エ「じゃあな、サボ！」

サ「おう！また明日な！」

サ『バイバイ』

サボと別れエースとサファイアはダダン一家の小屋を目指して歩いていた。

サ『サボとはいつも、あそこで別れるの？』

エ「ああ、あいつは不確かな物の終着駅（グレイ・ターミナル）に住んでるらしいからな…俺は修行ってことでダダンの家から山道を歩いて来ているってことだ」

サ『そうなんだ。私も頑張らなくちゃ！』

ｶﾞｻｯ

しばらく歩いていると、茂みから音がした。

サ『な、何？』

エ「サファイア、下がってろ‥‥」

サ『う、うん‥』

サファイアはエース言われた通り近くの木の後ろに身を隠した。

エースが身構えた直後、巨大な鹿が飛び出してきた。

サ『うわぁ！』

エ「うぉぉ！！」

鹿が出てきた瞬間、エースも鹿に飛びかかった。

エ「はぁ！！」

エースは鹿に鉄パイプを力強く当て、気絶させた。

エ「は〜‥‥よしっ！サファイアもう出てきていいぜ」

エースに言われサファイアは恐る恐る出てきた。

サ『びっくりしたぁぁ‥』

エ「へへっ！まあ、今日の飯が手に入ったからいいじゃねぇか」

エースはサファイアの頭を撫でた。

サ『それもそうだね‥でも、エース‥こんなに大きな鹿運べるの？』

エ「こんなのが持てねぇで、強くなれねぇよ」

エースは軽々と鹿を持ち上げた。

サ『すごい‥』

エ「ん？」

サ『エースには驚かされてばかりだよ‥私と1つしか年が違うのに、こんなに強いんだもん‥みんなから頼りにされてる訳だなぁって思ったよ！』

自分のつぶやきに振り返ったエースにサファイアは笑顔を向けて言った。

エ「‥‥‥」

サ『エース？』

自分を見つめたまま何も、話さないエースにサファイアは不思議に思い、声をかけた。

エ「いや、なんでもねぇ‥‥」

サ『そう？』

歩き出したエースの後を歩くサファイアだが、その後ろ姿はどこか悲しげな雰囲気があることに、サファイアは気がついた。

サ『エース‥？』

エ「‥‥‥」

声をかけても、返答は無い。

サ『あの‥‥私で良ければ相談に乗るしそれに何か‥‥エ「サファイア‥‥」‥‥えっ？』

いきなり名前を呼ばれ、立ち止まるとエースは真剣な表情で振り返った。

エ「‥‥お前に聞きたいことがある」