元の状態に戻った操はすぐさま梓に近寄りその首を締め付けた。


「も…やめ……操ちゃ…ん。この、ままじゃ……」


操がさらに力を込めると、その腕から血が吹き出した。
驚いた操は手を放し不思議そうに首を傾げている。


「う…ゲホッ」


閉まっていた気管が拡がったことで大量の空気が入る。


「大丈夫！？」

「は…い…」


駆け寄ってきたハデスは梓の身体を壁にもたれ掛からせる。

朦朧としながらもなんとか返事をするが、目の前の光景をどこか遠くに感じていた。



助け…なきゃ…

　 ダメだ

でも……

　 放っておけ

助けたいの……力を………貸して！！



バズッ



突如響き渡った轟音に梓は意識を浮上させた。
目の前には先程よりもボロボロになった操と黒髪のハデスの姿があった。


「"冷血（クルエル）"捕獲完了……」


声の方に視線を向けると抽出銃（サンプリングガン）を手にした鈍が立っていた。
冷血（クルエル）の抜けた操の身体から力が抜ける。


「！！　いけない、意識が…」

「操！？　おい！！　操！」


操の髪の毛が黒く戻っていく。


「鈍ちゃ～～～～ん、もうイヤだ帰ろうぜ…ここ暗いしカビ臭いし、怖ェんだよ～～」


鈍は足に縋り付く経一を踏み付けた。


「触んないで役立たず。ったく情けないわね…大の男が２人も揃って……」


梓は黒髪のハデスを見る鈍の瞳がわずかに潤んだのを見た。


「鈍…それは…」

「……ふふ…ラッキーよね～～～
捕まえちゃった……わたし達が…喉から手が出る程欲しかった…あんたの病魔…！」


ハデスは緊張の面持ちで鈍を見つめる。


「はっ…なんて顔してるのよ」


鈍は抽出銃を構え直す。


「２発目よ。肩…イッちゃったら責任取ってよね～～～……」

「鈍…！！」

「"冷血（クルエル）"、抽入！！」


そう言うと鈍はハデスに向かって引き金を引いた。



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