第6話『旅行…?』
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あれから、泣き疲れて眠ってしまった私
目が覚めると、そこは知らない部屋だった
『…え、どこ…?』
私は片手が暖かいことに気付いて、ベッドの横を見ると、阿修さんが私の手を握ったまま、ベッドの縁に寄りかかって寝ていたのだ
『…阿修さん…』
本当に優しいんだから…そう思いながら繋いでない方の手で、阿修さんの髪を優しく撫でた
「…ん…ふふ…」
すると彼は、寝たまま嬉しそうに笑う
そこへ、扉がガチャリと開いて、増長さんが入ってきた
『あ、増長さん…』
「ーっ!」
増長さんは、私が起きていたことに驚き、目を丸くする
だけど、私の手が阿修さんの髪に置かれていたのを見て、苦しげに顔を歪める
『…?増長さん?どうかしたんですか?』
「…あ、いや、何でもないよ。どう?気分は」
『はい、すっかり良くなりました』
そう笑うと、増長さんも安心したように目を細める
『…あ、そうだ、殿さんはどうなりましたか?』
私が聞くと、和南は目を丸くした後に苦笑する
「…全く、君は…こんなときでも、人の心配して…」
『?』
それが聞こえなかった私は首をかしげる
「…あぁ、彼なら、もう回復したみたいだよ。さっき熱を測ったら平熱だったし、明謙達が帰ってきたから、殿くんは今は自室にいるはずだよ」
『…ふぅ、よかった…』
私はそれを聞いて、ほっと胸を撫で下ろした
そんな私を見て、増長さんは言う
「…ねぇ、今度、江藤さんの家に行ってもいいかな?」
『え?私は構いませんけど…何でですか?』
首を傾げる私に、増長さんは笑う
「…ふふ、今はまだ、内緒。約束だからね」
小指を差し出した彼に、私も小指を差し出すと、指切りをした
あのあと、阿修さんが起きると、私は阿修さんたちにお礼を言い、自宅に帰った
そして数日後、MooNsの仕事についているとき
「…あ、江藤さん、この間の約束、覚えてる?」
『はい、覚えてますよ?』
「よかった。…じゃあ、この後、君のうちにお邪魔してもいいかな?」
『え?えっと…』
私はスケジュール帳で予定を確認し、なにもないのを確認してから頷いた
『…はい、大丈夫です』
「…やった」
増長さんが微笑む
『…そんなに、大したお構いはできないと思いますけど…』
「大丈夫だよ。…ふふ、楽しみ」
増長さんがそう言って嬉しそうに笑うので、私も頬が緩むのだった
ー…
そしてお仕事終了後
「よーっし、お疲れ様でーす!」
「お疲れ様です」
みんなで挨拶をすると、スタジオの外にでる
「ねぇねぇ、大分早く終わったし、どっか寄ってかない!?」
「ごめん、暉。俺と江藤さんは行くところがあるから、みんなは先に帰ってて」
「えー!?リーダーとみのりちゃん、一緒にどっか行くの!?ずーるーいー!」
「こら、暉」
「だってだって!」
「…すまん増長、いいから行ってくれ」
「うん、みんなのことよろしくね、龍広」
「あぁ」
「うん。…さ、行こう」
『は、はい!』
増長さんに流れるような動作でエスコートされ、私は歩き出す
「…ここから江藤さんの家って、結構近いの?」
『はい。数駅で着きます』
「へえ…。俺、女の子の部屋に入るのって初めてだから、実は少し緊張してるんだよね」
『そうなんですか?』
「うん」
『…うーん、そんなに女の子っぽい部屋じゃないので、期待しないでくださいね』
そう言うと、増長さんは言う
「…君の家に行くってだけで、俺はかなり緊張するんだけどね」
『え?』
私が聞き返すと、増長さんは笑顔で誤魔化した
電車に乗ると、結構混んでいて、増長さんは私の手を握る力を強める
「…迷子にならないように、この手、離さないでね」
『は、はい』
そのまま増長さんは私の手を引き、ドアの前で私を腕で覆う
ドアと増長さんでサンドイッチにされてるみたいだ…
「…大丈夫?キツくない?」
『はい、私は大丈夫です。増長さんが壁になってくれてるので…そういう増長さんは大丈夫ですか?』
