コーデリアさんとベアトリクスさんを紹介されてから少し…私は、カールハインツさんの許可を得て、屋敷を探索していた


すると、大きな塔を見つけて、私は好奇心から中に入った


…そこには、一人の女性がいて



『…っ！』


彼女の虚ろな表情と、痩せ細った体に、私は思わず息を飲んだ


『…あの、大丈夫ですか…？』


大きな声を出して驚かせてはいけないと思い、私はゆっくりと近づいて、声をかけた


彼女のいる部屋…部屋というより…牢屋？の方がしっくりくるその場所で、彼女は椅子に腰掛け、どこか遠くを眺めていたが、私の声が届いたのか、ゆっくりとこちらを見ると、なぜだか泣きそうな顔で微笑んだ


「…何故、貴女がそんなに泣きそうな顔をしているの？」


『え…？』


彼女に言われて、私は初めて、自分の体が震えていることに気付いた


『…あの…』


私がなんて声をかければいいか悩んでいると、彼女は私をゆっくりと見つめ、少しだけ微笑んだ


「…この屋敷には、貴女のように心の優しい人もいるのね…なんだか安心したわ…」


『え…？』


綺麗な銀髪の彼女は、こちらへとゆっくりと手を伸ばした


私は慌てて駆け寄り、牢屋越しに彼女の手を握った


「…暖かいわね」


彼女はこう言うと、安心したのか、すうすうと寝息をたて始めた


私がその様子になんだかほっとしていると、そこへ小さな男の子がやってきた


「…かあさん？」


『あ…』


牢屋の女性と同じ、銀髪の男の子は、私を見て驚いてから視線を尖らせるが、私の手を女性が握っていることに気付き、驚いた様子を見せた


『…ごめんね、驚いたよね』


視線で私になにがあったか問いかける男の子に、私はこれまでの経緯を話した


「…ふーん。あんたがとうさんのつれてきた女なんだ」


『うん、よろしくね』


女性…クリスタさんと言うらしい(男の子に、教えてもらった。ちなみに、男の子はスバルくんと言うらしい)

クリスタさんは、未だに私の手を話さず、寝息を立てていて、スバルくんいわく、こんなにクリスタさんが安心して寝ているのは久しぶりだとのことで、私はそのままスバルくんと話をしていた


…そして、このスバルくんは、某ゲームの六男、逆巻スバルくんであることがわかった


「…なあ」


『うん？なあに？』


スバルくんに声をかけられ、私はスバルくんの方を向く

すると、赤い瞳が私を捉え、すがるような瞳で、私に言った


「…その…ま、また来て、かあさんのはなしあいてになってほしいんだ…」


スバルくんの、母親思いの優しい願いに、私は迷わず頷くのだった







第三夫人

(少しでも、クリスタさんの癒しになれたら…)