エースに声をかけられ、一瞬戸惑ったが涙を拭って立ち上がり、エースに視線を向けた。

サ『今の‥‥見てました？』

エ「ああ、少しだけだがな」

サ『そうですか‥‥』

サファイアは少し俯いた。

エ「悪かった‥‥」

サ『どうして‥‥エースさんが謝るんですか？』

エ「いや、聞かれたくないこととか聞いちまったし‥‥しかも、ほぼ盗み聞きだったからよ」

申し訳ない顔をするエースを見て、サファイアはエースに微笑んだ。

サ『謝らないでください。エースさんは悪くないです』

エ「だけど‥‥」

サ『いいんです』

エ「！！」

驚くエースにサファイアは続けた。

サ『私が未熟なだけなんです‥皆さんが親切にしてくれているのに、吹っ切る事が出来ない…弱い私のせいなんです』

エ「‥‥‥」

サ『だから、謝らないでください』

サファイアは笑った。しかし、その笑顔は悲しみを必死に押し殺そうとしている笑顔だとエースは感じた。

エ「‥‥‥何で‥‥」

サ『えっ？』

エ「何で‥笑ってんだよ‥‥」

サ『！？』

エ「無理してんじゃねぇよ！！！」

サ『…』

エ「泣きたい時は泣けよ！！泣けねぇなら！！！















これからは、俺がそばに居てやる！！！」

サ『！！！』

エ「だから、無理して笑おうとするな！！！」

エースの言葉が心に響く。

サファイアはそんな気がした。

エースの言葉で何か胸の中で苦しかったものが無くなった気がしたサファイアは泣いた。

サ『うぅぅ‥‥ひっぐ‥ふぇぇん‥‥ふぅ‥』

サファイアの泣いている姿を見て何故かエースは安心した。

エ(こいつは、こんなに泣くほど辛い事があったんだな‥‥)

サ『ふぅぅ‥‥エ‥』

エ「ん？」

サ『エース‥‥さん』

エ「‥‥‥‥エース‥‥」

サ『ふぇ？』

サファイアは少し間抜けな声をあげた。エースは顔を逸らしながら言った。

エ「その‥‥さん付けはやめろ‥堅苦しいし‥エースって呼んでいいぜ‥あと、敬語もなしだ！」

サ『い、いいの？』

エ「おう！」

エースはサファイアの方に顔を向け、ニカッと笑いながら頭を撫でた。

サ『あ、ありがとう‥エース‥‥』

サファイアは嬉しさで涙が溢れたが、必死に笑顔をエースに向けた。