第5話『みんな仲良く』
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みんなは買い物を終えたあと、各チームに別れ早速調理を始めた
私は、唯月に言われた通り、みんなの調理を遠くから見ていた
メニューはもう決まっているのか、みんなはてきぱきと動いていた
『…凄い』
私は思わず呟く
みんな、凄い真剣に料理を作ってる…
「…悠太、それ、塩じゃないよ」
「えっ、あ…ほんとだ」
「全く…美味しいもの、みのりに食べさせるんでしょ?頑張って」
「うー…頑張ります…」
そうやって、阿修さんが失敗しないようにしっかり見ててくれる是国さん
「…はい、はる」
「OK!ゆづ!」
まさに一心同体という言葉がぴったり合う、唯月と遙日
「…和、ここは…」
「あぁ、ここはこうやるんだよ」
「うわぁ、凄い。和は器用なんだね」
「…倫毘沙ってこういうのは不器用だよね…」
仲良さそうに話ながら調理する、北門さんと増長さん
そして…
「…っ、よし、できた…はるぴょん、これお願い!」
「うん!任せとけ!」
事の発案者である明謙くんは、ずっと休まず手を動かしていた
『…皆さん…』
皆さんの優しい気持ちが、私の胸を一杯にする
勿論、もうひとつのチームも凄く頑張っていて…
私が自分の無力さに、うつ向いていると、呼ばれた
「みのり」
『えっ…?』
「江藤さん、こっち」
北門さんと増長さんが、私を呼んでる…?
私は不思議に思いながら、二人に近寄った
『どうかしましたか…?』
「目をつむって、口開けて」
『…?』
北門さんからそう言われ、黙ってその通りにすると、なにかが口の中に入ってきた
「…これ、なんだと思う?」
『これ、は…桃?』
「ふふ、正解」
目を開けていいと言われたので、ゆっくり目を開けると…
そこには、フルーツの沢山乗った、ショートケーキがあった
『…え…?』
何が起きたのかわからず、ただ目を瞬かせていると、増長さんが笑顔で言う
「キミ、もうすぐ誕生日なんでしょ?」
『え、どうしてそれを…』
誰にも言ってない筈なのに…
「夜叉丸さんが教えてくれたんだ」
『夜叉丸さんが…?』
「うん。もうすぐみのりちゃんの誕生日だから、普段頑張ってるご褒美も含めて、派手にやっちゃいなさいって」
『そうだったんですか…』
「でも、食べ物は後から用意して正解だったね」
「そうだね。…まぁ、あんまりパーティーっぽくはなくなっちゃったけど…」
「…あれ、みのり…?」
「泣いてるの…?」
「え…!?」
「ど、どうしたの?どっか痛い?」
阿修さんに慌てて聞かれ、私は首を横に振る
「…じゃあ、なんで…」
「俺たちに祝われるの、嫌だった…?」
『ち、違います!その…あまりにも、嬉しくて…』
私がそう言いながら涙を手で拭うと、誰かがハンカチを差し出してくれた
「はい、これ使って?」
『…北門さん…ありがとうございます』
ハンカチを受けとるものの、使っていいものか悩んでしまう
すると、北門さんが笑って、私の手から優しくハンカチを奪い、涙を拭ってくれた
「…ふふ、喜んでくれて良かった」
「部屋は、もう飾り付け済んでるんだよ!」
『飾り付け…?』
「そう。みのりの、誕生日パーティーのための、飾り付け」
『…!』
その言葉に、私は余計涙が出てきてしまう
「あー、ゆづが泣かせたー」
「はる…」
遙日にからかわれ、不機嫌そうに顔を赤くする唯月
私が唯月を見つめていると、唯月が私の視線に気付いて笑う
「…Happy Birthday、みのり」
その言葉に、私はまた泣き出したのだったー…
ー…
しばらくして、私が泣き止むと、彼らは私をその飾り付けのした部屋へと案内してくれた
「ここは、僕たちKiLLER KiNGの部屋なんだけどね」
「ちゃんと今日のために綺麗にしてあるから、大丈夫!」
部屋に入ると、私は驚いた
まずはキタコレ
「「Happy Birthday、みのり。誕生日おめでとう」」
