―次の日―


「アシタバくん、何か疲れた顔してるけど大丈夫？」

「だ…大丈夫だよ帰って休め「やあアシタバくん」

「本好くん！？」


音もなく現れた本好にアシタバは連れて行かれるようにして帰っていった。


「ちょっと気になるな…」


さらに２日目、３日目とアシタバの顔色がどんどん悪くなっている。


「アシタバくん、今日も…一緒に帰ろうよ………」


逃げるように教室を出たアシタバを追いかけると、先回りしていた本好に話しかけられていた。


「本好くん、アシタバくん」


マンホールから逃げだそうとするアシタバとそれを待ち構えていた本好がこちらを向く。


「牙狼さん…何？」

「本好くん、今日は私も一緒に帰って良い？」

「………牙狼さんも最近美っちゃんと仲いいよね…良いよ、一緒に帰ろう」


梓はアシタバを庇うように本好との間に立ち歩き出した。


「本好くんは美作くんといつから仲良しなの？」

「俺は幼稚園のころからの付き合いなんだけど、そのころから身体が弱くてさ…」


本好は梓が口を挟むヒマもないほどに話しはじめる。
話を聞いているだけなのに襲い掛かってくるプレッシャーに病魔に罹りかけていることが予想できた。


「じゃあ俺こっちたから…また明日学校でね」

「う…うん。また…ね」

「………ねぇよかったら明日も一緒に帰ろうよ牙狼さん……ねぇ、アシタバくん」


アシタバはビクリと肩を震わせる。
本好の姿が見えなくなった瞬間アシタバは足元に崩れ落ちるようにしゃがみこんだ。


「毎日こんな感じだったんだね」

「梓さんは何で平気なの？」

「それは内緒、アシタバくん明日は保健室でちょっとでも休んだ方がいいよ。あそこはたぶん安全だから」

「う…うん」


そして次の日の昼休み、アシタバはフラフラと保健室へ向かって行った。


「さて…私は本好くんを見張りますか……」


しばらくすると５時限目が始まるまでにはまだかなりの時間があるのに藤が教室に戻ってきた。



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