第7話『トライアングル!?』
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その日の撮影は、滞りなく進んだ
主演女優の方も、優しい方で…
『(…きっと、ああゆう人の方が、和南には似合ってる…私は一般人だし…和南とは釣り合わない…)』
そう思うと、何故か胸がちくんと痛んだ
『?』
そのときは、なんでこんなに気持ちになるのか、わからなかった
ー…翌日
今日も撮影のためスタジオを訪れた
昨日の続きから撮影を始める
「休憩でーす!」
『…あ、休憩』
私は持ってきた飲み物を持ってみなさんのところまで行く
『お疲れ様です!』
「お疲れ様、ありがとう、みのり」
「お疲れ」
「おっつかれさまー!」
三人には渡せたけど、和南が見当たらない…
辺りを見回すと、主演女優の方と和南が、楽しそうに談笑しているのが見えた
…また、ちくんと胸が痛む
…どうして…?
初めて芽生えた感情に、私は目を伏せる
「…みのりちゃん、まっすーに渡しにいかないの?」
『え?あ…』
気づけば、三人が心配そうに私を見ていた
『…すみません、ちょっとお手洗い行ってきますね。これ、増長さんに渡しておいてください』
「え?みのり?」
『…すみません』
私は北門さんにドリンクを押し付け、走ってその場を離れた
走って、走って…すると、誰かにぶつかった
『あ、すみません…』
「いえ、こちらこそー…あれ、みのり?」
『えっ?』
名前を呼ばれて咄嗟に顔をあげると、私がぶつかったのは唯月だった
『…唯月くん…』
「みのりー…!?」
唯月の顔をみて安心したのか、私の目からはポロポロと涙がこぼれる
唯月が驚いてあわあわと慌てる
「ご、ごめん!痛かった…?それとも、どこか具合悪いの…?」
それに、私は首を横にふる
「じゃあー…」
どうして、といいたげな唯月に、私は理由を話すべきか迷っていた
私がうつむくと、唯月はかがんで指で私の涙を拭ってくれた
私が唯月を見ると、唯月は優しく微笑んでいる
私は正直に話すことにした
『実はー…』
「…つまり、他の女の人が、増長さんと仲良くしているのをみて、苦しく、なった?」
私は頷く
「…それって…」
唯月は何かを言おうとしたけど、突然うつ向いてしまった
『…唯月くん…?』
「…僕なら、そんな顔させない」
『え…?』
唯月がそう呟いたかと思えば、急に力強く腕を引かれ、私は気がつけば唯月の腕の中にいた
「僕なら、絶対に…みのりにそんな顔させないのに…」
そう呟く唯月は、苦しそうだった
『…唯月くん?』
私が声をかけると、唯月は決心したのか、体を離し私に告げた
「…僕も、みのりのことが好き」
『…え…?』
唐突な告白に、私は強く動揺する
心が揺さぶられる
…けど…
『…ごめんなさい』
「…!」
私がそう言うと、唯月は苦しそうな顔をしたまま言う
「…みのりは、増長さんが…好きなの…?」
その言葉は、意外とストンと胸の中に落ちた
…あぁ、そうか…
私は、増長さんが好きなんだ…
だから、他の女優さんと仲良くしてるのをみて、嫉妬…したんだ
私の顔を見ていた唯月は、私の表情を見て言葉を詰まらせた
『…はい。私は、増長さんが好き…好きなんです…』
漸く自覚した、自分の気持ちを言葉にすると、胸の中に暖かな気持ちが芽生えた
「…そっか」
私の言葉を聞いた唯月は、苦しそうに…だけど、どこか嬉しそうに言った
「…君が、幸せになってくれるならー…僕は、それでいい。…そこにいるんでしょ?増長さん」
『えっ…?』
私が驚いて振り返ると、物陰から増長さんが姿を表した
『…!増長、さん…』
増長さんの表情は、少し強ばっていて
唯月は、私を離すと、私の頭をポンポンと撫でてから、増長さんに近づき、何かを言って去っていった
『…』
自覚した想いを胸に、なんて声をかけたらいいか迷っていると、増長さんが先に口を開いた
