるガープも出向いた。

島に着いた時の光景は、凄まじいものだった。

島の人々は死に絶え、家々は燃えていた。

それでも、生き残りがいるかもしれないと消火活動に取り掛かり、捜索活動を行った。

ガープはその様子を見回りながら、自分も島の住民を探した。

しばらく、歩いていると倒れている人の足が見えた。

急いで、駆けつけてみるとそれは例の海賊だった。

海賊達は、一人残らず気絶していた。

ガープは、すぐに部下を呼びその海賊達を捕らえた。

海賊達が、連れていかれるのを見ながら、ガープは不思議に思った。

ガ（誰がいったい‥‥あ奴らを‥‥）

そう思いながら、ガープは海賊達が倒れていた周囲を人がいないか、探した。

すると、小さな人影を見つけた。

ガ「！！」

ガープは、すぐさま人影の方へ駆けていった。

そして、少し走った所に1人の少女がいた。


・・・それが、サファイアだった・・・


ガープの姿を見て、安心したのか大声で泣き始めたサファイアを抱え、ガープは船へと戻った。




ガープは少し落ち着きを取り戻したサファイアから話を聞いた。

少女の口から語られたのは耐え難い悲劇だった。