寺光遙日
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ある日、珍しく朝早く起きたので、近くの公園まで行ってみることにした
公園に着くと、澄んだ朝の空気を胸一杯に吸い込む
たまには早起きも捨てたもんじゃないな、と思っていると、一人の男の子が公園で何かしていた
何してるんだろう…
そう思いながら見ていると、男の子はどうやらダンスの練習をしているらしかった
息を切らしながら、必死で踊っている男の子…
その様子はどこか楽しそうで…
私は、近く自販機でスポーツドリンクを買い、彼に声をかけることにした
スポーツドリンクを手に、彼の様子を伺う
少しすると、男の子は大きく息をして止まった
今だ、と思って声をかける
『…あの』
「え!?」
男の子が驚いてこっちを振り返る
『…あの、良かったらこれ、使ってください』
そう言って、ハンカチとスポーツドリンクを差し出す
「…」
目を見開いたまま固まる彼に、馴れ馴れしかったかな…と思い、慌てて言葉を追加する
『あ、あの、よかったら!で、いいので…要らなかったら、捨てちゃってください』
私はそう言うと、ドリンクとハンカチを地面に置こうとする
…それを、男の子の声が止めた
「あ、ありがとうございます!」
『…?』
私が視線を彼に戻すと、彼はゆっくりこっちに歩いてきた
なので、私は無言でドリンクとハンカチを渡す
「…へへ、ありがとうございます!」
それを受けとると、彼は嬉しそうに笑う
それに、私はほっとした
男の子は喉が渇いていたのか、ドリンクを受けとると一気に飲み干した
「…はぁー、生き返るー…」
『…ふふ』
彼があまりにもしみじみと言うので、私は思わず笑ってしまった
「あ、笑うなよな!」
彼は頬を少し赤く染めてそう言う
『す、すみません…よほど喉が渇いていたんですね』
私がそう微笑みかけると、彼は事情を話してくれた
「いやー、俺、いつもこの公園で練習してるんだけど、今日はたまたまスポドリ忘れちゃって…」
そう言って頭をかく彼に、私はまた微笑む
『…凄い、努力家さんなんですね』
「え…?」
彼はポカーンという顔をしていた
『あっ…すみません、知ったかぶった発言して…』
「い、いや…」
私は恥ずかしくなってうつむいた
彼も、何て言っていいのかわからないらしく、無言だった
『…あ、すみません、私がいるとお邪魔ですよね!それじゃあ私ー…「待って!」…え?』
そう言えば、彼がダンスの練習中だったことを思い出し、慌てて踵を返そうとすると、彼に引き留められる
「あっ…その…もう少し、見ていかない?」
男の子は、頬を赤くして、言葉に迷っていたようだけど、決心したのかそう言った
『…いいんですか?』
私が首をかしげると、彼は笑う
「勿論!」
『…なら…もう少しだけ』
私はお邪魔にならないように遠くから、彼のダンスの練習を見ることにした
ー…それから数十分経ち、彼はようやく動きを止めた
「…」
はあはあと苦しそうに息をしている彼を見て、私はほぼ無意識に彼に近づいて、彼の額の汗をハンカチで拭っていた
彼が驚いて目を丸くするのを見て、ようやく我に返る
『あっ!す、すみません!つい…!』
私は慌てて彼から距離を取った
彼は、いまだに私を見て目を丸くしている彼を見て、いたたまれなくなり…視線を地面に落とす
(急にあんなことして、馴れ馴れしかったよね…)
もう一度謝ろうと顔をあげると、彼は私を見て穏やかな笑顔を浮かべていた
『…え…?』
思っていた反応と違い、私は混乱する
「…ありがとうね。でも…」
そこで言葉を区切った彼は、急に私を引き寄せて、耳元で囁いた
「…こんなこと、簡単に男にしたらダメだよ?こうやって、簡単に勘違いするから…」
耳に彼の吐息が辺り、思わずびくんと体が跳ねる
「…うわぁ!?ご、ごめんなさい!」
私の反応を見た彼は、慌てて私から離れた
『…え?』
おもわず目が点になる
彼は、顔を真っ赤にして、口許に手をやり、視線を落としていた
その表情に、とくんと胸が高鳴るのがわかった
『…ふふ、可愛い』
思わず小さく笑って呟くと、彼はムッとした様子で言う
「男は可愛いって言われてもうれしくないからね!?」
『ふふ、すみません…』
コロコロと表情を変える彼は、すごくかわいいのに、さっきまであんなにハードに練習をしていたことを思い出すと、ちゃんと男の子なんだなぁ、と思う
「…寺光遙日」
『え?』
「だから…俺の名前、寺光遙日って言うんだ。…君は?」
『私は、江藤みのりって言います』
「…江藤、みのりちゃん…」
私の名前を、小さく復唱する寺光くん
『はい、なんでしょう?』
それに返事をすると、彼はにへらと笑った
「…俺、いつもこの時間はここで練習してるんだ。だから…もし、また気が向いたら、来て」
そういわれ、私は笑顔で頷いた
『はい!』
