第33診:一年で一番憂鬱な日
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空いたスペースに重箱を置き、フタを開けると中にはおにぎりや卵焼き、爪楊枝に刺したウインナーなど手で食べられそうなものがぎっしりと詰まっていた。
「やっとメシかよ…」
「おいしそー」
疲れた顔のの美作とホッとした様子の花巻とは別に藤は訝しげに口を開いた。
「なあ、これ誰が作ったんだ?」
「私だけど。何か不満?」
「ああ…どーりで」
藤の最初の予定通り板長が作ったならば、伊勢海老やら唐揚げなど入っていてもおかしくはないのにあまりにも中身が質素だった為、疑問に思ったのだ。
梓の言葉を聞いて表情を変えたのは美作だった。
「マジでか!! まさかこんなトコで女子の手作り料理が食えるなんて…」
くっ…と涙を堪える仕草をしながらすでに両手にはおにぎりが握られている。
弁当を食べながらもテキストに答えを書き込む手は止まらない。どうやら中身のチョイスは正解だったようだ。
底の見えてきた重箱をこっそりカメラに納めると、梓は壁にもたれて様子を見ていたハデスの隣へと移動した。
「で、これはどういう状況なんですか?」
「夏休みの宿題が終わってないらしくって……図書館も閉まっちゃったし」
「やっぱり……」
「梓さんは終わった?」
「はい、たった今」
「今?」
"たった今"の意味が判らず不思議そうな顔をしているハデスを横目てチラリと見やる。
自宅ということもあり、白衣を脱いでいるハデスはいつもと雰囲気が違って見えて頬に熱が集まってくる。
昨晩、真哉との話でハデスを好きだと口にしたことで妙に意識してしまう。
「どうしたの?」
「えっ!? あっ…いえ、何でもないです……」
視線を感じてこちらを向いたハデスと目が合い、梓は勢いよく顔を逸らす。
明らかに不自然な行動だと自分でも思ったが、やってしまったものは仕方がない。
「そうだ! ハデス先生、よかったらコレ食べませんか?」
梓は誤魔化すように手を叩き、朝作って先程クーラーバッグに入れてきたゼリーを差し出した。
オレンジ色のゼリーの中にはミカンが沈んでいる。
「これ…梓さんが作ったの?」
「はい、作ったのは昨日ですけど…」
「へぇ…すごいね。じゃあいただきます。
………うん、すごく美味しいよ」
そう言われて照れ臭いが、素直に嬉しい。梓は緩んでくる頬を隠すようにゼリーを口へ運んだ。
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「やっとメシかよ…」
「おいしそー」
疲れた顔のの美作とホッとした様子の花巻とは別に藤は訝しげに口を開いた。
「なあ、これ誰が作ったんだ?」
「私だけど。何か不満?」
「ああ…どーりで」
藤の最初の予定通り板長が作ったならば、伊勢海老やら唐揚げなど入っていてもおかしくはないのにあまりにも中身が質素だった為、疑問に思ったのだ。
梓の言葉を聞いて表情を変えたのは美作だった。
「マジでか!! まさかこんなトコで女子の手作り料理が食えるなんて…」
くっ…と涙を堪える仕草をしながらすでに両手にはおにぎりが握られている。
弁当を食べながらもテキストに答えを書き込む手は止まらない。どうやら中身のチョイスは正解だったようだ。
底の見えてきた重箱をこっそりカメラに納めると、梓は壁にもたれて様子を見ていたハデスの隣へと移動した。
「で、これはどういう状況なんですか?」
「夏休みの宿題が終わってないらしくって……図書館も閉まっちゃったし」
「やっぱり……」
「梓さんは終わった?」
「はい、たった今」
「今?」
"たった今"の意味が判らず不思議そうな顔をしているハデスを横目てチラリと見やる。
自宅ということもあり、白衣を脱いでいるハデスはいつもと雰囲気が違って見えて頬に熱が集まってくる。
昨晩、真哉との話でハデスを好きだと口にしたことで妙に意識してしまう。
「どうしたの?」
「えっ!? あっ…いえ、何でもないです……」
視線を感じてこちらを向いたハデスと目が合い、梓は勢いよく顔を逸らす。
明らかに不自然な行動だと自分でも思ったが、やってしまったものは仕方がない。
「そうだ! ハデス先生、よかったらコレ食べませんか?」
梓は誤魔化すように手を叩き、朝作って先程クーラーバッグに入れてきたゼリーを差し出した。
オレンジ色のゼリーの中にはミカンが沈んでいる。
「これ…梓さんが作ったの?」
「はい、作ったのは昨日ですけど…」
「へぇ…すごいね。じゃあいただきます。
………うん、すごく美味しいよ」
そう言われて照れ臭いが、素直に嬉しい。梓は緩んでくる頬を隠すようにゼリーを口へ運んだ。
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