ハデスたちは真哉に説明しながら上映室の奥へと進む。


「この上映室へ入ると…まず急激な眠気に襲われる。
眠りにつきしばらくすると、夢を見ているような感覚で…頭の中に不思議な画面が浮かんでくる」

「画面はシンヤちゃんの意識を読み取って勝手に先へ進んでこう言ってくるの…"あなたを欲しいものを選択します"って…」

「そ…それで…」

「なんだって言うんだ…どうするつもりだ！？」


三途川は納得のいかない顔で口を挟んだ。


「あの女が言うように…"欲しいもの"が例え同じ物だとしても人によって状況は全て異なる。
"欲しいもの"を自由に指定できるとも思えん。でなければ…人の夢に入っていくことなど………！」


三途川はハッと目を見開いた。


「できる…のか…！？　"人の夢へ入ること"……それ自体が心から願う"欲しいもの"であれば…！」

「そうです。"今の"シンヤちゃんならこの"中"で刀哉くんに会えるかもしれません」

「……だが…かなり賭けだぞ…うまくいなかければ彼女は何時間も目覚めない」


真哉はゴクリと唾を飲み込み、意を決して席に座ろうとした。


「す、座ればいいんですよね！？」

「！！　それは…そうだが…」

「私やります。やらせてください！！」

「…鏑木さん、僕たちで…刀哉くんを助けよう。必ず…！」

「！！　は…はい!!!」

「刀哉くん…つらかったんだろうな…」


願うように手を握り眠りにつく真哉に梓はポツリと呟いた。


「えっ！？」


急に呟いた梓にハデスは驚きの声をあげた。


「いえ…たぶんですけど、シンヤちゃんはすごく強いのに、刀哉くんの事となるとあんなに取り乱して……」

「それは自分が弱いせいだと……」

「そう思う心に付け込まれたのかもしれません…」


それが真実であろうが、なかろうが、今はただ真哉が目覚めるのを待つしかなかった。


それからしばらくして…


「刀哉っ!!!」


真哉が目を覚ました。



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