南雲薫
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『薫…!?』
「薫…っ!」
「みのり…っ!」
薫はぎゅっと私を抱き締める。
「…何となく、わかってたんだ。みのりが俺と別れてくれなんて、絶対無いって確信があったから。」
『…聞いてたの…?』
「あぁ」
…そうだよね、そうじゃなきゃこんなタイミング良く来ないよね…
『やだなぁ…。やめてよ』
声が、体が震える。
『ずっと、我慢してたのに…っ、また、薫のこと好きって気持ちが溢れちゃうよ…』
だって、まだ嫌いになれてないんだもん…
そういうと、薫は言った。
「嫌いになる必要なんかないっ!」
『…かおる…?』
「…正直にいうよ。あの時毎日千鶴の所へ行っていたのは、みのりに嫉妬して欲しかったからなんだよ」
『!!?』
どういう、こと…?
「あの頃から、みのりは何時も俺達のことを何よりも優先してくれた。俺達の境遇を知っていたし、何より、みのりは優しいからな。…俺は、ずっとそれに甘えていたんだ…それが、お前を傷つけているとも思わずにな…」
薫が自嘲する。
「彼氏として失格だよ…お前が苦しんでるのに気付かずに、自分の感情を優先して、お前に甘え続けて…結果的に自分の首も締めていた」
私はそれを黙って聞いている。
「お前のいない間、お前にどれだけ助けられているか思い知らされたよ…みのりがいないと、俺は生きるのですら億劫になる…、俺が自分を嫌っていたとき、ずっと黙ってそばにいて、手を握っていてくれたのはみのりなのにな、それすら忘れてたんだ…」
『…そういえば、そんなこともあったね』
薫の腕の中で呟く。
薫の腕の力が増す。
薫が南雲家に引き取られ、虐げられ、荒んでいたとき。
丁度同じ学校、同じクラスで、たまたま席替えで隣になったのが私だった。
薫はいつも上の空で授業を受けていて、先生にさされたのに、私が呼ぶまで気付かないなんてしょっちゅうだった。
そして、たまたま帰るのが遅くなった日、薫の自宅から薫が出てくるのが見えて、私は自然と薫を追っていた。
薫が公園のベンチに腰掛けたのを見て、この寒い時期に、体が冷えても困ると思ったから、ミルクティーとコーンポタージュとコーヒーのホットを買って薫の元へ行った。
「…」
『…飲む?』
地面に向けられたら薫の視界に、コーヒーを入れる。
「…いらない」
薫は最初断ってたけど、薫が震えてるのが見て取れたから、頬にコーヒーを押し付けた。
「っ!?」
慌てて離れる薫。
『ほら、南雲くん、冷え性ってか低体温なんでしょ?こんな時期に体冷やしたら大変だよ?』
といって、無理やり薫にコーヒーを握らせた。
「…お節介」
『え?ミルクティーのが良かった?コーンポタージュもあるけど、どうする?』
なんて言って、結局私は自分の買ったホットの奴全部渡したんだったね。
「…」
薫は心底嫌そうな顔をしてたけど、私は黙ったまま薫の隣に座って星空、というか曇った空を見上げていた。
『…』
「…聞かないの?」
沈黙に絶えきれなくなったのか、ただ疑問に思ったのか、薫は私にそう問い掛ける。
『ん?なにを?』
「なにをって…俺がこんなところにいるって知ってるってことは、俺が家から出てきたのも見てるんだろ?」
『…鋭いなぁ、南雲くんは』
「うるさいな、それで?」
『?』
「だから、なんで追いかけて来たのかって聞いてるんだよ」
薫が苛立ちを隠さずいう。
『…そうだなぁ…なんかほっとけなかったから』
「…は?」
『だから、ほっとけなかったんだよ。よく言われるんだけどね、余計なお節介って…』
私がよかれと思ってやったことも、相手に取ったらただのお節介かもしれない。
それでも、私はほっとくなんてできなかった。
…孤独な過去は、誰にでもあるものだけど、人によって度合いは違う。
私はわりかし酷い方で、何となく、薫もそんな気がしたから。
「…お節介って言われるってわかってたのに来たのか?バカな奴…」
『よく言われる、でもね、それが私の性分だから、仕方ないって諦めてる。仕方ないっていっちゃったら、全ておしまいなんだけどね』
薫はびくりと反応する。
私は黙って悴んだ両手に息を吹きかけた。
すると…
『っ!?』
ぴとっと何かが頬に当てられ、私は声もなく悲鳴を上げる。
『…南雲くん?』
犯人は薫だった。
私の頬にミルクティーの缶を当てたのだ。