次にMooNs
「「「「「お誕生日おめでとう、江藤さん/みのりちゃん/みのりさん」」」」」
そしてTHERIVEに…
「おめでとー!今日は楽しもうね!」
「こら、悠太。先に言うなって言っただろ」
「あ、ごめーん!じゃあ、三人で改めて!」
「「「誕生日おめでとう」」」
KiLLER KiNG
「いくよ?せーのっ!」
「「「「お誕生日おめでとう!」」」」
各チームからお祝いの言葉を貰った
『みなさん…ありがとうございます』
私は、また涙目になりながら、笑った
「お、やっと笑ったね?でも…もっと喜ぶのはこれからだよ」
愛染さんから意味深な発言をもらい、ポカーンとしていると、みんなはなにかを取りに向かうと言って、一旦部屋からいなくなってしまった
『…』
なんだか嵐みたいだな…なんて思いながら待っていると、背後から名前を呼ばれた
「みのり」
『え?愛染さん…?』
振り返ると、ずずいと花束が迫ってきた
『え!?』
思わず逃げ腰になると、愛染さんが顔を出して笑う
「はは、そんなに驚いた?」
『えっ…だって、花束が迫ってくるなんて…』
と言い訳をすると、愛染さんは笑って、私にその花束を持たせてくれた
『…綺麗…』
思わず呟いた
「はは、喜んで貰えたなら何よりだよ。…ただ、この花束だけだと、すぐに枯れてしまうから…はい、これ」
『え?これは…?』
愛染さんから渡された、ラッピングされた袋を見る
「開けて見なよ」
『あ、はい…』
花束を側において、中を開けると、そこからふわりといい匂いが漂ってきた
『…これ、香水ですか?』
「よく気付いたね…そう、香水。でも、ただの香水じゃない」
『え…?』
「キミのイメージで、わざわざ作って貰った香水なんだ」
『えっ!?』
私は香水を見る
香水の入っていた袋からは、優しい甘い匂いがしていて…
『…それって、愛染さんには、私がこういう風に写ってるってことですか?』
香水を視線を落としたまま呟く
顔をあげると、珍しく愛染さんが自信なさげに視線をさ迷わせていて…
「ま、そー言うことだろ」
「なっ!?剛士!?お前いつの間に…!」
いつの間にか背後にいた金城さんが鼻でバカにするように笑ったので、愛染さんが噛みつく
そのまま二人が言い合いを始めてしまったので、私はどうしよう…と困っていた
すると、後ろから肩を叩かれ、振り返るとぷに、と頬に指が刺さった
「ふふ、引っ掛かった!」
『…是国しゃん…』
是国さんがあまりにも楽しそうに笑っているので、声をかけずらくなっていると、後ろから北門さんも戻ってきた
「こら竜持。女の子にそういうことをしちゃいけないよ」
「…っ、ご、ごめんね…」
是国さんは、まださっきので笑っているらしく、私が思わずジト目で見た、その時
「…はい」
是国さんが笑うのをやめ、私に何か渡してきた
『えっ、これは…』
小さな箱だったので、私が首をかしげていると、是国さんが
「…そんなに首をかしげる前にあければいいのに…」
そう呟くと、
「貸して」
『あっ…』
是国さんが箱をさくっと開けてしまう
『…これは…』
「香りつきのリップクリーム。…キミ、唇が荒れて痛いって、言ってたから」
『覚えててくれてたんですか…!?』
私が驚いて声をあげると
「…当然でしょ」
と言いながら、赤くなった顔をそらされてしまった
『…ありがとうございます。大事にしますね』
私がそう微笑みかけると、是国さんは言う
「大事にするより、ちゃんと使ってよね」
『は、はい…』
「次は俺だね」
次は北門さんが私にラッピングされた袋を渡す
『これは…?』
「ふふ、開けてみて」
そう促され、袋を開けると、日傘が入っていた
『…日傘?』
「そう。キミの綺麗な白い肌が、日に焼けてしまうのは勿体ないから」
『…』
北門さんの顔と、日傘を見比べる
『…あ、ありがとうございます…』
白くて花の絵がかかれた日傘…
私には勿体なくないか…?