「…ごめん、君にそんな顔をさせるつもりはなくて…」
増長さんはそう前置きすると、女優さんとの会話を教えてくれた
和南side
撮影が休憩になり、俺はほっと息をつく
「(…みのり、俺のこと見ててくれたかな…?)」
今回の撮影で主役に抜擢された俺は、主演の女優さんとのシーンが多く、俺は、その度にその女優さんをみのりだと思って演技していた
俺がみのりの姿を探していると、女優さんに話しかけられた
「お疲れ様です、増長さん」
「あ、お疲れ様です。…えっと、どうされました?」
早くみのりの姿をみたくて、会話を促す
すると、女優さんは微笑ましそうにくすくすと笑った
「ふふ…貴方、本当にあの子が好きなのね」
女優さんの視線の先には、みのりが
彼女は他のメンバーにドリンクを配っていた
「…あの子、本当に優しい子よね」
「え…?」
女優さんが彼女を見ながらしみじみと呟いたから、俺は驚いて女優さんを見る
俺の視線に気づいた女優さんは、クスリと笑ってから説明してくれる
「…?あ、あぁ…彼女ね、以前に、私が足を捻って主演を下ろされて落ち込んでるときに、声をかけてくれたのよ」
「え?」
驚きの事実に目を見張る
「たぶん、たまたまスタジオが同じだったんでしょうけど…足首に包帯を巻いていた私を見て、言ったの。〝大丈夫ですか?〟って」
俺が無言で聞いていると、女優さんは彼女に視線を移して言う
「〝足が痛いんですか?大丈夫ですか?〟って言って、私のそばに膝をついて…普通、知らない人のためにそこまでしないわよね。でも、彼女は本当に心配そうで…思わず、私が主演を下ろされた話をすると、彼女は言ったの」
〝それは、みなさんが貴女を心配しているからですよ。だから、早く治してもらって、また、一緒に仕事をしたい。そう思ったから、自分が鬼になってでも、貴女を下ろしたんじゃないでしょうか?〟
「…それを聞いたときは驚いたわ。だって、あんなに優しい解釈を聞いたのは、初めてだったもの。本当にあの子には救われたわ」
そう言って微笑む女優さんは、彼女への感謝で一杯な気がした
「…あ、彼女…」
「え?」
女優さんの小さな呟きに、またみのりの方を見ると、みのりは倫毘沙にドリンクを押し付けて、走っていくところだった
「…!」
俺が思わず走り出しそうになると、女優さんは笑って俺の背を押した
「ほら、行きなさい。彼女を泣かしたら許さないわよ!」
「…っ、はい!」
俺は走ってみのりを追いかけた
…けど…俺が見たのは、唯月にみのりが抱き締められる瞬間で…
俺は慌てて近くの物陰に身を隠す
「僕なら、絶対に…みのりにそんな顔させないのに…」
そう呟く唯月は、苦しそうだった
そこで、俺は唯月が何をしようとしているのか、悟った
『…唯月くん?』
みのりが声をかけると、唯月は突然みのり告白した
「…僕も、みのりのことが好き」
『…え…?』
俺ははっと息を飲んだ
「(…もし、みのりが唯月のことを選んだらー?)」
そう考えると、頭が真っ白になった
…けど…
『…ごめんなさい』
「…!」
みのりは唯月の告白に、申し訳なさそうに謝った
「…みのりは、増長さんが…好きなの…?」
そう言った唯月は、凄く辛そうだった
唯月はみのりをじっと見つめて、答えを待っている
だけど、みのりの表情を見た唯月は、顔をこわばらせた
『…はい。私は、増長さんが好き…好きなんです…』
「…!」
みのりのその答えを聞いて、俺は嬉しくて泣きそうになった
「(俺を…俺を、選んでくれた…)」
「…そっか」
みのりの言葉を聞いた唯月は、苦しそうに…だけど、どこか嬉しそうに言った
「…君が、幸せになってくれるならー…僕は、それでいい。…そこにいるんでしょ?増長さん」
俺は驚く
「(…気付かれてたのか…)」
俺は二人の前へ、姿を表した