ー…そんな、寺光くんこと、遙日くんと出会ってから数年、私のお腹には、新しい命が宿っています
「…あ!動いた!」
『もう、遙日くん、そろそろお仕事じゃないの?』
「えー?もうちょっとだけ!」
あれから、私と遙日くんはお付き合いを始め、数年後に結婚した
お腹は、結婚式から数日たった時に、しばらく体調が悪い日が続いたから、心配した遙日くんが、病院に連れていってくれた
病院では、検査をすると妊娠していると告げられた
それを聞いたときの遙日くんの絶叫を、私はいまだに忘れられない
それから、だんだんお腹が大きくなる私を、遙日くんはお姫様のように扱ってくれる
大丈夫だよと言って階段を一人で降りようとしたら、遙日くんはめちゃくちゃ慌てて止めてきた
出産を間近に控えると、遙日くんは毎日私のお腹に触るのだ
そして、お腹の子がお腹を蹴るのを感じると、ぱあぁぁと顔を輝かせる
なんだか、小さい子どもみたいな旦那様だが、そこが私にはとても愛おしく思えるのだ
惚れた弱味ってやつだろうか?
それから、陣痛が始まったときは私一人だったけど、私が〝陣痛来た〟とメッセージを送ると、飛んで来てくれたのだ
なんでも、
〝嫁が出産なんで、お願いします!〟
ってスタッフさんに頭を下げてまで来てくれたらしい
私の出産に立ち会うって聞いたときは驚いたけど、彼が、私の傍で、私の手を両手でぎゅっと握って、〝頑張れ、頑張れ!〟って涙目で応援してくれたときは、本当に元気を貰った
お陰で、赤ちゃんはどこも異常なしで生まれてきてくれた
赤ちゃんの無事を確認すると、私は気が抜けて意識を失った
次に目が覚めたとき、遙日くんは、ベッドの横で私の手を両手で握りながら、必死に祈っていてくれた
ただの出産疲れだと分かっていたらしいけど、どうしても気が気じゃ無かったんだとか
私が目が覚めると、遙日くんは安心して泣き出してしまった
本当に優しい旦那様だ…
遙日くんと結婚してよかったと、心から思った
私が立ち上がれるようになると、二人で赤ちゃんを見に行った
沢山の赤ちゃんがいる中で、遙日くんがあまりにも簡単に自分の子どもを見つけたので、私は驚いた
彼いわく、〝みのりに似て超可愛いから!〟とのこと
彼と一緒に赤ちゃんを抱かせて貰ったときは、彼は私以上に感動していた
遙日くんが抱く赤ちゃんに、人差し指をそっと出すと、赤ちゃんは私の指を握った
「…っ!俺、絶対にみのりと子供を守るから!絶対に、絶対に…!」
そう遙日くんは誓ってくれた
あの日、私達の子供が生まれてから数年…
子供もある程度大きくなった頃、私はまた妊娠を告げられた
『…ふふ、また遙日くん、私の出産の時は泣くんだろうなぁ』
私がそんな暖かな気持ちを抱きながらお腹をなでていると、遙日くんが娘を抱いてやって来た
「みのり」
「おかあさーん!」
『あら、どうしたの?』
遙日くんに下ろしてもらって、私のところまでかけてくる娘
遙日くんも歩いてやって来た
「おかあさん、だいじょーぶ?」
『えぇ、大丈夫よ。心配してくれてありがとう』
娘の頭を優しく撫でる
「…あ、そうそう、みのりの出産予定日付近は、俺、まとめてオフ貰ったから」
『…えっ!?それ大丈夫なの?』
あまりにも当然と言う感じで言う遙日くんに、私は目を丸くする他なかった
「うん、大丈夫。…こいつにも寂しい思いさせたくないし」
遙日くんはそう言うと、穏やかに笑って娘を撫でる
『…立派な子煩悩の親バカね』
私が思わずそう言うと、遙日くんはムッとするが、すぐに穏やかに笑う
『…怒らないの?』
「だって本当のことだし、それに…みのりは、そんな俺のことも好きでしょ?」
そう言われてしまえば、私は驚くが頬が自然と緩んでしまう
「あと…みのりと子供たちは、俺が守るって決めてるから…たとえ我が子の出産でも、一人でさせたくはないんだよ」
『…遙日くん…』
「…へへ、だって俺達家族だろ?」
『…うん、そうだね。ありがとう…』
本当に心強い旦那様に、私は微笑み返した
妊娠、出産
(これからも、俺がずっと守るから)
公園に着くと、澄んだ朝の空気を胸一杯に吸い込む
たまには早起きも捨てたもんじゃないな、と思っていると、一人の男の子が公園で何かしていた
何してるんだろう…
そう思いながら見ていると、男の子はどうやらダンスの練習をしているらしかった
息を切らしながら、必死で踊っている男の子…
その様子はどこか楽しそうで…
私は、近く自販機でスポーツドリンクを買い、彼に声をかけることにした
スポーツドリンクを手に、彼の様子を伺う
少しすると、男の子は大きく息をして止まった
今だ、と思って声をかける
『…あの』
「え!?」
男の子が驚いてこっちを振り返る
『…あの、良かったらこれ、使ってください』
そう言って、ハンカチとスポーツドリンクを差し出す
「…」
目を見開いたまま固まる彼に、馴れ馴れしかったかな…と思い、慌てて言葉を追加する
