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第33診:一年で一番憂鬱な日

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しばらく恥ずかしそうにしていた真哉だったが、クッションから顔を離すと真剣な面持ちで口を開いた。


「あ…あのさ、ちゃん」

「ん? どしたの?」

「前から聞きたかったんだけど…ハデス先生のこと、どう思ってる?」

「っ…!? ど、どうって………」


は少し目を泳がせると観念したように息を吐いた。
真哉のハデスに対する気持ちを知っているからこそ、真面目に答えなければと思ったからだ。


「好き………なんだと思う…」

「やっぱり…」


今度はがクッションに顔を埋めて言う。
そして、ゆっくり顔を上げると言葉を選ぶように話し出した。


「でもね…私、他にも気になってる人がいるの」

「えぇっ!!?」

「昔、事故にあった事は話したよね?」

獄狼ケルベロスの罹人になった時だよね」


は黙って頷くとさらに話を続ける。


「その時の衝撃でいくつかどうしても思い出せない記憶があるの」

「それって記憶喪失ってこと?」

「そんなとこかな。ほとんどは思い出したんだけど…気になってる人っていうのがその年の時によく一緒にいた人だと思う」

「で、でも好きだったかは解らないんでしょ?」

「うん。でも、大好きだったんだ…たぶん」


でなければ、夢の中であれほど自分が幸せそうな訳がない。
そして、おそらくその記憶がないのは愛癒マリアの"愛する者の記憶を奪う"力の為だから。にはそんな確信があった。


「本当はどう思ってるかは解らないけど…それがハッキリしなきゃ次に進めない気がするんだ。
でも、ハデス先生の側にはいたい…って贅沢だよね?」

「そんなことない!!」


困ったように笑うに真哉はブンブンと頭を振る。


「ありがとう」

「でも…ちゃんがライバルなんて……私、勝ち目ないなぁ」

「何言ってるの? ハデス先生の鈍さは見ててわかるでしょ」


その言葉に「それもそうだね」と返す真哉だったが、やはりには敵わないと思った。
だが、それで諦められる自分でもない。


「私は私で頑張ろう!」

「? …うん」


拳を握る真哉には首を傾げて頷いた。



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