「うん、大丈夫。…あ、汗臭かったらごめんね」
増長さんが顔を赤くしてへにゃりと笑う
『いえ、全然大丈夫です』
増長さんからは、爽やかで甘い香りがしていて…
いつまでもそばに居たくなってしまう
そして、電車が進むにつれ段々人が減っていって、所々空いている席も見えるようになった頃
『あ、次です』
「うん、次ね、わかった」
私の自宅の最寄り駅に着き、私は思いっきり伸びをする
少し電車の中が熱かったからか、少し汗をかいている増長さんに気付き、私はハンカチを取り出して増長さんに言う
『増長さん、少しかがんでもらえますか?』
「え?うん…こうかな?」
『ありがとうございます』
手を伸ばして、ハンカチで増長さんの汗を拭く
「…江藤、さん?」
『増長さんが汗をかいているみたいだったので…すみません、勝手に』
「い、いや、いいんだけど…。…ありがとう」
『いえ!』
私たちは改めて手を繋いで駅を出た
『こっちです』
「うん、わかった」
『…あ、そうだ、増長さん、何か食べたいものあります?この間のお礼に、何か作ります!』
私が笑顔でそう提案すると、増長さんはポカンとしたあと言う
「…あ、ありがとう。じゃあ…」
増長さんが提案したのは、簡単なものだった
『わかりました。それじゃあ、スーパーに寄ってもいいですか?』
「うん、勿論だよ」
私たちは二人でスーパーへと入る
私がかごを取ると
「貸して」
『え?』
増長さんがかごを指し言う
「作ってもらうんだから、荷物持ち位するよ」
『そんな訳には…』
「いいから、ね?」
『…わかりました。お願いします』
結局、増長さんに負け、かごを持ってもらうことになった
『…うーん』
私が食材を吟味していると、増長さんはクスリと笑った
増長side
今日、江藤さんの自宅にお邪魔させてもらえることになったあと、俺達は電車に乗って、彼女の自宅の最寄り駅まで向かう
「(混んでる…これじゃあ、みのりが潰されてしまうかもしれない)」
そう思った俺は、彼女をドアのところまで連れていき、俺とドアで挟んだ
「(…彼女は毎回こんな電車で来ているのか…?)」
俺が心配になったとき、彼女がこっちを見ていたので声をかける
「…大丈夫?キツくない?」
『はい、私は大丈夫です。増長さんが壁になってくれてるので…そういう増長さんは大丈夫ですか?』
「うん、大丈夫。…あ、汗臭かったらごめんね」
彼女の顔が思ったより至近距離にあることに気付き、俺は恥ずかしくなってくる
『いえ、全然大丈夫です』
彼女はそんな俺に気付かず、花が咲いたように笑う
いつも人ばかりを気遣う彼女に、俺や悠太、竜持なんかは、いつも心配していた
…仕事の時は、みんなのA&Rだけど、今は…
「(…俺が独り占めしちゃっても、いいよね)」
彼女の優しく甘い香りが鼻をくすぐり、なんだかそれだけで満たされた気持ちになった
そのあとすぐに駅に着いてしまったから、なんだか残念な気持ちにすらなってしまう俺は…
「(もう…病気かもしれないな)」
そして、駅について伸びをする彼女を見ていると、彼女は俺を見て言う
『増長さん、少しかがんでもらえますか?』
「え?うん…こうかな?」
『ありがとうございます』
言われた通り手屈むと、江藤さんは細い腕を伸ばして、ハンカチで俺の額の汗を拭ってくれた
またぐっと距離が縮む
「…江藤、さん?」
『増長さんが汗をかいているみたいだったので…すみません、勝手に』
「い、いや、いいんだけど…。…ありがとう」
『いえ!』
彼女の細い腕を掴んで抱き締めてしまいそうになるのを必死でこらえ、俺は笑顔を浮かべる
そんな俺に気付かないのか、江藤さんは俺に料理を作ってくれると言った
頬が熱くなる
「(…みのりが、俺のためだけに…)」
それだけで、とてつもなく喜んでしまう
好きなものを作ってくれると言う彼女に、俺はとりあえず思い付いたものをお願いした
『わかりました。それじゃあ、スーパーに寄ってもいいですか?』
