第1話『私、転生…?』
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あれから数日がたった
私もすっかり回復したので、澄空さんが仕事に出ている間に、町を散策することにした
『…へぇ、こうなってるんだ…』
キョロキョロとしながら歩いていると、よそ見をしていたからか、誰かとぶつかり、尻餅をついてしまった
『いたた…。…っ、あっ!す、すみません!大丈夫ですか…!?』
私が尻餅をついたまま相手を見ると、そこにいたのは、MooNsの、増長和南だった…
「いえ、俺の方は大丈夫ですが…貴女の方こそ、大丈夫ですか?」
和南が心配そうに私を見て、手を差しのべてくれた
『…え?』
「手、捕まってください」
そう微笑まれ、頬が熱くなるのを感じながら和南の手に自分の手をのせると、ぐいっと引き上げて立たせてくれた
『ほ、本当にすみません…私がよそ見をしていたせいで…』
そう謝ると、和南は笑う
「いえ、俺も前方不注意だったので、気にしないでください」
『でも…』
なおも食い下がる私に、和南は言う
「そう言う君こそ、大丈夫ですか?俺とぶつかったせいで、尻餅ついてましたけど…」
『いえ!私も全然大丈夫です!』
私が大丈夫アピールをすると、彼はふっと笑った
「…ふふ、ならよかった。じゃあ、お互い様ってことにしませんか?二人とも前方不注意だった訳ですし」
和南からそう提案され、私は頷いた
『はい…すみません、ありがとうございます』
そう言って頭を下げると、和南は微笑んで、それじゃあ、と去っていった
『…怪我させなくてよかった…』
和南が角を曲がり見えなくなったところで、安堵から思わず言葉が漏れた
私は和南の向かった方角に会釈をしてから、歩き始めた
そしてー…
『…ここ、どこ…?』
地図も持たずに適当に歩いてきたため、私はすっかり迷子になってしまっていた
澄空さんに電話をかけようかとも思ったが、お仕事中だったら申し訳ないし…
私はただただおろおろと辺りを見回して、地図はないかと探していると、どこからか音が聞こえてきた
『…?なんだろう…』
音に導かれるように歩みを進めると、公園に出た
『…こう、えん?』
中に入り辺りをキョロキョロと見回していると、遠くのベンチで、黒髪の男の子と、金髪の男の子が歌っていた
『…凄い』
二人のハーモニーはとっても綺麗で、リズムも狂うことなくぴったり合っていた
デュエットって難しいのに…
そんな私に気付いたのか、金髪の方の男の子が黒髪の男の子に何か話すと、二人揃ってこっちに歩いてきた
『…!?』
彼らが近づいてきてようやくわかった
この二人…KiLLER KiNGの寺光唯月と、寺光遙日だ…
『…っ!』
私が緊張から二人に背を向けて歩きだそうとすると、遙日が声をかけてきた
「ちょっと待ってよ!」
『え…?』
声をかけられるとは思ってなくて、恐る恐る二人の方を見ると、遙日が問う
「いつから聞いてたの?」
『あっ…すみません…私、迷子なっちゃって…そうしたら、音が聞こえたから…気になってここまで来ちゃって…』
私がおどおどとそう言うと、遙日が笑う
「そんなに怯えないで!別に怒ってる訳じゃないから。な?ゆづ」
「…うん」
『…え、そうなんですか…?』
じゃあ何で…
そう思っていると、遙日がズイッと顔を近づけて来て…
「…キミ、俺たちの歌を聞いてるとき、凄く嬉しそうな顔してたからさ」
『嬉しそうな顔…?』
「うん。凄く嬉しそうな顔」
…どんな顔してたんだろう…
思わず頬に手を当てると、遙日がにっこり笑う
「だーいじょうぶだよ、スッゴく可愛い顔だったからさ!」
そう言われて、ぼんっと顔が真っ赤になる
「遙…駄目だよ、この子困ってる」
「えー、褒めただけなのにー」
「それでも駄目」
「えー…」
「…遙」
「わっ、ちょ、怒らないでよゆづ…!」
『…ふふっ』
二人のやり取りに、思わず笑ってしまった
「…笑った」
「…だな」
二人がぽかーんとして私を見るので、私は慌てて口に手を当てる
『ご、ごめんなさい…』
私がそう謝ると、唯月が柔らかく笑う
「…ううん、大丈夫。それよりも、笑ってくれて、良かった」
「うんうん!俺もそう思う!」
『…ありがとうございます』
ふっと力が抜けたみたいに、ふにゃりと笑った
すると、二人が息を飲んだ
『…?どうしましたか?』
「…うっ、ううん!なんでもないよ!な!ゆづ!」
「う、うん…なんでもない」
『そうですか…?』
二人の様子に首をかしげていると、遙日が声をあげる
「そっ、そういえば!キミ、迷子になってたんだよね!?この辺だったら案内するよ!」
『え、そんな、申し訳ないです…』
「大丈夫、気にしないで」
唯月もそれに賛同した
『…で、でも…』
「いいから!…あ、そう言えば、俺達自己紹介まだじゃん!」
「…そう言えば」
『あ、あはは…』
私は知ってる、何て言えない…
そんなことを考えて苦笑いしていると、遙日が自己紹介してくれた
「改めまして!寺光遥日でっす!」
「…僕は寺光唯月」
「俺達双子なんだ!」
遙日が唯月の肩に手を回す
『そ、そうなんですね…私は…』
名乗ろうとして、苗字をどうなのっていいのかわからず、とりあえず名前だけ名乗った
『…みのりです』
「みのりちゃんね!苗字は?」
『…えっと…』
私が口ごもると、唯月が遙日の方を見て、無言で首を横にふった
遙日はそれを見ると、明るい声を出した
「俺のことは、遙日って呼んでいいからね!