『あ、あの、よかったら!で、いいので…要らなかったら、捨てちゃってください』
私はそう言うと、ドリンクとハンカチを地面に置こうとする
…それを、男の子の声が止めた
「あ、ありがとうございます!」
『…?』
私が視線を彼に戻すと、彼はゆっくりこっちに歩いてきた
なので、私は無言でドリンクとハンカチを渡す
「…へへ、ありがとうございます!」
それを受けとると、彼は嬉しそうに笑う
それに、私はほっとした
男の子は喉が渇いていたのか、ドリンクを受けとると一気に飲み干した
「…はぁー、生き返るー…」
『…ふふ』
彼があまりにもしみじみと言うので、私は思わず笑ってしまった
「あ、笑うなよな!」
彼は頬を少し赤く染めてそう言う
『す、すみません…よほど喉が渇いていたんですね』
私がそう微笑みかけると、彼は事情を話してくれた
「いやー、俺、いつもこの公園で練習してるんだけど、今日はたまたまスポドリ忘れちゃって…」
そう言って頭をかく彼に、私はまた微笑む
『…凄い、努力家さんなんですね』
「え…?」
彼はポカーンという顔をしていた
『あっ…すみません、知ったかぶった発言して…』
「い、いや…」
私は恥ずかしくなってうつむいた
彼も、何て言っていいのかわからないらしく、無言だった
『…あ、すみません、私がいるとお邪魔ですよね!それじゃあ私ー…「待って!」…え?』
そう言えば、彼がダンスの練習中だったことを思い出し、慌てて踵を返そうとすると、彼に引き留められる
「あっ…その…もう少し、見ていかない?」
男の子は、頬を赤くして、言葉に迷っていたようだけど、決心したのかそう言った
『…いいんですか?』
私が首をかしげると、彼は笑う
「勿論!」
『…なら…もう少しだけ』
私はお邪魔にならないように遠くから、彼のダンスの練習を見ることにした
ー…それから数十分経ち、彼はようやく動きを止めた
「…」
はあはあと苦しそうに息をしている彼を見て、私はほぼ無意識に彼に近づいて、彼の額の汗をハンカチで拭っていた
彼が驚いて目を丸くするのを見て、ようやく我に返る
『あっ!す、すみません!つい…!』
私は慌てて彼から距離を取った
彼は、いまだに私を見て目を丸くしている彼を見て、いたたまれなくなり…視線を地面に落とす
(急にあんなことして、馴れ馴れしかったよね…)
もう一度謝ろうと顔をあげると、彼は私を見て穏やかな笑顔を浮かべていた
『…え…?』
思っていた反応と違い、私は混乱する
「…ありがとうね。でも…」
そこで言葉を区切った彼は、急に私を引き寄せて、耳元で囁いた
「…こんなこと、簡単に男にしたらダメだよ?こうやって、簡単に勘違いするから…」
耳に彼の吐息が辺り、思わずびくんと体が跳ねる
「…うわぁ!?ご、ごめんなさい!」
私の反応を見た彼は、慌てて私から離れた
『…え?』
おもわず目が点になる
彼は、顔を真っ赤にして、口許に手をやり、視線を落としていた
その表情に、とくんと胸が高鳴るのがわかった
『…ふふ、可愛い』
思わず小さく笑って呟くと、彼はムッとした様子で言う
「男は可愛いって言われてもうれしくないからね!?」
『ふふ、すみません…』
コロコロと表情を変える彼は、すごくかわいいのに、さっきまであんなにハードに練習をしていたことを思い出すと、ちゃんと男の子なんだなぁ、と思う
「…寺光遙日」
『え?』
「だから…俺の名前、寺光遙日って言うんだ。…君は?」
『私は、江藤みのりって言います』
「…江藤、みのりちゃん…」
私の名前を、小さく復唱する寺光くん
『はい、なんでしょう?』
それに返事をすると、彼はにへらと笑った
「…俺、いつもこの時間はここで練習してるんだ。だから…もし、また気が向いたら、来て」
そういわれ、私は笑顔で頷いた
『はい!』
ー…そんな、寺光くんこと、遙日くんと出会ってから数年、私のお腹には、新しい命が宿っています
「…あ!動いた!」
『もう、遙日くん、そろそろお仕事じゃないの?』
「えー?もうちょっとだけ!」
あれから、私と遙日くんはお付き合いを始め、数年後に結婚した
お腹は、結婚式から数日たった時に、しばらく体調が悪い日が続いたから、心配した遙日くんが、病院に連れていってくれた
病院では、検査をすると妊娠していると告げられた
それを聞いたときの遙日くんの絶叫を、私はいまだに忘れられない
それから、だんだんお腹が大きくなる私を、遙日くんはお姫様のように扱ってくれる
大丈夫だよと言って階段を一人で降りようとしたら、遙日くんはめちゃくちゃ慌てて止めてきた
出産を間近に控えると、遙日くんは毎日私のお腹に触るのだ
そして、お腹の子がお腹を蹴るのを感じると、ぱあぁぁと顔を輝かせる
なんだか、小さい子どもみたいな旦那様だが、そこが私にはとても愛おしく思えるのだ
惚れた弱味ってやつだろうか?