「うん、勿論だよ」
俺たちは二人でスーパーへと入る
彼女があまりに自然にかごをとるので、ここには来慣れてるんだろうなぁ、と思った
…そこに、少しでも俺の存在を刻みたくて、俺はかごを指差して言う
「貸して」
『え?』
「作ってもらうんだから、荷物持ち位するよ」
『そんな訳には…』
「いいから、ね?」
『…わかりました。お願いします』
なんとか彼女を説得し、俺はかごを持って彼女の後をついていく
『…うーん』
彼女があまりにも真剣に食材を選んでいて、思わずクスリと笑ってしまう
こうやって二人ならんで買い物をするのも、なんだか仲の良い夫婦みたいで、胸が暖かくなる
「(…俺が、みのりを好きだって言ったら…彼女はどんな表情をするんだろう…)」
その表情を想像すると、〝好き〟と言ってしまいたくなる
…でも、まだ彼女の中で俺の存在はそんなに大きくないだろうから、もっともっと優しくして、どろどろに甘やかして…もう、俺以外見えないって、彼女から言ってくれるくらいになったら…自分の気持ちを明かそう、そう思った
だけど、急に頭の中に思い浮かぶ、この間、竜持の部屋で、寝ている悠太の頭を撫でていたみのりの光景が、俺の胸をざわつかせる
元々、他のメンバーに牽制の意味も兼ねて、彼女にあのネックレスを送ったけど…
彼女はそんなことはつゆほども知らず、俺のあげたネックレスをつけて、他のメンバーにも優しくする
それを思い出すと、嫉妬で狂いそうだった
「(…あの時、思いきってみのりの首筋に、キスマークでもつければ良かったかな…)」
そうしたら、今とは少し違っていたのかもしれない
…でも、今の彼女の笑顔を見ると、俺の中のどす黒い感情は、少しずつ収まっていく
「(…だって、今は俺だけが独占してるんだから…)」
どうやら、俺は自分で思ってた以上に、やきもちやきで、嫉妬深いらしい
「(…ごめんね、こんな俺で。でも絶対に、他の男には渡したくないんだ。君だけは…)」
俺の内心など知らず、彼女はまた俺に笑いかけたのだったー…
6-3.和南と二人
(今日だけは、俺のモノでいて)
目が覚めると、そこは知らない部屋だった
『…え、どこ…?』
私は片手が暖かいことに気付いて、ベッドの横を見ると、阿修さんが私の手を握ったまま、ベッドの縁に寄りかかって寝ていたのだ
『…阿修さん…』
本当に優しいんだから…そう思いながら繋いでない方の手で、阿修さんの髪を優しく撫でた
「…ん…ふふ…」
すると彼は、寝たまま嬉しそうに笑う
そこへ、扉がガチャリと開いて、増長さんが入ってきた
『あ、増長さん…』
「ーっ!」
増長さんは、私が起きていたことに驚き、目を丸くする
だけど、私の手が阿修さんの髪に置かれていたのを見て、苦しげに顔を歪める
『…?増長さん?どうかしたんですか?』
「…あ、いや、何でもないよ。どう?気分は」
『はい、すっかり良くなりました』
そう笑うと、増長さんも安心したように目を細める
『…あ、そうだ、殿さんはどうなりましたか?』
私が聞くと、和南は目を丸くした後に苦笑する
「…全く、君は…こんなときでも、人の心配して…」
『?』
それが聞こえなかった私は首をかしげる
「…あぁ、彼なら、もう回復したみたいだよ。さっき熱を測ったら平熱だったし、明謙達が帰ってきたから、殿くんは今は自室にいるはずだよ」
『…ふぅ、よかった…』
私はそれを聞いて、ほっと胸を撫で下ろした
そんな私を見て、増長さんは言う
「…ねぇ、今度、江藤さんの家に行ってもいいかな?」
『え?私は構いませんけど…何でですか?』
首を傾げる私に、増長さんは笑う
「…ふふ、今はまだ、内緒。約束だからね」
小指を差し出した彼に、私も小指を差し出すと、指切りをした
あのあと、阿修さんが起きると、私は阿修さんたちにお礼を言い、自宅に帰った
そして数日後、MooNsの仕事についているとき
「…あ、江藤さん、この間の約束、覚えてる?」
『はい、覚えてますよ?』
「よかった。…じゃあ、この後、君のうちにお邪魔してもいいかな?」
