私は、物心ついたときから、王宮にいた


…けど、小さい頃から一緒にいた人たちは、私の家族でもなんでもないと、大人たちが話していたのを聞いた


…私は、ひとりぼっちなんだ


家族のいない、ひとりぼっち…


『…さびしい』


そんな言葉が漏れたとき


「…お前、どうしたんだよ」


『え…？』


同じくらいの背の男の子達が、私を見て目を丸くしていた


私の目に涙が浮かんでいたことを知ると、少し背の高い男の子が、踞っている私に、屈んでハンカチを差し出してくれた


「…これを使え」


『え…？』


私が涙の浮かんだ目を丸くしてハンカチを見つめていると、彼は私に近づき、ハンカチでそっと私の目の涙を拭ってくれた


『…ありがとう』


小さな声でお礼を言うと、彼らはじっと私を見つめる


彼らは、同じ銀髪に、真っ赤な瞳をしていた


少し違うところはあれど、二人が似ていることから、この二人は兄弟なんだなと思った


…すると、私はまたうつ向いてしまった


「…なぁ、どうして泣いてたんだよ」


私の涙を拭ってくれた彼とは違う方の彼が、私に問いかけてきた


『…それは…』


どう伝えればいいか、私が悩んでうつむくと、彼らは目を見合わせた


「…兄さん。こいつ…」


「…そうだな」


二人はなにかを話し合うと言ってから、私の側から離れた


二人が私に背を向けて話し合っているのを見ると、なんだかまた泣けてきた


(…泣くもんか)


(泣いたって、何も変わらない)


(なら…もっと素敵なことを考えて、前向きに生きた方が、きっと楽しい)


そしてなぜか、私はその日から、彼らの兄妹として、そのお城に住まうことになったのだったー…





出会い

(彼らと出会って、私の運命は変わった)