「…寒いんだろ?」
といって薫は私にミルクティーの缶を押し付けた。
『…』
私が呆然としていると、薫が言う。
「俺、コーヒーの方が好きだからやるよ」
…若干微笑を浮かべて。
私も笑って、『…私が買った奴なんだけどな』と言った。
それから、薫は自分の身の上に起きたことを話してくれた。
双子の妹、千鶴ちゃんがいたこと。
大人の身勝手な理由で、二人が離れ離れになったこと。
…引き取られた南雲家で、虐げられたこと。
私は黙って耳を傾けていた。
『…それで南雲くん、ずっと上の空だったんだね』
千鶴ちゃんのことを思って、南雲家でのことを思い出して、空を見上げてたんだろうな。
「…見てたのか?」
薫が目を見開いて言う。
『だって隣の席だもん。嫌でも目に入っちゃうよら、私見るのが嫌とか言うんじゃなくて、南雲くんが見られたくないって言ってもね』
笑いながら言う。
「…お前、なんか不思議な奴だな」
『そう?初めて言われた』
「あぁ。なんて言うか…
…暖かい」
私は目を見張る。
薫が涙を流していたから。
私は黙って、ベンチにおかれた薫の手に、自分の手を重ねた。
薫の手が冷えないように、…私の気持ちが、伝わりますように。
しばらくすると、薫は涙を拭った。
「やっぱお前不思議な奴だよ。…あたたかくて、優しい。お前みたいな奴に会ったの初めてだよ」
若干目尻に涙をのせながら、薫が笑う。
「でも、不思議と嫌じゃない。…なんか、すっきりした気がする。」
確かに、薫の顔は、前よりすっきりして見えた。
『良かった』
私は笑う。
「…お前、名前は?」
『…同じクラスなんですけど』
「お生憎様、俺クラスメイトには興味ないからさ。…お前は別だけど。…で、名前は?」
『江藤みのり。よろしく、南雲く「薫」…え?』
「薫って呼べよ」
『え?いいけど…なんで?』
「お前には南雲って呼ばれたくない」
『…わかった。よろしく、薫』
「あぁ、よろしく、みのり」
それから、私達は連絡先を交換して、学校でもよく話し、帰りもよく寄り道するようになった。
それから、薫に告白されて付き合うのは直ぐだった。
「あの頃から、お前は、人の感情には人一倍敏感なのに、自分に対する感情には鈍感だったよな」
『…そうだっけ?』
「そうさ。現にお前は、辛いのに自分の感情に蓋をして、ずっと我慢してた。…それに気付けなかったなんて、俺は一体今までお前のなにを見ていたんだろうな」
薫にそんなこと言って欲しくなくて、私も薫をぎゅっと抱き締める。
『そんなこと言ったら私もだよ。薫が嫉妬して欲しいって思うってことは、不安だったんでしょ?私もそれに気付けなかった…ごめんなさい』
「みのりは謝ることなんてないさ」
『だったら、薫も謝ることないよ。お互い様。ね?』
私がそう笑うと、薫は困ったようにため息ついて笑った。
「…ったく。お前にはかなわないよ。…みのり、さっき千鶴が言ってた通り、俺は今でもみのりを愛してる、みのりは…?」
『私だって、今でも薫を愛してる。』
いつの間にか千鶴ちゃんは気を利かせたのかいなくなっていた。
「…みのり、愛してる」
『私も、薫を愛してる。』
薫の手が私の頬に触れ、優しく唇が重なった。
久々にした薫とのキス。
気持ちが溢れて、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
それは薫もそうなのか、なかなか唇が離れない。
いつの間にか私も溺れ、深いキスをしていた。
久しぶりにしたキスは、
涙の味がした…
結局どちらも遠回り
(愛しいみのり…もう絶対に離してなんかやらないから、覚悟しときなよ)
「薫…っ!」
「みのり…っ!」
薫はぎゅっと私を抱き締める。
「…何となく、わかってたんだ。みのりが俺と別れてくれなんて、絶対無いって確信があったから。」
『…聞いてたの…?』
「あぁ」
…そうだよね、そうじゃなきゃこんなタイミング良く来ないよね…
『やだなぁ…。やめてよ』
声が、体が震える。
『ずっと、我慢してたのに…っ、また、薫のこと好きって気持ちが溢れちゃうよ…』
だって、まだ嫌いになれてないんだもん…
そういうと、薫は言った。
「嫌いになる必要なんかないっ!」
『…かおる…?』
「…正直にいうよ。あの時毎日千鶴の所へ行っていたのは、みのりに嫉妬して欲しかったからなんだよ」
『!!?』
どういう、こと…?