『え?えっと…』
私はスケジュール帳で予定を確認し、なにもないのを確認してから頷いた
『…はい、大丈夫です』
「…やった」
増長さんが微笑む
『…そんなに、大したお構いはできないと思いますけど…』
「大丈夫だよ。…ふふ、楽しみ」
増長さんがそう言って嬉しそうに笑うので、私も頬が緩むのだった
ー…
そしてお仕事終了後
「よーっし、お疲れ様でーす!」
「お疲れ様です」
みんなで挨拶をすると、スタジオの外にでる
「ねぇねぇ、大分早く終わったし、どっか寄ってかない!?」
「ごめん、暉。俺と江藤さんは行くところがあるから、みんなは先に帰ってて」
「えー!?リーダーとみのりちゃん、一緒にどっか行くの!?ずーるーいー!」
「こら、暉」
「だってだって!」
「…すまん増長、いいから行ってくれ」
「うん、みんなのことよろしくね、龍広」
「あぁ」
「うん。…さ、行こう」
『は、はい!』
増長さんに流れるような動作でエスコートされ、私は歩き出す
「…ここから江藤さんの家って、結構近いの?」
『はい。数駅で着きます』
「へえ…。俺、女の子の部屋に入るのって初めてだから、実は少し緊張してるんだよね」
『そうなんですか?』
「うん」
『…うーん、そんなに女の子っぽい部屋じゃないので、期待しないでくださいね』
そう言うと、増長さんは言う
「…君の家に行くってだけで、俺はかなり緊張するんだけどね」
『え?』
私が聞き返すと、増長さんは笑顔で誤魔化した
電車に乗ると、結構混んでいて、増長さんは私の手を握る力を強める
「…迷子にならないように、この手、離さないでね」
『は、はい』
そのまま増長さんは私の手を引き、ドアの前で私を腕で覆う
ドアと増長さんでサンドイッチにされてるみたいだ…
「…大丈夫?キツくない?」
『はい、私は大丈夫です。増長さんが壁になってくれてるので…そういう増長さんは大丈夫ですか?』
「うん、大丈夫。…あ、汗臭かったらごめんね」
増長さんが顔を赤くしてへにゃりと笑う
『いえ、全然大丈夫です』
増長さんからは、爽やかで甘い香りがしていて…
いつまでもそばに居たくなってしまう
そして、電車が進むにつれ段々人が減っていって、所々空いている席も見えるようになった頃
『あ、次です』
「うん、次ね、わかった」
私の自宅の最寄り駅に着き、私は思いっきり伸びをする
少し電車の中が熱かったからか、少し汗をかいている増長さんに気付き、私はハンカチを取り出して増長さんに言う
『増長さん、少しかがんでもらえますか?』
「え?うん…こうかな?」
『ありがとうございます』
手を伸ばして、ハンカチで増長さんの汗を拭く
「…江藤、さん?」
『増長さんが汗をかいているみたいだったので…すみません、勝手に』
「い、いや、いいんだけど…。…ありがとう」
『いえ!』
私たちは改めて手を繋いで駅を出た
『こっちです』
「うん、わかった」
『…あ、そうだ、増長さん、何か食べたいものあります?この間のお礼に、何か作ります!』
私が笑顔でそう提案すると、増長さんはポカンとしたあと言う
「…あ、ありがとう。じゃあ…」
増長さんが提案したのは、簡単なものだった
『わかりました。それじゃあ、スーパーに寄ってもいいですか?』
「うん、勿論だよ」
私たちは二人でスーパーへと入る
私がかごを取ると
「貸して」
『え?』
増長さんがかごを指し言う
「作ってもらうんだから、荷物持ち位するよ」
『そんな訳には…』
「いいから、ね?」
『…わかりました。お願いします』
結局、増長さんに負け、かごを持ってもらうことになった
『…うーん』
私が食材を吟味していると、増長さんはクスリと笑った
増長side
今日、江藤さんの自宅にお邪魔させてもらえることになったあと、俺達は電車に乗って、彼女の自宅の最寄り駅まで向かう
「(混んでる…これじゃあ、みのりが潰されてしまうかもしれない)」
そう思った俺は、彼女をドアのところまで連れていき、俺とドアで挟んだ
