「シンヤちゃん大丈夫！？」

「あ、梓ちゃん！！」

「早いな。まだ一時間も経っていないぞ、何があった！？」

「刀哉いました！！　見つけました！　でも…今…何かに中断されて…」

「う………？」



すぐ側にに座らせてあった刀哉が頭を抱えて目を覚ました。


「く…うう……？　アタマ…痛……」

「と…刀哉！？　刀哉！！」


すると上映室内がざわつき始める。


「なんだよ…急に!!?」
「お…オレは何もやってない！もう一回見せろ！」
「何よこれ…ふざけないでよ……」
「くそ…イイとこだったのに…！！」
「戻れ…戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ」


「なんだ…！？　皆、一斉に起き出したぞ……」

「これ…は…"中"で…何かあった…！？」


辺りが困惑する中、上映室に声が響き渡った。


【プログラムを強制終了させました。予期せぬエラーが起こったもので…】


スクリーンに写った少年はそこから抜け出すように姿を現した。


「!!!　…逸人くん…！！　これは…」


少年の動きに合わせるようにハデスの皮膚は剥がれ落ちていく。


「遂に…出てきたな……やはりおまえが"本体"だったか…」

【ここで他人の夢にアクセスできるのは、現実に身を置き…与えられる夢に価値を感じない人間だけです。
あなたがたにここは相応しくない…エラーを修復します。消えてもらいますよ…】

「何を……!!?」


ぐりん、と目を見開いた少年に梓が構えると何者かに後ろから押さえ付けられた。


「ふざけんなよぉ…戻せ…今すぐ戻せよぉぉ…」
「でめぇがあああ、止めやがったのはああぁぁぁ」
「お願い…早く続きが…続きがああああああ」


それは先程まで眠っていた人々だった。


「ええい触るな、このっ…腑抜けどもめ……！！」


羽交い締めにされるハデスと梓、刀哉を抱きしめながらも守ろうとする真哉、伸ばされる手を杖で振り払う三途川を少年はニヤリと見つめた。


【おわかりですか？あなたがたを望まないのは私だけではありません…私たちの…夢のために、早急に削除させていただきます】



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