それからゴア王国の新聞では連日天竜人と世界政府の視察団の歓迎パーティーについての記事しか載っていなかった。

ルフィは何日も食事も食べず、4人で自分たちの夢を語った丘でうつ伏せで寝ていた。何度も思い返されるサボとの思い出にルフィは何度も涙を流した。ルフィの元にエースとサファイアが近づき、エースは隣に立ち、サファイアはルフィの隣に座る。

エ「はぁ〜」

ゴンッ！

エースはルフィの頭を殴った。サファイアはいつもはそれを止めるが今回は止めない。エースのそれは怒りによるものでもなく、八つ当たりによるものでもないと分かっていたからだ。

エ「いつまでそうやってるつもりだよ」

ル「…」

ルフィは帽子を強く握る。

エ「…〈中間の森〉に隠していた財宝は、全部無くなってた…生き残ったブルージャムの一味に奪われたか、軍隊に見つけられたのか、行方は分からねぇ…でも、あの財宝のことはもういい…あれは…サボとサファイアと3人で使うと決めてた、海賊貯金だ…結局、サボは使わなかったんだ…だから、俺ももう、別にいい…守れもしねぇ財宝を集めても、仕方ねぇ…」

エースの話を聞いていたルフィは涙が溢れてきた。

ル「エース…サファイア…俺は…」

エ・サ「『？』」

ル「…もっと…強くなりたい！」

ルフィは帽子を握りしめながら強く言った。

エ「……」

サ『ルフィ…』

ル「もっと…もっと…もっともっと…もっともっと…もっと！もっともっと！もっともっと！もっともっと…もっともっと…もっと！強くなって！…そしたら…なんでも守れる…誰もいなくならなくて済む！」

エースとサファイアは黙ってルフィの言葉を聞いていた。

ル「お願いだからよぉ…エースとサファイアは…死なないでくれよぉ…」

ルフィの言葉は心からの願いがこめられていた。それ程までに失うことの恐ろしさと悲しさを感じたのだとサファイアは思った。

サ『ルフィ…』

エ「バカ言ってんじゃねぇよ！！」

エースはルフィを殴った。

エ「俺の前にてめぇの心配しやがれ！俺よりはるかに弱ぇくせによ！…いいか！覚えとけルフィ！…俺は死なねぇ！！」

エースはルフィにはっきりと告げた。