「あの頃から、みのりは何時も俺達のことを何よりも優先してくれた。俺達の境遇を知っていたし、何より、みのりは優しいからな。…俺は、ずっとそれに甘えていたんだ…それが、お前を傷つけているとも思わずにな…」
薫が自嘲する。
「彼氏として失格だよ…お前が苦しんでるのに気付かずに、自分の感情を優先して、お前に甘え続けて…結果的に自分の首も締めていた」
私はそれを黙って聞いている。
「お前のいない間、お前にどれだけ助けられているか思い知らされたよ…みのりがいないと、俺は生きるのですら億劫になる…、俺が自分を嫌っていたとき、ずっと黙ってそばにいて、手を握っていてくれたのはみのりなのにな、それすら忘れてたんだ…」
『…そういえば、そんなこともあったね』
薫の腕の中で呟く。
薫の腕の力が増す。
薫が南雲家に引き取られ、虐げられ、荒んでいたとき。
丁度同じ学校、同じクラスで、たまたま席替えで隣になったのが私だった。
薫はいつも上の空で授業を受けていて、先生にさされたのに、私が呼ぶまで気付かないなんてしょっちゅうだった。
そして、たまたま帰るのが遅くなった日、薫の自宅から薫が出てくるのが見えて、私は自然と薫を追っていた。
薫が公園のベンチに腰掛けたのを見て、この寒い時期に、体が冷えても困ると思ったから、ミルクティーとコーンポタージュとコーヒーのホットを買って薫の元へ行った。
「…」
『…飲む?』
地面に向けられたら薫の視界に、コーヒーを入れる。
「…いらない」
薫は最初断ってたけど、薫が震えてるのが見て取れたから、頬にコーヒーを押し付けた。
「っ!?」
慌てて離れる薫。
『ほら、南雲くん、冷え性ってか低体温なんでしょ?こんな時期に体冷やしたら大変だよ?』
といって、無理やり薫にコーヒーを握らせた。
「…お節介」
『え?ミルクティーのが良かった?コーンポタージュもあるけど、どうする?』
なんて言って、結局私は自分の買ったホットの奴全部渡したんだったね。
「…」
薫は心底嫌そうな顔をしてたけど、私は黙ったまま薫の隣に座って星空、というか曇った空を見上げていた。
『…』
「…聞かないの?」
沈黙に絶えきれなくなったのか、ただ疑問に思ったのか、薫は私にそう問い掛ける。
『ん?なにを?』
「なにをって…俺がこんなところにいるって知ってるってことは、俺が家から出てきたのも見てるんだろ?」
『…鋭いなぁ、南雲くんは』
「うるさいな、それで?」
『?』
「だから、なんで追いかけて来たのかって聞いてるんだよ」
薫が苛立ちを隠さずいう。
『…そうだなぁ…なんかほっとけなかったから』
「…は?」
『だから、ほっとけなかったんだよ。よく言われるんだけどね、余計なお節介って…』
私がよかれと思ってやったことも、相手に取ったらただのお節介かもしれない。
それでも、私はほっとくなんてできなかった。
…孤独な過去は、誰にでもあるものだけど、人によって度合いは違う。
私はわりかし酷い方で、何となく、薫もそんな気がしたから。
「…お節介って言われるってわかってたのに来たのか?バカな奴…」
『よく言われる、でもね、それが私の性分だから、仕方ないって諦めてる。仕方ないっていっちゃったら、全ておしまいなんだけどね』
薫はびくりと反応する。
私は黙って悴んだ両手に息を吹きかけた。
すると…
『っ!?』
ぴとっと何かが頬に当てられ、私は声もなく悲鳴を上げる。
『…南雲くん?』
犯人は薫だった。
私の頬にミルクティーの缶を当てたのだ。
「…寒いんだろ?」
といって薫は私にミルクティーの缶を押し付けた。
