『ん…』


目が覚めて朝食を食べて準備をして家を出ると、既に家の前には沖田くんがいた。


「おはよ、みのりちゃん。昨日はちゃんと早く寝た？」


『…はい』


なかなか眠れなかったけど、という言葉は飲み込んだ。


「…さて、行こうか？」


そう言って沖田くんが手を差し出す。


『？なに…？』


「何って、手を繋ぐに決まってるじゃない」


『え？でも恋人役は昨日で終わりじゃ…』


「いいから。」


沖田くんは強引に私の手を取った。


でも私の手を包み込む沖田くんの手は優しくて…


暖かかった。
















そして昼休み、私は沖田くんに呼び出され、屋上にいた。


『用事ってなに…？』


「…昨日、恋人役、したよね？」


『うん。』


「それで、報酬貰おうと思って。」


『!!…報酬って何…？』


「…みのりちゃん」


薄い笑みから真剣な表情に変わって、言った。


「…みのりちゃん。君が好きなんだ。昨日だけじゃない、これからもみのりちゃんの彼氏で居させて…？」


『!!』


「…どうかな？」


昨日の沖田くんを思い出す。


…沖田くんは困ってる私を助けて、優しくしてくれた…


「…返事は？」


『…私で良ければ。是非』


照れながら言うと、沖田くんは今までで一番嬉しそうに笑った。







僕と君の恋愛事情

(遠回りしたけど、みのりちゃんの彼氏になれて幸せだよ)(私も、沖田くんの彼女で幸せだよ♪)