私がそう思ったのに、北門さんは目敏く気づいたらしく…
「…竜持のと同じく、大切に使ってくれると嬉しいな」
そう微笑まれてしまえば、私はうなずく他なくて…
私がコクりと頷くと、二人は満足そうな顔をした
「…それじゃあ、次は俺ね」
『えっ、増長さんも!?』
前に進み出た増長さんに、私は増長さんと前に彼から貰ったネックレスを何度も見比べる
『…だって、もう増長さんにはー「だめ」…え…?』
もう増長さんにはネックレスを貰ったから、と言おうとしたけど、増長さんの声がそれを遮る
「それは、いつもお世話になってるお礼。それと誕生日プレゼントは別物だよ」
そう微笑まれれば、受け取らないわけにもいかなくて…
「俺からは、これ」
増長さんが差し出したのは、ラッピングされた小さな箱
『これは…?』
「オルゴール。特別に、俺たちの曲をいれて貰ったオルゴールなんだ」
『えっ!』
私はびっくりして増長さんを見上げる
「…だから、寝る前とか、寝付けないときとか…これを聞いて、落ち着いてほしい」
増長さんらしい、とっても優しいプレゼントだった
『増長さん…ありがとうございます!』
「うん。喜んでくれて良かった」
心からお礼をいうと、増長さんも嬉しそうに笑った
「はいはーい!次は俺ね!俺はー」
王茶利さんはごそごそと後ろからなにかを取り出し、私に差し出した
「じゃじゃーん!ヘアゴム!」
『…あ、これ、王茶利さんの髪の色とおんなじですね』
ヘアゴムにつけられたリボンを見て言うと
「おっ!目敏い!よく気付いたね!」
『いつも皆さんのこと、見てますから』
王茶利さんに誉められ、なんだかむず痒い気持ちで返した
「うんうん、さっすが俺たちのA&Rだね!」
『いえ…』
王茶利さんはそう言って微笑むと、野目さんとバトンタッチした
「じゃあ次は龍ね!ファイト!」
「…あー、俺、あんまり女子の趣味とか知らないし、好みじゃなかったら悪いんだが…」
野目さんが差し出したのは、綺麗にラメストーンでデコってあるスマホケースだった
『…凄い、綺麗…え、これって…』
「あぁ、俺が作った」
『…わぁ…野目さん、器用なんですね…』
まじまじとスマホケースを眺めていると
「…悪い、好みじゃなかったか?」
『あっ、そんなことありません!嬉しいです!』
野目さんに自信なさげに問いかけられ、私はスマホケースを胸に隠しながら言うと、野目さんはポカーンとしたあと笑った
「…ありがとな」
『いえ、こちらこそ…!』
「…じゃあ次、帝人な」
「トゥーンク!漸く僕の番ですね!僕からは…これです」
釈村さんから差し出されたのは、マミリングッズ…かと思いきや、小さな瓶だった
『…これは…』
私が瓶に書いてある文字を読むと
『…アロマオイル…?』
「おや、気付きましたか?」
『…気付いたと言うか…』
「?…あぁ、瓶の文字を読んだんですね、なるほど。これは、リラックス効果のあるアロマオイルだそうです」
『…リラックス効果…』
「なので、一日の疲れを取る、お風呂のとき等に、お湯の中に数的垂らしたり…後は、手に直接塗ったりしてもいいそうですよ」
『へぇ…詳しいですね』
「トゥーンク!それはちゃんと調べましたからね!」
『ふふ、ありがとうございます』
「さ、我々MooNsのラストは、モモタスですよ」
「…あぁ」
音済さんが差し出したのは…
『…腕時計?』
「あぁ」
それは女性もので、小ぶりだけど使いやすそうだった
「…腕を貸せ」
『え?は、はい…』
私は素直に右腕を音済さんの方に寄せる
すると、音済さんは袋から時計を出し、私の手首に着けてくれる
「…うん、丁度いいな」
ふと音済さんが呟いたので、私も時計をつけて貰った手首を見ると、確かにキツくもなく緩くもなく…
『…ありがとうございます。凄く助かります』
そう微笑むと、音済さんも微笑んでくれた
「さっ!お次は僕たちだよ!」
阿修さんが金城さんと愛染さんをつれてきたが…
『…あ、あの、愛染さんにはー「残念だったな、悠太。俺はもう既に渡してあるんだよ」…です』
「ええっ!?けんけんもう渡したの!?」
「当然。お前たちが準備に手間取ってる間にな」
「えー!!けんけんずるい!じゃあごうちんは!?まだ渡してないよね!?」
「…おう」
「よっし!じゃあけんけんはあっちに行っててねー」
「え、俺だけのけ者か?」
「自業自得だろ」
「…なんだと?」
また喧嘩腰になる二人に、阿修さんがなにかを耳打ちすると、急におとなしくなった二人
『…阿修さんは凄いですね』
「え?なんで?」
きょとんとする阿修さんに、私は告げる
『だって、こんなにも簡単に、金城さんと愛染さんのケンカを止めちゃうんですから』
「…ううん、僕だけの力じゃないよ」
『そんなことはないです』
苦笑した阿修さんに、私は笑顔で言う
「…あはは…ありがと」
『…?』
なんだか歯切れの悪い阿修さんに私は首を傾げる
「…あ、そうそう、プレゼント!僕からは、これね!」
阿修さんから渡されたのは、大きな袋だった
『…?なんだろう…』
中身は固くないから、何か、もふもふするもの…?
