第33診:一年で一番憂鬱な日
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「梓ちゃん、本当にありがとうね」
真哉はようやく完成したクマのぬいぐるみを抱いて、玄関先で梓の手を握りしめた。
時刻は午後6時、朝食を食べた後ほとんどノンストップでぬいぐるみを作り先程ようやく完成したのだ。
「夕飯食べていけばいいのに…」
「さすがに悪いよ。それに、自由研究完成させなきゃだしね」
「えっ!? 嘘っ、ゴメン…私のせいで……」
シュンと肩を落とす真哉に梓は慌てて首を振る。
「シンヤちゃんのせいじゃないって!
………私の自由研究ってね、40日間の夏レシピで夏休みの間毎日作ったご飯やお菓子を写真付きでまとめてるの」
「へぇ~……すごい…」
私には真似できないな…と思いつつ真哉は呟いた。
「今日の分も何か作らないといけないんだ」
「そうだったんだ…それなら仕方ないよね。
ねっ、もしよかったらまたそのレシピ見せてくれない?」
「うん、いいよ。返ってきたら貸すからまた何か作ろう?」
「うんっ!!」
梓は手を振りながら歩き始めた。
家までの道を歩きながら今日の夕飯、すなわち夏レシピのラストを飾る料理を考えていると、携帯が鳴り出した。
「ん? 麓介からだ…」
突然の藤からのメールを不思議に思いつつも中を見るとそこには
"したのじゅうしょにべんとうもってきてくれ。べんとうはおれんちいったらあるはずだから"
と書かれていた。
漢字変換するのも面倒なのか、ひらがなのみの内容に苦笑しながらも梓は歩く向きを変える。
「さては宿題いろんな人にしてもらってたの山蔵さんにバレたな……でも…この住所…誰のだろ?」
疑問には思うものの、行けば判るか…と思い直し藤の家"紫藤"に行ってみると、中居さんから板前さんまで慌ただしく動き回っている。
予想外の出来事に驚きなから立ち尽くしていると、目の前を山蔵が通りかかりとっさに袖を掴んだ。
「!? 何だ梓か。すまないが今込み合っていてな、用なら今度にしてくれるか?」
「あの…私、麓介にお弁当を取ってくるように頼まれたんですけど…」
「弁当? ふむ……わかった、こっちに来てくれ」
足早に歩く山蔵に付いて行った先は調理場だった。
2人に気付いた板長がこちらに駆け寄ってくる。
「山坊っちゃん、梓嬢ちゃんどうされました?」
「あの…麓介に頼まれてお弁当を………」
梓の言葉に板長の顔がサッと青くなる。
「すみません、今この状態でまだ出来てないんですよ」
「急にお得意様がみえてな。で、弁当と言うのは?」
「はい、何でもご友人と食べるとかで…」
「なるほどな」
板長は困ったような顔でチラチラ調理場に目を向けている。
今話している時間も惜しいようだ。
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真哉はようやく完成したクマのぬいぐるみを抱いて、玄関先で梓の手を握りしめた。
時刻は午後6時、朝食を食べた後ほとんどノンストップでぬいぐるみを作り先程ようやく完成したのだ。
「夕飯食べていけばいいのに…」
「さすがに悪いよ。それに、自由研究完成させなきゃだしね」
「えっ!? 嘘っ、ゴメン…私のせいで……」
シュンと肩を落とす真哉に梓は慌てて首を振る。
「シンヤちゃんのせいじゃないって!
………私の自由研究ってね、40日間の夏レシピで夏休みの間毎日作ったご飯やお菓子を写真付きでまとめてるの」
「へぇ~……すごい…」
私には真似できないな…と思いつつ真哉は呟いた。
「今日の分も何か作らないといけないんだ」
「そうだったんだ…それなら仕方ないよね。
ねっ、もしよかったらまたそのレシピ見せてくれない?」
「うん、いいよ。返ってきたら貸すからまた何か作ろう?」
「うんっ!!」
梓は手を振りながら歩き始めた。
家までの道を歩きながら今日の夕飯、すなわち夏レシピのラストを飾る料理を考えていると、携帯が鳴り出した。
「ん? 麓介からだ…」
突然の藤からのメールを不思議に思いつつも中を見るとそこには
"したのじゅうしょにべんとうもってきてくれ。べんとうはおれんちいったらあるはずだから"
と書かれていた。
漢字変換するのも面倒なのか、ひらがなのみの内容に苦笑しながらも梓は歩く向きを変える。
「さては宿題いろんな人にしてもらってたの山蔵さんにバレたな……でも…この住所…誰のだろ?」
疑問には思うものの、行けば判るか…と思い直し藤の家"紫藤"に行ってみると、中居さんから板前さんまで慌ただしく動き回っている。
予想外の出来事に驚きなから立ち尽くしていると、目の前を山蔵が通りかかりとっさに袖を掴んだ。
「!? 何だ梓か。すまないが今込み合っていてな、用なら今度にしてくれるか?」
「あの…私、麓介にお弁当を取ってくるように頼まれたんですけど…」
「弁当? ふむ……わかった、こっちに来てくれ」
足早に歩く山蔵に付いて行った先は調理場だった。
2人に気付いた板長がこちらに駆け寄ってくる。
「山坊っちゃん、梓嬢ちゃんどうされました?」
「あの…麓介に頼まれてお弁当を………」
梓の言葉に板長の顔がサッと青くなる。
「すみません、今この状態でまだ出来てないんですよ」
「急にお得意様がみえてな。で、弁当と言うのは?」
「はい、何でもご友人と食べるとかで…」
「なるほどな」
板長は困ったような顔でチラチラ調理場に目を向けている。
今話している時間も惜しいようだ。
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