俺を見たみのりが、息を飲む
『…!増長、さん…』
俺は、どんな顔をしていただろうか…
唯月は、みのりを離すと、彼女の頭をポンポンと撫でてから、俺の耳元で、俺にしか聞こえないように言った
「…今は、増長さんに、みのりのこと譲ってあげる。でも…次、みのりのこと泣かせたら、僕が貰うからね」
「…あぁ、わかった」
唯月が去ったあと、俺達の間には沈黙が流れる
『…』
みのりは、さまようように視線を震わせていた
「…ごめん、君にそんな顔をさせるつもりはなくて…」
俺は先に口を開き、先程の女優さんとの話をみのりに伝える
彼女は、自分の話だとは思わなかったのか、驚きに目を瞬かせている
「(…そんな顔も、ただ愛おしい)」
俺は、みのりの腕を引き、抱き締めた
『…っ!増長さ…!「和南って呼んでって、言ったよね」…かず、な…』
「(よかった、また呼んでくれた)」
俺は彼女の髪を優しく撫でながら、お願いする
「…ねぇ、ちゃんと、俺にも言って?」
「(君の口から、ちゃんと君の気持ちを聞きたい…)」
俺の吐息が耳を擽ったのか、みのりは小さく震える
みのりは意を決したのか、俺の背中に手を回して、言った
『…お返事が遅くなってごめんなさい。私は…私も、和南のことが、好き…です』
その声を聞くや否や、俺はみのりにキスしていた
『ん…』
「(やっと…やっと、俺のことを好きになってくれた…もう、絶対に離さない。哀しませたりも、しないから…)」
俺は自分の気持ちを伝えるように、何度もみのりに口づけを落とす
『…っ…』
「(…息が苦しいのかな…)」
俺は、名残惜しいけど、みのりの唇を離した
すると、みのりははぁはぁと呼吸をする
「…そんなに苦しかった?」
『だ、だって…!逆に、何で和南は苦しくないの!?』
「ふふ、口が塞がれてても、鼻で呼吸できるでしょ?」
『そ、そんなこと言われたって…』
みのりは真っ赤にした顔をうつむかせる
「…ふふ、じゃあ、俺で練習したらいいよ」
『え…?』
「ほら、こっち向いて」
みのりが驚きで顔をあげたから、さっと自分の手をみのりの頬に当てた
彼女の頬は凄く熱を持っていて、瞳は潤んでいた
「(…もう。そんな顔したって、煽られるだけなのに…)」
俺はその場で襲ってしまいたくなるのを必死に抑え、みのりにキスをする
「(あ…また呼吸を止めてる…だけど、離してあげない…)」
俺は何度も角度を変えて唇を奪う
「(みのり…苦しそう。仕方ないな…)」
唇を少し離して、みのりに囁く
「…ちゃんと鼻で呼吸しないと苦しいよ?」
『だ、だって…』
「…ふふ、そんな顔しても可愛いだけなのに」
俺の呟きに、驚くみのり
また軽く唇を奪うと、キスの合間にみのりが言う
『…っ、和南、そろそろ、戻らないと…』
「…じゃあ、ごめん。もう一度だけー…」
俺はみのりが何か言う前に、唇をふさいだ
「(…さっきの…唯月が君を抱き締めたことでさえ、俺は…俺で塗り替えたい…)」
俺の気持ちが伝わったのか、みのりはそのあとしばらく、俺にされるままキスをされていた
7-2.両想い
(やっと、想いが通じた…)
主演女優の方も、優しい方で…
『(…きっと、ああゆう人の方が、和南には似合ってる…私は一般人だし…和南とは釣り合わない…)』
そう思うと、何故か胸がちくんと痛んだ
『?』
そのときは、なんでこんなに気持ちになるのか、わからなかった
ー…翌日
今日も撮影のためスタジオを訪れた
昨日の続きから撮影を始める
「休憩でーす!」
『…あ、休憩』
私は持ってきた飲み物を持ってみなさんのところまで行く
『お疲れ様です!』
「お疲れ様、ありがとう、みのり」
「お疲れ」
「おっつかれさまー!」
三人には渡せたけど、和南が見当たらない…
辺りを見回すと、主演女優の方と和南が、楽しそうに談笑しているのが見えた
…また、ちくんと胸が痛む
…どうして…?