私が袋の上から中身の感触を確かめていると、阿修さんが笑った
「そんなに袋越しに触ってないで、直接中身見ればいいのに」
『…じゃあ、開けてもいいですか?』
「勿論!」
阿修さんの許可を得て、袋を開けると、ひつじのぬいぐるみが入っていた
『わぁ…!かわいい…』
思わず目を輝かせると、阿修さんが嬉しそうに笑う
「えっへへ!みのりちゃんなら、絶対喜んでくれると思ってた!」
『…しかもこの子、なんだか阿修さん見たいですね』
ひつじの毛の部分がピンク色のぬいぐるみは、どことなく阿修さんを思い出させた
「え、僕…?」
『はい!』
私が笑顔で頷くと、阿修さんは目を丸くしたあと、優しく目を細めて…
「…じゃあ、その子のことは、僕だと思って!大事にしてね!」
『はいっ!』
阿修さんからそう微笑まれ、私は元気よく頷いた
「じゃあじゃあ、次はごうちん!頑張れ!」
「…お、おう…」
阿修さんとバトンタッチして、金城さんが来る
「…ん、やる」
『あ、ありがとうございます…』
金城さんからズイッとつきだされたのは、ワイヤレスのイヤホンだった
『あ、イヤホン…!』
しかも、それは発売したばかりで、入手困難といわれていたものだった
『…これ、どこで…?』
「は?」
『だってこれ、発売したばかりで入手困難のものですよね?いったいどこで…』
私が考え込むと、阿修さんがネタバラシする
「それはねー、ごうちんが何件もお店を回ってー「おい阿修!言うなって言っただろ!?」あは、ごめーん」
『…何件も…』
私はイヤホンをぎゅっと握りしめ、金城さんにお礼を言った
『ありがとうございます、金城さん。大事に使いますね』
「…おう」
金城さんは照れくさいのか、頭をかきながら私に背を向けた
「…じゃあ、最後は僕たちKiLLER KiNG!まずは弥勒から」
「…俺からは、これを」
殿さんが差し出してくれたのは、イヤリングだった
『…あ、これ…』
それは、KiLLER KiNGモチーフなのか、王冠の飾りがついていた
『かわいい…』
私がポツリと呟くと、殿さんは安堵したように息をついた
「それ、とのが作ったんだよ!」
『え、殿さんが?』
遙日の言葉に、私はパッと殿さんを見上げる
「…」
すると、殿さんは照れたのか、ふいっとそっぽを向いてしまった
『…殿さん、ありがとうございます』
「…いえ」
殿さんは、そのまま背を向けた
「次は、僕だよ!僕からはねー…」
明謙くんはごそごそと何かを取り出し、私に差し出す
「…じゃん!ブレスレット!」
明謙くんの手には、明謙くんの髪と同じ色の石がついたブレスレットが光っていた
『…綺麗…』
その輝きに目を奪われていると、明謙くんは私の手を取り、腕時計とは反対の手首に、それをつけてくれた
「…うん!似合うね!」
『…明謙くん…』
明謙くんの無邪気な笑顔に、私も笑い返したのだった
「じゃあ、次ははるぴょん!」
「はーい!」
明謙くんとハイタッチして私の前に来た遙日
「俺からはー…じゃんっ!」
遙日が差し出したのは、綺麗にラッピングされたテディベア
『テディベア…可愛い…』
私は遙日からそのテディベアを受けとると
『…あれ?この子なんか持ってる…』
「お、気付いた?開けて見てみてよ!」
『あ、うん…』
遙日くんの言葉で、テディベアを袋から出して、その子の持っている小箱を開けると…
『…!』
その箱の中には、ウサギの形をしたチャームに、淡い黄色の石がついたネックレスが入っていた
『…綺麗…』
そう呟くと
「はは、喜んでくれて良かった!」
遙日が屈託なく笑う
その遙日を押し退けて、次は唯月が私の目の前に来る
「…これは、俺から」
唯月が私に見せたのは、ラッピングされたマニキュアと、ハンドクリームだった
『…マニキュアと、ハンドクリーム?』
「うん…このマニキュアは、爪先を保護するやつ。ハンドクリームは、手先を保護してくれる。…みのりの手が、荒れちゃうと大変だから…」
唯月はそういうと穏やかに笑う
『…ありがとう』
その笑顔に、思わず私も微笑んでお礼を言った
唯月はそれに安堵したように笑うと、私の手からマニキュアを奪い、言った
「…手、貸して。塗ってあげる」
『え!?』
