あのあとも、クリスタさんが私の手を離すことはなく、私はクリスタさんが起きるまで、その場でスバルくんと話をしていた


「…ん…」


しばらくすると、クリスタさんが目蓋を開け、目を覚ましたようだった


『おはようございます、クリスタさん』


私がそう微笑みかけると、クリスタさんも寝ぼけ眼で微笑んでくれた


…でも、クリスタさんが目覚めると、スバルくんはさっと私の背後に隠れてしまって…


私は、そんなスバルくんに聞こえるように、クリスタさんに気分はどうか聞いた


『クリスタさん、ご気分はいかがですか？』


「ええ、大分いいわ。…こんなにぐっすり眠れたのは、何年ぶりかしら…」


落ち着いている様子のクリスタさんに、ほっと胸を撫で下ろす


「…あぁ、ごめんなさい…私、ずっと貴方の手を握っていたのね…」


そう苦笑するクリスタさんに、私は左右に頭をふる


『いえ。それでクリスタさんが眠れたなら何よりです』


そう微笑むと、なぜかクリスタさんは泣きそうな顔をした


『…クリスタ、さん…？』


「…ごめんなさいね、大丈夫よ。…ねえ、貴方、お名前は？」


『江藤みのりです』


「そう…みのりさん…」


私の名前を呟くと、クリスタさんは私に視線を向けた


「…ねえ、また来てくださるかしら？」


『はい、もちろんです』


クリスタさんの質問に迷わず答えると、彼女は少しだけ笑ってくれた


「ふふ…楽しみだわ」


クリスタさんはそう微笑むと私の手を離した


「ごめんなさいね、私が起きるまで、暇だったでしょう？」


『そんなことはないですよ。色々、私も考えたいことがあったので…』


「…そう」


クリスタさんは微笑む


「引き留めてごめんなさいね、そろそろお部屋にお戻りなさい」


『はい、わかりました。…では、また』


私が"また"と、いうと、クリスタさんは目を見開いて驚いたが、次の瞬間には嬉しそうに微笑みを浮かべて、うなずいてくれた

「…ええ、また。みのりさん」



クリスタとの出会い

(これが、クリスタさんとの最初の出会い)