初めて芽生えた感情に、私は目を伏せる
「…みのりちゃん、まっすーに渡しにいかないの?」
『え?あ…』
気づけば、三人が心配そうに私を見ていた
『…すみません、ちょっとお手洗い行ってきますね。これ、増長さんに渡しておいてください』
「え?みのり?」
『…すみません』
私は北門さんにドリンクを押し付け、走ってその場を離れた
走って、走って…すると、誰かにぶつかった
『あ、すみません…』
「いえ、こちらこそー…あれ、みのり?」
『えっ?』
名前を呼ばれて咄嗟に顔をあげると、私がぶつかったのは唯月だった
『…唯月くん…』
「みのりー…!?」
唯月の顔をみて安心したのか、私の目からはポロポロと涙がこぼれる
唯月が驚いてあわあわと慌てる
「ご、ごめん!痛かった…?それとも、どこか具合悪いの…?」
それに、私は首を横にふる
「じゃあー…」
どうして、といいたげな唯月に、私は理由を話すべきか迷っていた
私がうつむくと、唯月はかがんで指で私の涙を拭ってくれた
私が唯月を見ると、唯月は優しく微笑んでいる
私は正直に話すことにした
『実はー…』
「…つまり、他の女の人が、増長さんと仲良くしているのをみて、苦しく、なった?」
私は頷く
「…それって…」
唯月は何かを言おうとしたけど、突然うつ向いてしまった
『…唯月くん…?』
「…僕なら、そんな顔させない」
『え…?』
唯月がそう呟いたかと思えば、急に力強く腕を引かれ、私は気がつけば唯月の腕の中にいた
「僕なら、絶対に…みのりにそんな顔させないのに…」
そう呟く唯月は、苦しそうだった
『…唯月くん?』
私が声をかけると、唯月は決心したのか、体を離し私に告げた
「…僕も、みのりのことが好き」
『…え…?』
唐突な告白に、私は強く動揺する
心が揺さぶられる
…けど…
『…ごめんなさい』
「…!」
私がそう言うと、唯月は苦しそうな顔をしたまま言う
「…みのりは、増長さんが…好きなの…?」
その言葉は、意外とストンと胸の中に落ちた
…あぁ、そうか…
私は、増長さんが好きなんだ…
だから、他の女優さんと仲良くしてるのをみて、嫉妬…したんだ
私の顔を見ていた唯月は、私の表情を見て言葉を詰まらせた
『…はい。私は、増長さんが好き…好きなんです…』
漸く自覚した、自分の気持ちを言葉にすると、胸の中に暖かな気持ちが芽生えた
「…そっか」
私の言葉を聞いた唯月は、苦しそうに…だけど、どこか嬉しそうに言った
「…君が、幸せになってくれるならー…僕は、それでいい。…そこにいるんでしょ?増長さん」
『えっ…?』
私が驚いて振り返ると、物陰から増長さんが姿を表した
『…!増長、さん…』
増長さんの表情は、少し強ばっていて
唯月は、私を離すと、私の頭をポンポンと撫でてから、増長さんに近づき、何かを言って去っていった
『…』
自覚した想いを胸に、なんて声をかけたらいいか迷っていると、増長さんが先に口を開いた
「…ごめん、君にそんな顔をさせるつもりはなくて…」
増長さんはそう前置きすると、女優さんとの会話を教えてくれた
和南side
撮影が休憩になり、俺はほっと息をつく
「(…みのり、俺のこと見ててくれたかな…?)」
今回の撮影で主役に抜擢された俺は、主演の女優さんとのシーンが多く、俺は、その度にその女優さんをみのりだと思って演技していた