私が驚いていると、唯月は私の手を優しく取り、早速マニキュアを準備する
「…えーと、じゃあゆっちーがみのりちゃんにマニキュアを塗っている間に、僕たちは料理とかの準備をしよっか!」
明謙ちゃんがそう提案すると、みんなはなんだか渋々と言った感じで動き始めた
『あっ、準備なら、私も…』
慌てて手伝うと言おうとしたが、みんなは首を横に振る
「今日の主役はみのりなんだから、キミは動かなくていーの」
是国さんが当たり前のことのように言う
「じゃあ、俺達はケーキと料理を準備してくるから、待ってて」
北門さんにそう微笑まれ、渋々頷いた
5-4.みんなからのプレゼント
(…こんなに貰っちゃっていいのかな…)
私は、唯月に言われた通り、みんなの調理を遠くから見ていた
メニューはもう決まっているのか、みんなはてきぱきと動いていた
『…凄い』
私は思わず呟く
みんな、凄い真剣に料理を作ってる…
「…悠太、それ、塩じゃないよ」
「えっ、あ…ほんとだ」
「全く…美味しいもの、みのりに食べさせるんでしょ?頑張って」
「うー…頑張ります…」
そうやって、阿修さんが失敗しないようにしっかり見ててくれる是国さん
「…はい、はる」
「OK!ゆづ!」
まさに一心同体という言葉がぴったり合う、唯月と遙日
「…和、ここは…」
「あぁ、ここはこうやるんだよ」
「うわぁ、凄い。和は器用なんだね」
「…倫毘沙ってこういうのは不器用だよね…」
仲良さそうに話ながら調理する、北門さんと増長さん
そして…
「…っ、よし、できた…はるぴょん、これお願い!」
「うん!任せとけ!」
事の発案者である明謙くんは、ずっと休まず手を動かしていた
『…皆さん…』
皆さんの優しい気持ちが、私の胸を一杯にする
勿論、もうひとつのチームも凄く頑張っていて…
私が自分の無力さに、うつ向いていると、呼ばれた
「みのり」
『えっ…?』
「江藤さん、こっち」
北門さんと増長さんが、私を呼んでる…?
私は不思議に思いながら、二人に近寄った
『どうかしましたか…?』
「目をつむって、口開けて」
『…?』
北門さんからそう言われ、黙ってその通りにすると、なにかが口の中に入ってきた
「…これ、なんだと思う?」
『これ、は…桃?』
「ふふ、正解」
目を開けていいと言われたので、ゆっくり目を開けると…
そこには、フルーツの沢山乗った、ショートケーキがあった
『…え…?』
何が起きたのかわからず、ただ目を瞬かせていると、増長さんが笑顔で言う
「キミ、もうすぐ誕生日なんでしょ?」
『え、どうしてそれを…』
誰にも言ってない筈なのに…
「夜叉丸さんが教えてくれたんだ」
『夜叉丸さんが…?』
「うん。もうすぐみのりちゃんの誕生日だから、普段頑張ってるご褒美も含めて、派手にやっちゃいなさいって」
『そうだったんですか…』
「でも、食べ物は後から用意して正解だったね」
「そうだね。…まぁ、あんまりパーティーっぽくはなくなっちゃったけど…」
「…あれ、みのり…?」
「泣いてるの…?」
「え…!?」
「ど、どうしたの?どっか痛い?」
阿修さんに慌てて聞かれ、私は首を横に振る
「…じゃあ、なんで…」
「俺たちに祝われるの、嫌だった…?」
『ち、違います!その…あまりにも、嬉しくて…』
私がそう言いながら涙を手で拭うと、誰かがハンカチを差し出してくれた
「はい、これ使って?」
『…北門さん…ありがとうございます』
ハンカチを受けとるものの、使っていいものか悩んでしまう
すると、北門さんが笑って、私の手から優しくハンカチを奪い、涙を拭ってくれた
「…ふふ、喜んでくれて良かった」
「部屋は、もう飾り付け済んでるんだよ!」
『飾り付け…?』
「そう。みのりの、誕生日パーティーのための、飾り付け」
『…!』
その言葉に、私は余計涙が出てきてしまう
「あー、ゆづが泣かせたー」
「はる…」
遙日にからかわれ、不機嫌そうに顔を赤くする唯月
私が唯月を見つめていると、唯月が私の視線に気付いて笑う
「…Happy Birthday、みのり」
その言葉に、私はまた泣き出したのだったー…
ー…
しばらくして、私が泣き止むと、彼らは私をその飾り付けのした部屋へと案内してくれた
