第33診:一年で一番憂鬱な日
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どうしたものかと考えていると、板長がポンッと手を叩く。
「そうだ! 申し訳ないが梓嬢ちゃんが作っちゃくれませんかね?」
「えぇっ!!? で、でもお邪魔じゃないですか?」
「あの奥の所なら大丈夫ですよ。山坊っちゃん、どうでしょう?」
「まあ、梓なら大丈夫だろう。やってくれるか?」
大人2人にそう言われて断れる人間はいるだろうか…梓はぎこちなく頷いた。
「この辺にあるものはどれでも好きに使ってもらっていいんで…」
板長は何度も頭を下げて持ち場へと戻っていった。
「やるしかないか….…」
梓は覚悟を決めて卵に手を伸ばした。
ーーーーー
藤の家に着いてから30分が経過してようやく用意されていた重箱の底が隠れた。
それを風呂敷に包むと梓は調理場の人達に頭を下げる。
「ご迷惑おかけしてすみませんでしたっ!」
「いえ、お気を付けて」
「はいっ、ありがとうございます」
梓は駆け足で外に出ると、携帯を開いて藤の送ってきた住所を確認する。
「ちょっと距離あるなあ…」
【運んでやろうか?】
やれやれと言うように銀色の毛の狼が姿を表した。
「いいの!?」
【薄暗くなってきたから大丈夫だろ】
「やった! じゃあちょっと家まで行ってもらっていい?」
背に乗りながら梓が言うと、獄狼 は返事の代わりに強く地面を蹴る。
一度家に帰りクーラーバッグにあるものを放り込み再度獄狼 の背に乗った。
「ここ…だよね?」
【俺は梓の言ったとーりに走っただけだからな…】
梓達はやはり覚えのないアパートの前に立っていた。
おそるおそるメールに書かれていた部屋のインターホンを押すと、数秒おいて中からパタパタと足音が近付いてくる。
「ちょっと待ってください」
「ん? この声って…」
聞き覚えのある声に首を傾げると、開いた扉からよく知っている人物が現れた。
「は…ハデス先生!?」
「あれ……梓さん!?」
お互いに目を丸くして固まっていると奥から藤がひょっこり顔をだす。
「おっせーよ!」
「遅いって…しょーがないでしよ! っちょ…も~」
梓の話を聞きもせず、藤は重箱を包んだ風呂敷を持って奥へと戻っていった。
「……よかったら上がって?」
「狭いけど…」と苦笑するハデスの言葉に甘えて中へ入る。
すると、1kの決して広くない部屋の奥では藤だけでなく、アシタバ、美作、さらには花巻までもが集まりテーブルの上のノートやテキストをどけて真ん中にスペースを作っていた。
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「そうだ! 申し訳ないが梓嬢ちゃんが作っちゃくれませんかね?」
「えぇっ!!? で、でもお邪魔じゃないですか?」
「あの奥の所なら大丈夫ですよ。山坊っちゃん、どうでしょう?」
「まあ、梓なら大丈夫だろう。やってくれるか?」
大人2人にそう言われて断れる人間はいるだろうか…梓はぎこちなく頷いた。
「この辺にあるものはどれでも好きに使ってもらっていいんで…」
板長は何度も頭を下げて持ち場へと戻っていった。
「やるしかないか….…」
梓は覚悟を決めて卵に手を伸ばした。
ーーーーー
藤の家に着いてから30分が経過してようやく用意されていた重箱の底が隠れた。
それを風呂敷に包むと梓は調理場の人達に頭を下げる。
「ご迷惑おかけしてすみませんでしたっ!」
「いえ、お気を付けて」
「はいっ、ありがとうございます」
梓は駆け足で外に出ると、携帯を開いて藤の送ってきた住所を確認する。
「ちょっと距離あるなあ…」
【運んでやろうか?】
やれやれと言うように銀色の毛の狼が姿を表した。
「いいの!?」
【薄暗くなってきたから大丈夫だろ】
「やった! じゃあちょっと家まで行ってもらっていい?」
背に乗りながら梓が言うと、
一度家に帰りクーラーバッグにあるものを放り込み再度
「ここ…だよね?」
【俺は梓の言ったとーりに走っただけだからな…】
梓達はやはり覚えのないアパートの前に立っていた。
おそるおそるメールに書かれていた部屋のインターホンを押すと、数秒おいて中からパタパタと足音が近付いてくる。
「ちょっと待ってください」
「ん? この声って…」
聞き覚えのある声に首を傾げると、開いた扉からよく知っている人物が現れた。
「は…ハデス先生!?」
「あれ……梓さん!?」
お互いに目を丸くして固まっていると奥から藤がひょっこり顔をだす。
「おっせーよ!」
「遅いって…しょーがないでしよ! っちょ…も~」
梓の話を聞きもせず、藤は重箱を包んだ風呂敷を持って奥へと戻っていった。
「……よかったら上がって?」
「狭いけど…」と苦笑するハデスの言葉に甘えて中へ入る。
すると、1kの決して広くない部屋の奥では藤だけでなく、アシタバ、美作、さらには花巻までもが集まりテーブルの上のノートやテキストをどけて真ん中にスペースを作っていた。
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