」
「僕のことも、名前でいい」
『お二人は苗字一緒ですもんね…じゃあ、遙日くんと、唯月くんで』
「「うん!/うん」」
そのあと、二人に周辺を案内してもらいながら、目的地へと連れていってもらっていた
『…あ!ここ、見覚えがあります!』
「あ、ほんと?良かったじゃん!」
安心して息をつく私の頭を、唯月くんがゆっくりと撫でた
『…え…?』
「…よく頑張りました」
突然のことに驚きながらも、唯月くんの優しい表情と声で、自然と顔が綻んだ
それを見て、唯月が目を細める
「…で、どうするの?」
遙日くんが除け者感を感じたのか、不満そうに声をあげる
『あ、もう大丈夫です!ここからは一人で帰れると思うので!』
「ほんとにぃー?」
『本当です!』
ジト目で見てくる遙日くんに、私が慌てて答えると、遙日くんは笑った
「ならよかった!今度は迷子にならないように気を付けてね!」
『はい!』
「…それじゃあ」
『はい!本当にありがとうございました!』
私が改めて頭を下げると、二人は手を振りながら去っていった
二人が見えなくなった時、後ろから呼ばれる
「みのり!」
『…あ、澄空さん…』
「もう、心配したのよ!家にいると思ってたのに、帰ってきたら居ないんだもの」
『す、すみません…』
「…まぁ、外に出れるだけの元気があるなら大丈夫ね。まだ記憶は戻ってないようだけど…そのうち戻るだろうし。さ、ご飯にしましょう!」
『はい!』
1-2.出会いのハプニング
(まさか唯月と遙日に会うなんて…)
私もすっかり回復したので、澄空さんが仕事に出ている間に、町を散策することにした
『…へぇ、こうなってるんだ…』
キョロキョロとしながら歩いていると、よそ見をしていたからか、誰かとぶつかり、尻餅をついてしまった
『いたた…。…っ、あっ!す、すみません!大丈夫ですか…!?』
私が尻餅をついたまま相手を見ると、そこにいたのは、MooNsの、増長和南だった…
「いえ、俺の方は大丈夫ですが…貴女の方こそ、大丈夫ですか?」
和南が心配そうに私を見て、手を差しのべてくれた
『…え?』
「手、捕まってください」
そう微笑まれ、頬が熱くなるのを感じながら和南の手に自分の手をのせると、ぐいっと引き上げて立たせてくれた
『ほ、本当にすみません…私がよそ見をしていたせいで…』
そう謝ると、和南は笑う
「いえ、俺も前方不注意だったので、気にしないでください」
『でも…』
なおも食い下がる私に、和南は言う
「そう言う君こそ、大丈夫ですか?俺とぶつかったせいで、尻餅ついてましたけど…」
『いえ!私も全然大丈夫です!』
私が大丈夫アピールをすると、彼はふっと笑った
「…ふふ、ならよかった。じゃあ、お互い様ってことにしませんか?二人とも前方不注意だった訳ですし」
和南からそう提案され、私は頷いた
『はい…すみません、ありがとうございます』
そう言って頭を下げると、和南は微笑んで、それじゃあ、と去っていった
『…怪我させなくてよかった…』
和南が角を曲がり見えなくなったところで、安堵から思わず言葉が漏れた
私は和南の向かった方角に会釈をしてから、歩き始めた
そしてー…
『…ここ、どこ…?』
地図も持たずに適当に歩いてきたため、私はすっかり迷子になってしまっていた
澄空さんに電話をかけようかとも思ったが、お仕事中だったら申し訳ないし…
私はただただおろおろと辺りを見回して、地図はないかと探していると、どこからか音が聞こえてきた
『…?なんだろう…』
音に導かれるように歩みを進めると、公園に出た
『…こう、えん?』
中に入り辺りをキョロキョロと見回していると、遠くのベンチで、黒髪の男の子と、金髪の男の子が歌っていた
『…凄い』
二人のハーモニーはとっても綺麗で、リズムも狂うことなくぴったり合っていた
デュエットって難しいのに…
そんな私に気付いたのか、金髪の方の男の子が黒髪の男の子に何か話すと、二人揃ってこっちに歩いてきた
『…!?』
彼らが近づいてきてようやくわかった
この二人…KiLLER KiNGの寺光唯月と、寺光遙日だ…
『…っ!』
私が緊張から二人に背を向けて歩きだそうとすると、遙日が声をかけてきた