「ここは、僕たちKiLLER KiNGの部屋なんだけどね」
「ちゃんと今日のために綺麗にしてあるから、大丈夫!」
部屋に入ると、私は驚いた
まずはキタコレ
「「Happy Birthday、みのり。誕生日おめでとう」」
次にMooNs
「「「「「お誕生日おめでとう、江藤さん/みのりちゃん/みのりさん」」」」」
そしてTHERIVEに…
「おめでとー!今日は楽しもうね!」
「こら、悠太。先に言うなって言っただろ」
「あ、ごめーん!じゃあ、三人で改めて!」
「「「誕生日おめでとう」」」
KiLLER KiNG
「いくよ?せーのっ!」
「「「「お誕生日おめでとう!」」」」
各チームからお祝いの言葉を貰った
『みなさん…ありがとうございます』
私は、また涙目になりながら、笑った
「お、やっと笑ったね?でも…もっと喜ぶのはこれからだよ」
愛染さんから意味深な発言をもらい、ポカーンとしていると、みんなはなにかを取りに向かうと言って、一旦部屋からいなくなってしまった
『…』
なんだか嵐みたいだな…なんて思いながら待っていると、背後から名前を呼ばれた
「みのり」
『え?愛染さん…?』
振り返ると、ずずいと花束が迫ってきた
『え!?』
思わず逃げ腰になると、愛染さんが顔を出して笑う
「はは、そんなに驚いた?」
『えっ…だって、花束が迫ってくるなんて…』
と言い訳をすると、愛染さんは笑って、私にその花束を持たせてくれた
『…綺麗…』
思わず呟いた
「はは、喜んで貰えたなら何よりだよ。…ただ、この花束だけだと、すぐに枯れてしまうから…はい、これ」
『え?これは…?』
愛染さんから渡された、ラッピングされた袋を見る
「開けて見なよ」
『あ、はい…』
花束を側において、中を開けると、そこからふわりといい匂いが漂ってきた
『…これ、香水ですか?』
「よく気付いたね…そう、香水。でも、ただの香水じゃない」
『え…?』
「キミのイメージで、わざわざ作って貰った香水なんだ」
『えっ!?』
私は香水を見る
香水の入っていた袋からは、優しい甘い匂いがしていて…
『…それって、愛染さんには、私がこういう風に写ってるってことですか?』
香水を視線を落としたまま呟く
顔をあげると、珍しく愛染さんが自信なさげに視線をさ迷わせていて…
「ま、そー言うことだろ」
「なっ!?剛士!?お前いつの間に…!」
いつの間にか背後にいた金城さんが鼻でバカにするように笑ったので、愛染さんが噛みつく
そのまま二人が言い合いを始めてしまったので、私はどうしよう…と困っていた
すると、後ろから肩を叩かれ、振り返るとぷに、と頬に指が刺さった
「ふふ、引っ掛かった!」
『…是国しゃん…』
是国さんがあまりにも楽しそうに笑っているので、声をかけずらくなっていると、後ろから北門さんも戻ってきた
「こら竜持。女の子にそういうことをしちゃいけないよ」
「…っ、ご、ごめんね…」
是国さんは、まださっきので笑っているらしく、私が思わずジト目で見た、その時
「…はい」
是国さんが笑うのをやめ、私に何か渡してきた
『えっ、これは…』
小さな箱だったので、私が首をかしげていると、是国さんが
「…そんなに首をかしげる前にあければいいのに…」
そう呟くと、
「貸して」
『あっ…』
是国さんが箱をさくっと開けてしまう
『…これは…』
「香りつきのリップクリーム。…キミ、唇が荒れて痛いって、言ってたから」
『覚えててくれてたんですか…!?』
私が驚いて声をあげると
「…当然でしょ」
と言いながら、赤くなった顔をそらされてしまった
『…ありがとうございます。大事にしますね』
私がそう微笑みかけると、是国さんは言う
「大事にするより、ちゃんと使ってよね」
『は、はい…』
「次は俺だね」
次は北門さんが私にラッピングされた袋を渡す
『これは…?』
「ふふ、開けてみて」
そう促され、袋を開けると、日傘が入っていた
『…日傘?』
「そう。キミの綺麗な白い肌が、日に焼けてしまうのは勿体ないから」
『…』
北門さんの顔と、日傘を見比べる
『…あ、ありがとうございます…』
白くて花の絵がかかれた日傘…
私には勿体なくないか…?