それから、陣痛が始まったときは私一人だったけど、私が〝陣痛来た〟とメッセージを送ると、飛んで来てくれたのだ
なんでも、
〝嫁が出産なんで、お願いします!〟
ってスタッフさんに頭を下げてまで来てくれたらしい
私の出産に立ち会うって聞いたときは驚いたけど、彼が、私の傍で、私の手を両手でぎゅっと握って、〝頑張れ、頑張れ!〟って涙目で応援してくれたときは、本当に元気を貰った
お陰で、赤ちゃんはどこも異常なしで生まれてきてくれた
赤ちゃんの無事を確認すると、私は気が抜けて意識を失った
次に目が覚めたとき、遙日くんは、ベッドの横で私の手を両手で握りながら、必死に祈っていてくれた
ただの出産疲れだと分かっていたらしいけど、どうしても気が気じゃ無かったんだとか
私が目が覚めると、遙日くんは安心して泣き出してしまった
本当に優しい旦那様だ…
遙日くんと結婚してよかったと、心から思った
私が立ち上がれるようになると、二人で赤ちゃんを見に行った
沢山の赤ちゃんがいる中で、遙日くんがあまりにも簡単に自分の子どもを見つけたので、私は驚いた
彼いわく、〝みのりに似て超可愛いから!〟とのこと
彼と一緒に赤ちゃんを抱かせて貰ったときは、彼は私以上に感動していた
遙日くんが抱く赤ちゃんに、人差し指をそっと出すと、赤ちゃんは私の指を握った
「…っ!俺、絶対にみのりと子供を守るから!絶対に、絶対に…!」
そう遙日くんは誓ってくれた
あの日、私達の子供が生まれてから数年…
子供もある程度大きくなった頃、私はまた妊娠を告げられた
『…ふふ、また遙日くん、私の出産の時は泣くんだろうなぁ』
私がそんな暖かな気持ちを抱きながらお腹をなでていると、遙日くんが娘を抱いてやって来た
「みのり」
「おかあさーん!」
『あら、どうしたの?』
遙日くんに下ろしてもらって、私のところまでかけてくる娘
遙日くんも歩いてやって来た
「おかあさん、だいじょーぶ?」
『えぇ、大丈夫よ。心配してくれてありがとう』
娘の頭を優しく撫でる
「…あ、そうそう、みのりの出産予定日付近は、俺、まとめてオフ貰ったから」
『…えっ!?それ大丈夫なの?』
あまりにも当然と言う感じで言う遙日くんに、私は目を丸くする他なかった
「うん、大丈夫。…こいつにも寂しい思いさせたくないし」
遙日くんはそう言うと、穏やかに笑って娘を撫でる
『…立派な子煩悩の親バカね』
私が思わずそう言うと、遙日くんはムッとするが、すぐに穏やかに笑う
『…怒らないの?』
「だって本当のことだし、それに…みのりは、そんな俺のことも好きでしょ?」
そう言われてしまえば、私は驚くが頬が自然と緩んでしまう
「あと…みのりと子供たちは、俺が守るって決めてるから…たとえ我が子の出産でも、一人でさせたくはないんだよ」
『…遙日くん…』
「…へへ、だって俺達家族だろ?」
『…うん、そうだね。ありがとう…』
本当に心強い旦那様に、私は微笑み返した
妊娠、出産
(これからも、俺がずっと守るから)