俺がみのりの姿を探していると、女優さんに話しかけられた
「お疲れ様です、増長さん」
「あ、お疲れ様です。…えっと、どうされました?」
早くみのりの姿をみたくて、会話を促す
すると、女優さんは微笑ましそうにくすくすと笑った
「ふふ…貴方、本当にあの子が好きなのね」
女優さんの視線の先には、みのりが
彼女は他のメンバーにドリンクを配っていた
「…あの子、本当に優しい子よね」
「え…?」
女優さんが彼女を見ながらしみじみと呟いたから、俺は驚いて女優さんを見る
俺の視線に気づいた女優さんは、クスリと笑ってから説明してくれる
「…?あ、あぁ…彼女ね、以前に、私が足を捻って主演を下ろされて落ち込んでるときに、声をかけてくれたのよ」
「え?」
驚きの事実に目を見張る
「たぶん、たまたまスタジオが同じだったんでしょうけど…足首に包帯を巻いていた私を見て、言ったの。〝大丈夫ですか?〟って」
俺が無言で聞いていると、女優さんは彼女に視線を移して言う
「〝足が痛いんですか?大丈夫ですか?〟って言って、私のそばに膝をついて…普通、知らない人のためにそこまでしないわよね。でも、彼女は本当に心配そうで…思わず、私が主演を下ろされた話をすると、彼女は言ったの」
〝それは、みなさんが貴女を心配しているからですよ。だから、早く治してもらって、また、一緒に仕事をしたい。そう思ったから、自分が鬼になってでも、貴女を下ろしたんじゃないでしょうか?〟
「…それを聞いたときは驚いたわ。だって、あんなに優しい解釈を聞いたのは、初めてだったもの。本当にあの子には救われたわ」
そう言って微笑む女優さんは、彼女への感謝で一杯な気がした
「…あ、彼女…」
「え?」
女優さんの小さな呟きに、またみのりの方を見ると、みのりは倫毘沙にドリンクを押し付けて、走っていくところだった
「…!」
俺が思わず走り出しそうになると、女優さんは笑って俺の背を押した
「ほら、行きなさい。彼女を泣かしたら許さないわよ!」
「…っ、はい!」
俺は走ってみのりを追いかけた
…けど…俺が見たのは、唯月にみのりが抱き締められる瞬間で…
俺は慌てて近くの物陰に身を隠す
「僕なら、絶対に…みのりにそんな顔させないのに…」
そう呟く唯月は、苦しそうだった
そこで、俺は唯月が何をしようとしているのか、悟った
『…唯月くん?』
みのりが声をかけると、唯月は突然みのり告白した
「…僕も、みのりのことが好き」
『…え…?』
俺ははっと息を飲んだ
「(…もし、みのりが唯月のことを選んだらー?)」
そう考えると、頭が真っ白になった
…けど…
『…ごめんなさい』
「…!」
みのりは唯月の告白に、申し訳なさそうに謝った
「…みのりは、増長さんが…好きなの…?」
そう言った唯月は、凄く辛そうだった
唯月はみのりをじっと見つめて、答えを待っている
だけど、みのりの表情を見た唯月は、顔をこわばらせた
『…はい。私は、増長さんが好き…好きなんです…』
「…!」
みのりのその答えを聞いて、俺は嬉しくて泣きそうになった
「(俺を…俺を、選んでくれた…)」
「…そっか」
みのりの言葉を聞いた唯月は、苦しそうに…だけど、どこか嬉しそうに言った