「ちょっと待ってよ!」
『え…?』
声をかけられるとは思ってなくて、恐る恐る二人の方を見ると、遙日が問う
「いつから聞いてたの?」
『あっ…すみません…私、迷子なっちゃって…そうしたら、音が聞こえたから…気になってここまで来ちゃって…』
私がおどおどとそう言うと、遙日が笑う
「そんなに怯えないで!別に怒ってる訳じゃないから。な?ゆづ」
「…うん」
『…え、そうなんですか…?』
じゃあ何で…
そう思っていると、遙日がズイッと顔を近づけて来て…
「…キミ、俺たちの歌を聞いてるとき、凄く嬉しそうな顔してたからさ」
『嬉しそうな顔…?』
「うん。凄く嬉しそうな顔」
…どんな顔してたんだろう…
思わず頬に手を当てると、遙日がにっこり笑う
「だーいじょうぶだよ、スッゴく可愛い顔だったからさ!」
そう言われて、ぼんっと顔が真っ赤になる
「遙…駄目だよ、この子困ってる」
「えー、褒めただけなのにー」
「それでも駄目」
「えー…」
「…遙」
「わっ、ちょ、怒らないでよゆづ…!」
『…ふふっ』
二人のやり取りに、思わず笑ってしまった
「…笑った」
「…だな」
二人がぽかーんとして私を見るので、私は慌てて口に手を当てる
『ご、ごめんなさい…』
私がそう謝ると、唯月が柔らかく笑う
「…ううん、大丈夫。それよりも、笑ってくれて、良かった」
「うんうん!俺もそう思う!」
『…ありがとうございます』
ふっと力が抜けたみたいに、ふにゃりと笑った
すると、二人が息を飲んだ
『…?どうしましたか?』
「…うっ、ううん!なんでもないよ!な!ゆづ!」
「う、うん…なんでもない」
『そうですか…?』
二人の様子に首をかしげていると、遙日が声をあげる
「そっ、そういえば!キミ、迷子になってたんだよね!?この辺だったら案内するよ!」
『え、そんな、申し訳ないです…』
「大丈夫、気にしないで」
唯月もそれに賛同した
『…で、でも…』
「いいから!…あ、そう言えば、俺達自己紹介まだじゃん!」
「…そう言えば」
『あ、あはは…』
私は知ってる、何て言えない…
そんなことを考えて苦笑いしていると、遙日が自己紹介してくれた
「改めまして!寺光遥日でっす!」
「…僕は寺光唯月」
「俺達双子なんだ!」
遙日が唯月の肩に手を回す
『そ、そうなんですね…私は…』
名乗ろうとして、苗字をどうなのっていいのかわからず、とりあえず名前だけ名乗った
『…みのりです』
「みのりちゃんね!苗字は?」
『…えっと…』
私が口ごもると、唯月が遙日の方を見て、無言で首を横にふった
遙日はそれを見ると、明るい声を出した
「俺のことは、遙日って呼んでいいからね!
」
「僕のことも、名前でいい」
『お二人は苗字一緒ですもんね…じゃあ、遙日くんと、唯月くんで』
「「うん!/うん」」
そのあと、二人に周辺を案内してもらいながら、目的地へと連れていってもらっていた
『…あ!ここ、見覚えがあります!』
「あ、ほんと?良かったじゃん!」
安心して息をつく私の頭を、唯月くんがゆっくりと撫でた
『…え…?』
「…よく頑張りました」
突然のことに驚きながらも、唯月くんの優しい表情と声で、自然と顔が綻んだ
それを見て、唯月が目を細める
「…で、どうするの?」
遙日くんが除け者感を感じたのか、不満そうに声をあげる
『あ、もう大丈夫です!ここからは一人で帰れると思うので!』
「ほんとにぃー?」
『本当です!』
ジト目で見てくる遙日くんに、私が慌てて答えると、遙日くんは笑った
「ならよかった!今度は迷子にならないように気を付けてね!」
『はい!』
「…それじゃあ」
『はい!本当にありがとうございました!』
私が改めて頭を下げると、二人は手を振りながら去っていった
二人が見えなくなった時、後ろから呼ばれる
「みのり!」
『…あ、澄空さん…』
「もう、心配したのよ!家にいると思ってたのに、帰ってきたら居ないんだもの」
『す、すみません…』
「…まぁ、外に出れるだけの元気があるなら大丈夫ね。まだ記憶は戻ってないようだけど…そのうち戻るだろうし。さ、ご飯にしましょう!」
『はい!』
1-2.出会いのハプニング
(まさか唯月と遙日に会うなんて…)