私がそう思ったのに、北門さんは目敏く気づいたらしく…
「…竜持のと同じく、大切に使ってくれると嬉しいな」
そう微笑まれてしまえば、私はうなずく他なくて…
私がコクりと頷くと、二人は満足そうな顔をした
「…それじゃあ、次は俺ね」
『えっ、増長さんも!?』
前に進み出た増長さんに、私は増長さんと前に彼から貰ったネックレスを何度も見比べる
『…だって、もう増長さんにはー「だめ」…え…?』
もう増長さんにはネックレスを貰ったから、と言おうとしたけど、増長さんの声がそれを遮る
「それは、いつもお世話になってるお礼。それと誕生日プレゼントは別物だよ」
そう微笑まれれば、受け取らないわけにもいかなくて…
「俺からは、これ」
増長さんが差し出したのは、ラッピングされた小さな箱
『これは…?』
「オルゴール。特別に、俺たちの曲をいれて貰ったオルゴールなんだ」
『えっ!』
私はびっくりして増長さんを見上げる
「…だから、寝る前とか、寝付けないときとか…これを聞いて、落ち着いてほしい」
増長さんらしい、とっても優しいプレゼントだった
『増長さん…ありがとうございます!』
「うん。喜んでくれて良かった」
心からお礼をいうと、増長さんも嬉しそうに笑った
「はいはーい!次は俺ね!俺はー」
王茶利さんはごそごそと後ろからなにかを取り出し、私に差し出した
「じゃじゃーん!ヘアゴム!」
『…あ、これ、王茶利さんの髪の色とおんなじですね』
ヘアゴムにつけられたリボンを見て言うと
「おっ!目敏い!よく気付いたね!」
『いつも皆さんのこと、見てますから』
王茶利さんに誉められ、なんだかむず痒い気持ちで返した
「うんうん、さっすが俺たちのA&Rだね!」
『いえ…』
王茶利さんはそう言って微笑むと、野目さんとバトンタッチした
「じゃあ次は龍ね!ファイト!」
「…あー、俺、あんまり女子の趣味とか知らないし、好みじゃなかったら悪いんだが…」
野目さんが差し出したのは、綺麗にラメストーンでデコってあるスマホケースだった
『…凄い、綺麗…え、これって…』
「あぁ、俺が作った」
『…わぁ…野目さん、器用なんですね…』
まじまじとスマホケースを眺めていると
「…悪い、好みじゃなかったか?」
『あっ、そんなことありません!嬉しいです!』
野目さんに自信なさげに問いかけられ、私はスマホケースを胸に隠しながら言うと、野目さんはポカーンとしたあと笑った
「…ありがとな」
『いえ、こちらこそ…!』
「…じゃあ次、帝人な」
「トゥーンク!漸く僕の番ですね!僕からは…これです」
釈村さんから差し出されたのは、マミリングッズ…かと思いきや、小さな瓶だった
『…これは…』
私が瓶に書いてある文字を読むと
『…アロマオイル…?』
「おや、気付きましたか?」
『…気付いたと言うか…』
「?…あぁ、瓶の文字を読んだんですね、なるほど。これは、リラックス効果のあるアロマオイルだそうです」
『…リラックス効果…』
「なので、一日の疲れを取る、お風呂のとき等に、お湯の中に数的垂らしたり…後は、手に直接塗ったりしてもいいそうですよ」
『へぇ…詳しいですね』
「トゥーンク!それはちゃんと調べましたからね!」
『ふふ、ありがとうございます』
「さ、我々MooNsのラストは、モモタスですよ」
「…あぁ」
音済さんが差し出したのは…
『…腕時計?』
「あぁ」
それは女性もので、小ぶりだけど使いやすそうだった
「…腕を貸せ」
『え?は、はい…』
私は素直に右腕を音済さんの方に寄せる
すると、音済さんは袋から時計を出し、私の手首に着けてくれる
「…うん、丁度いいな」
ふと音済さんが呟いたので、私も時計をつけて貰った手首を見ると、確かにキツくもなく緩くもなく…
『…ありがとうございます。凄く助かります』
そう微笑むと、音済さんも微笑んでくれた
「さっ!お次は僕たちだよ!」
阿修さんが金城さんと愛染さんをつれてきたが…
『…あ、あの、愛染さんにはー「残念だったな、悠太。俺はもう既に渡してあるんだよ」…です』
「ええっ!?けんけんもう渡したの!?」
「当然。お前たちが準備に手間取ってる間にな」
「えー!!けんけんずるい!じゃあごうちんは!?まだ渡してないよね!?」
「…おう」
「よっし!じゃあけんけんはあっちに行っててねー」
「え、俺だけのけ者か?」
「自業自得だろ」
「…なんだと?」
また喧嘩腰になる二人に、阿修さんがなにかを耳打ちすると、急におとなしくなった二人
『…阿修さんは凄いですね』
「え?なんで?」
きょとんとする阿修さんに、私は告げる
『だって、こんなにも簡単に、金城さんと愛染さんのケンカを止めちゃうんですから』
「…ううん、僕だけの力じゃないよ」
『そんなことはないです』
苦笑した阿修さんに、私は笑顔で言う
「…あはは…ありがと」
『…?』
なんだか歯切れの悪い阿修さんに私は首を傾げる
「…あ、そうそう、プレゼント!僕からは、これね!」
阿修さんから渡されたのは、大きな袋だった
『…?なんだろう…』
中身は固くないから、何か、もふもふするもの…?