「…君が、幸せになってくれるならー…僕は、それでいい。…そこにいるんでしょ?増長さん」
俺は驚く
「(…気付かれてたのか…)」
俺は二人の前へ、姿を表した
俺を見たみのりが、息を飲む
『…!増長、さん…』
俺は、どんな顔をしていただろうか…
唯月は、みのりを離すと、彼女の頭をポンポンと撫でてから、俺の耳元で、俺にしか聞こえないように言った
「…今は、増長さんに、みのりのこと譲ってあげる。でも…次、みのりのこと泣かせたら、僕が貰うからね」
「…あぁ、わかった」
唯月が去ったあと、俺達の間には沈黙が流れる
『…』
みのりは、さまようように視線を震わせていた
「…ごめん、君にそんな顔をさせるつもりはなくて…」
俺は先に口を開き、先程の女優さんとの話をみのりに伝える
彼女は、自分の話だとは思わなかったのか、驚きに目を瞬かせている
「(…そんな顔も、ただ愛おしい)」
俺は、みのりの腕を引き、抱き締めた
『…っ!増長さ…!「和南って呼んでって、言ったよね」…かず、な…』
「(よかった、また呼んでくれた)」
俺は彼女の髪を優しく撫でながら、お願いする
「…ねぇ、ちゃんと、俺にも言って?」
「(君の口から、ちゃんと君の気持ちを聞きたい…)」
俺の吐息が耳を擽ったのか、みのりは小さく震える
みのりは意を決したのか、俺の背中に手を回して、言った
『…お返事が遅くなってごめんなさい。私は…私も、和南のことが、好き…です』
その声を聞くや否や、俺はみのりにキスしていた
『ん…』
「(やっと…やっと、俺のことを好きになってくれた…もう、絶対に離さない。哀しませたりも、しないから…)」
俺は自分の気持ちを伝えるように、何度もみのりに口づけを落とす
『…っ…』
「(…息が苦しいのかな…)」
俺は、名残惜しいけど、みのりの唇を離した
すると、みのりははぁはぁと呼吸をする
「…そんなに苦しかった?」
『だ、だって…!逆に、何で和南は苦しくないの!?』
「ふふ、口が塞がれてても、鼻で呼吸できるでしょ?」
『そ、そんなこと言われたって…』
みのりは真っ赤にした顔をうつむかせる
「…ふふ、じゃあ、俺で練習したらいいよ」
『え…?』
「ほら、こっち向いて」
みのりが驚きで顔をあげたから、さっと自分の手をみのりの頬に当てた
彼女の頬は凄く熱を持っていて、瞳は潤んでいた
「(…もう。そんな顔したって、煽られるだけなのに…)」
俺はその場で襲ってしまいたくなるのを必死に抑え、みのりにキスをする
「(あ…また呼吸を止めてる…だけど、離してあげない…)」
俺は何度も角度を変えて唇を奪う
「(みのり…苦しそう。仕方ないな…)」
唇を少し離して、みのりに囁く
「…ちゃんと鼻で呼吸しないと苦しいよ?」
『だ、だって…』
「…ふふ、そんな顔しても可愛いだけなのに」
俺の呟きに、驚くみのり
また軽く唇を奪うと、キスの合間にみのりが言う
『…っ、和南、そろそろ、戻らないと…』
「…じゃあ、ごめん。もう一度だけー…」
俺はみのりが何か言う前に、唇をふさいだ
「(…さっきの…唯月が君を抱き締めたことでさえ、俺は…俺で塗り替えたい…)」
俺の気持ちが伝わったのか、みのりはそのあとしばらく、俺にされるままキスをされていた
7-2.両想い
(やっと、想いが通じた…)