第29診:閉ざした心開くのは…
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三途川は携帯を仕舞いながら席に着く。
「食事中にすまなかったね」
そう言って三途川は操に視線を向けた。
「操くん、向こうの準備ができたそうだ。明日出発する」
「!?」
「明日……早いですね…」
梓がそう呟いた後は誰も口を開くことはなかった。
帰り際、三途川の車に乗ろうとする梓の制服の端を掴んで俯く操に優しく微笑む。
「梓…」
梓が自分の名前を呟くと、操が弾けるように顔を上げる。
「私の名前。梓だよ」
「……梓…おねえさん」
「!!? 操くん……声が…」
目を丸くする三途川をよそに、梓はポケットから取り出したキャラメルを操の口にほうり込んだ。
「む……?」
「おいしい?」
その問い操はにこくこくと頷く。
「キャラメルを食べる度に私のこと思い出して……私は…」
更に梓は携帯で自分と操の写真を撮る。
「これを見て思い出すから。お互いが…お互いを忘れなければ、きっとまた会えるから」
「…はい………はい……」
大粒の涙を流す操を梓は強く抱きしめた。
ーーーーー
「しかし…凄いものだな…」
ユグドラシルを出発した車の中で三途川が呟いた。
「鈍くん達が数日かかってできなかった事を…たった数時間でいや、数分でやってのけた」
鈍と経一ができなかった事、それは操の心を開く事だった。
「操ちゃんは…たぶん、ずっと助けを求めてたんです」
「ほお……」
「操ちゃんが本当に欲しかったのは優しくされることじゃなくて、必要とされることだったんです」
だからこそ操は梓の言葉に反応を示したのだ。
「それにしても…別れ際のあのセリフ。よく出てきたな」
「ああ、あれは…昔、誰かに言われたんです」
「誰か……?」
「はい。とても大切な思い出のはずなのに……どうしても思い出せないんです。
きっともう、会えないんでしょうね……」
寂しそうに笑う梓の頭を三途川はくしゃくしゃと撫で付けた。
「わ!? な、何ですか?」
「きっと会えるさ…」
「……ありがとう…ございます」
梓は潤んだ瞳をごまかすように下を向いた。
.
「食事中にすまなかったね」
そう言って三途川は操に視線を向けた。
「操くん、向こうの準備ができたそうだ。明日出発する」
「!?」
「明日……早いですね…」
梓がそう呟いた後は誰も口を開くことはなかった。
帰り際、三途川の車に乗ろうとする梓の制服の端を掴んで俯く操に優しく微笑む。
「梓…」
梓が自分の名前を呟くと、操が弾けるように顔を上げる。
「私の名前。梓だよ」
「……梓…おねえさん」
「!!? 操くん……声が…」
目を丸くする三途川をよそに、梓はポケットから取り出したキャラメルを操の口にほうり込んだ。
「む……?」
「おいしい?」
その問い操はにこくこくと頷く。
「キャラメルを食べる度に私のこと思い出して……私は…」
更に梓は携帯で自分と操の写真を撮る。
「これを見て思い出すから。お互いが…お互いを忘れなければ、きっとまた会えるから」
「…はい………はい……」
大粒の涙を流す操を梓は強く抱きしめた。
ーーーーー
「しかし…凄いものだな…」
ユグドラシルを出発した車の中で三途川が呟いた。
「鈍くん達が数日かかってできなかった事を…たった数時間でいや、数分でやってのけた」
鈍と経一ができなかった事、それは操の心を開く事だった。
「操ちゃんは…たぶん、ずっと助けを求めてたんです」
「ほお……」
「操ちゃんが本当に欲しかったのは優しくされることじゃなくて、必要とされることだったんです」
だからこそ操は梓の言葉に反応を示したのだ。
「それにしても…別れ際のあのセリフ。よく出てきたな」
「ああ、あれは…昔、誰かに言われたんです」
「誰か……?」
「はい。とても大切な思い出のはずなのに……どうしても思い出せないんです。
きっともう、会えないんでしょうね……」
寂しそうに笑う梓の頭を三途川はくしゃくしゃと撫で付けた。
「わ!? な、何ですか?」
「きっと会えるさ…」
「……ありがとう…ございます」
梓は潤んだ瞳をごまかすように下を向いた。
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