私が袋の上から中身の感触を確かめていると、阿修さんが笑った
「そんなに袋越しに触ってないで、直接中身見ればいいのに」
『…じゃあ、開けてもいいですか?』
「勿論!」
阿修さんの許可を得て、袋を開けると、ひつじのぬいぐるみが入っていた
『わぁ…!かわいい…』
思わず目を輝かせると、阿修さんが嬉しそうに笑う
「えっへへ!みのりちゃんなら、絶対喜んでくれると思ってた!」
『…しかもこの子、なんだか阿修さん見たいですね』
ひつじの毛の部分がピンク色のぬいぐるみは、どことなく阿修さんを思い出させた
「え、僕…?」
『はい!』
私が笑顔で頷くと、阿修さんは目を丸くしたあと、優しく目を細めて…
「…じゃあ、その子のことは、僕だと思って!大事にしてね!」
『はいっ!』
阿修さんからそう微笑まれ、私は元気よく頷いた
「じゃあじゃあ、次はごうちん!頑張れ!」
「…お、おう…」
阿修さんとバトンタッチして、金城さんが来る
「…ん、やる」
『あ、ありがとうございます…』
金城さんからズイッとつきだされたのは、ワイヤレスのイヤホンだった
『あ、イヤホン…!』
しかも、それは発売したばかりで、入手困難といわれていたものだった
『…これ、どこで…?』
「は?」
『だってこれ、発売したばかりで入手困難のものですよね?いったいどこで…』
私が考え込むと、阿修さんがネタバラシする
「それはねー、ごうちんが何件もお店を回ってー「おい阿修!言うなって言っただろ!?」あは、ごめーん」
『…何件も…』
私はイヤホンをぎゅっと握りしめ、金城さんにお礼を言った
『ありがとうございます、金城さん。大事に使いますね』
「…おう」
金城さんは照れくさいのか、頭をかきながら私に背を向けた
「…じゃあ、最後は僕たちKiLLER KiNG!まずは弥勒から」
「…俺からは、これを」
殿さんが差し出してくれたのは、イヤリングだった
『…あ、これ…』
それは、KiLLER KiNGモチーフなのか、王冠の飾りがついていた
『かわいい…』
私がポツリと呟くと、殿さんは安堵したように息をついた
「それ、とのが作ったんだよ!」
『え、殿さんが?』
遙日の言葉に、私はパッと殿さんを見上げる
「…」
すると、殿さんは照れたのか、ふいっとそっぽを向いてしまった
『…殿さん、ありがとうございます』
「…いえ」
殿さんは、そのまま背を向けた
「次は、僕だよ!僕からはねー…」
明謙くんはごそごそと何かを取り出し、私に差し出す
「…じゃん!ブレスレット!」
明謙くんの手には、明謙くんの髪と同じ色の石がついたブレスレットが光っていた
『…綺麗…』
その輝きに目を奪われていると、明謙くんは私の手を取り、腕時計とは反対の手首に、それをつけてくれた
「…うん!似合うね!」
『…明謙くん…』
明謙くんの無邪気な笑顔に、私も笑い返したのだった
「じゃあ、次ははるぴょん!」
「はーい!」
明謙くんとハイタッチして私の前に来た遙日
「俺からはー…じゃんっ!」
遙日が差し出したのは、綺麗にラッピングされたテディベア
『テディベア…可愛い…』
私は遙日からそのテディベアを受けとると
『…あれ?この子なんか持ってる…』
「お、気付いた?開けて見てみてよ!」
『あ、うん…』
遙日くんの言葉で、テディベアを袋から出して、その子の持っている小箱を開けると…
『…!』
その箱の中には、ウサギの形をしたチャームに、淡い黄色の石がついたネックレスが入っていた
『…綺麗…』
そう呟くと
「はは、喜んでくれて良かった!」
遙日が屈託なく笑う
その遙日を押し退けて、次は唯月が私の目の前に来る
「…これは、俺から」
唯月が私に見せたのは、ラッピングされたマニキュアと、ハンドクリームだった
『…マニキュアと、ハンドクリーム?』
「うん…このマニキュアは、爪先を保護するやつ。ハンドクリームは、手先を保護してくれる。…みのりの手が、荒れちゃうと大変だから…」
唯月はそういうと穏やかに笑う
『…ありがとう』
その笑顔に、思わず私も微笑んでお礼を言った
唯月はそれに安堵したように笑うと、私の手からマニキュアを奪い、言った
「…手、貸して。塗ってあげる」
『え!?』
私が驚いていると、唯月は私の手を優しく取り、早速マニキュアを準備する
「…えーと、じゃあゆっちーがみのりちゃんにマニキュアを塗っている間に、僕たちは料理とかの準備をしよっか!」
明謙ちゃんがそう提案すると、みんなはなんだか渋々と言った感じで動き始めた
『あっ、準備なら、私も…』
慌てて手伝うと言おうとしたが、みんなは首を横に振る
「今日の主役はみのりなんだから、キミは動かなくていーの」
是国さんが当たり前のことのように言う
「じゃあ、俺達はケーキと料理を準備してくるから、待ってて」
北門さんにそう微笑まれ、渋々頷いた
5-4.みんなからのプレゼント
(…こんなに貰っちゃっていいのかな…)