「(…彼女は毎回こんな電車で来ているのか…?)」
俺が心配になったとき、彼女がこっちを見ていたので声をかける
「…大丈夫?キツくない?」
『はい、私は大丈夫です。増長さんが壁になってくれてるので…そういう増長さんは大丈夫ですか?』
「うん、大丈夫。…あ、汗臭かったらごめんね」
彼女の顔が思ったより至近距離にあることに気付き、俺は恥ずかしくなってくる
『いえ、全然大丈夫です』
彼女はそんな俺に気付かず、花が咲いたように笑う
いつも人ばかりを気遣う彼女に、俺や悠太、竜持なんかは、いつも心配していた
…仕事の時は、みんなのA&Rだけど、今は…
「(…俺が独り占めしちゃっても、いいよね)」
彼女の優しく甘い香りが鼻をくすぐり、なんだかそれだけで満たされた気持ちになった
そのあとすぐに駅に着いてしまったから、なんだか残念な気持ちにすらなってしまう俺は…
「(もう…病気かもしれないな)」
そして、駅について伸びをする彼女を見ていると、彼女は俺を見て言う
『増長さん、少しかがんでもらえますか?』
「え?うん…こうかな?」
『ありがとうございます』
言われた通り手屈むと、江藤さんは細い腕を伸ばして、ハンカチで俺の額の汗を拭ってくれた
またぐっと距離が縮む
「…江藤、さん?」
『増長さんが汗をかいているみたいだったので…すみません、勝手に』
「い、いや、いいんだけど…。…ありがとう」
『いえ!』
彼女の細い腕を掴んで抱き締めてしまいそうになるのを必死でこらえ、俺は笑顔を浮かべる
そんな俺に気付かないのか、江藤さんは俺に料理を作ってくれると言った
頬が熱くなる
「(…みのりが、俺のためだけに…)」
それだけで、とてつもなく喜んでしまう
好きなものを作ってくれると言う彼女に、俺はとりあえず思い付いたものをお願いした
『わかりました。それじゃあ、スーパーに寄ってもいいですか?』
「うん、勿論だよ」
俺たちは二人でスーパーへと入る
彼女があまりに自然にかごをとるので、ここには来慣れてるんだろうなぁ、と思った
…そこに、少しでも俺の存在を刻みたくて、俺はかごを指差して言う
「貸して」
『え?』
「作ってもらうんだから、荷物持ち位するよ」
『そんな訳には…』
「いいから、ね?」
『…わかりました。お願いします』
なんとか彼女を説得し、俺はかごを持って彼女の後をついていく
『…うーん』
彼女があまりにも真剣に食材を選んでいて、思わずクスリと笑ってしまう
こうやって二人ならんで買い物をするのも、なんだか仲の良い夫婦みたいで、胸が暖かくなる
「(…俺が、みのりを好きだって言ったら…彼女はどんな表情をするんだろう…)」
その表情を想像すると、〝好き〟と言ってしまいたくなる
…でも、まだ彼女の中で俺の存在はそんなに大きくないだろうから、もっともっと優しくして、どろどろに甘やかして…もう、俺以外見えないって、彼女から言ってくれるくらいになったら…自分の気持ちを明かそう、そう思った
だけど、急に頭の中に思い浮かぶ、この間、竜持の部屋で、寝ている悠太の頭を撫でていたみのりの光景が、俺の胸をざわつかせる
元々、他のメンバーに牽制の意味も兼ねて、彼女にあのネックレスを送ったけど…
彼女はそんなことはつゆほども知らず、俺のあげたネックレスをつけて、他のメンバーにも優しくする
それを思い出すと、嫉妬で狂いそうだった
「(…あの時、思いきってみのりの首筋に、キスマークでもつければ良かったかな…)」
そうしたら、今とは少し違っていたのかもしれない
…でも、今の彼女の笑顔を見ると、俺の中のどす黒い感情は、少しずつ収まっていく
「(…だって、今は俺だけが独占してるんだから…)」
どうやら、俺は自分で思ってた以上に、やきもちやきで、嫉妬深いらしい
「(…ごめんね、こんな俺で。でも絶対に、他の男には渡したくないんだ。君だけは…)」
俺の内心など知らず、彼女はまた俺に笑いかけたのだったー…
6-3.和南と二人
(今日だけは、俺のモノでいて)