『…』
私が呆然としていると、薫が言う。
「俺、コーヒーの方が好きだからやるよ」
…若干微笑を浮かべて。
私も笑って、『…私が買った奴なんだけどな』と言った。
それから、薫は自分の身の上に起きたことを話してくれた。
双子の妹、千鶴ちゃんがいたこと。
大人の身勝手な理由で、二人が離れ離れになったこと。
…引き取られた南雲家で、虐げられたこと。
私は黙って耳を傾けていた。
『…それで南雲くん、ずっと上の空だったんだね』
千鶴ちゃんのことを思って、南雲家でのことを思い出して、空を見上げてたんだろうな。
「…見てたのか?」
薫が目を見開いて言う。
『だって隣の席だもん。嫌でも目に入っちゃうよら、私見るのが嫌とか言うんじゃなくて、南雲くんが見られたくないって言ってもね』
笑いながら言う。
「…お前、なんか不思議な奴だな」
『そう?初めて言われた』
「あぁ。なんて言うか…
…暖かい」
私は目を見張る。
薫が涙を流していたから。
私は黙って、ベンチにおかれた薫の手に、自分の手を重ねた。
薫の手が冷えないように、…私の気持ちが、伝わりますように。
しばらくすると、薫は涙を拭った。
「やっぱお前不思議な奴だよ。…あたたかくて、優しい。お前みたいな奴に会ったの初めてだよ」
若干目尻に涙をのせながら、薫が笑う。
「でも、不思議と嫌じゃない。…なんか、すっきりした気がする。」
確かに、薫の顔は、前よりすっきりして見えた。
『良かった』
私は笑う。
「…お前、名前は?」
『…同じクラスなんですけど』
「お生憎様、俺クラスメイトには興味ないからさ。…お前は別だけど。…で、名前は?」
『江藤みのり。よろしく、南雲く「薫」…え?』
「薫って呼べよ」
『え?いいけど…なんで?』
「お前には南雲って呼ばれたくない」
『…わかった。よろしく、薫』
「あぁ、よろしく、みのり」
それから、私達は連絡先を交換して、学校でもよく話し、帰りもよく寄り道するようになった。
それから、薫に告白されて付き合うのは直ぐだった。
「あの頃から、お前は、人の感情には人一倍敏感なのに、自分に対する感情には鈍感だったよな」
『…そうだっけ?』
「そうさ。現にお前は、辛いのに自分の感情に蓋をして、ずっと我慢してた。…それに気付けなかったなんて、俺は一体今までお前のなにを見ていたんだろうな」
薫にそんなこと言って欲しくなくて、私も薫をぎゅっと抱き締める。
『そんなこと言ったら私もだよ。薫が嫉妬して欲しいって思うってことは、不安だったんでしょ?私もそれに気付けなかった…ごめんなさい』
「みのりは謝ることなんてないさ」
『だったら、薫も謝ることないよ。お互い様。ね?』
私がそう笑うと、薫は困ったようにため息ついて笑った。
「…ったく。お前にはかなわないよ。…みのり、さっき千鶴が言ってた通り、俺は今でもみのりを愛してる、みのりは…?」
『私だって、今でも薫を愛してる。』
いつの間にか千鶴ちゃんは気を利かせたのかいなくなっていた。
「…みのり、愛してる」
『私も、薫を愛してる。』
薫の手が私の頬に触れ、優しく唇が重なった。
久々にした薫とのキス。
気持ちが溢れて、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
それは薫もそうなのか、なかなか唇が離れない。
いつの間にか私も溺れ、深いキスをしていた。
久しぶりにしたキスは、
涙の味がした…
結局どちらも遠回り
(愛しいみのり…もう絶対に離してなんかやらないから、覚悟しときなよ)