だがそれを整形（スタイルアップ）は嘲笑う。


【バカバカしい…それができれば苦労はないよね、ジェニファー？】

【まったくよね、ボビー！
ガンバったってどうにもならない奴をどうにかしてあげちゃうのがボビー＆ジェニファーのプログラムなのよ】

「そ…そうだよ！！　あたし…どうしてもヤセたいんだぁ。
男の人や…あんたみたいなヤセてる人にはあたしの気持ちなんかわかりっこないよ！！」

「宗方さん……」


涙目で声を荒げる量にハデスは為す術もない。


「こんな珍妙な体にされてまで細せーほうがいいってのかよ。どうかしてんじゃねーのか」

「……彼女にとってはそれだけ深い悩みなんだろう。他人が量っていいものではないよ」


どうしたものかと悩んでいると、伸が静かに口を開いた。


「美作くん、本好くん、ごめん…」

「！　宗方…！？」


伸は本好特製の"中敷き型 身長増伸器"入りの靴下を脱ぐと、顔に怒りを滲ませて量を睨みつけた。


「ふざけんな！！　何が"どうしてもヤセたい"だ」

「し…伸ちゃん……」

「それでお前が毎日やってることはなんだよ！？　ダラダラして、好きなだけ食べて、ゴロゴロ寝てるだけじゃんかよ！！
僕は身長伸ばすために色々努力してるって言うのにさぁ…」

「うっ…だ…だってぇ～～…ダイエット辛いんだよ～～～」


梓達は呆れつつも事の成り行きを見守るしかできない。


「僕はチビだよ。チビな自分がイヤだし…すごく気にしてる。でも、逃げないぞ！！」

「う…うううう～～～っ……」

「ハデス先生！　あれ…」


量はガクリと肩を落とすと、元のぽっちゃりな体型に戻った。


【！？　リョー！？】

「……気持ちが落ち着いたら保健室においで。
少なくともそこの２匹よりは…まともな減量の相談相手になれる自信があるからね」

「私もダイエットメニュー考えてあげるよ」

【ｏｈ…ｍｙ…ｇｏｄ…！！】


冷血（クルエル）が整形（スタイルアップ）を咀嚼する。


「一件落着」

「してないけどね…まだ…」


藤の言葉につっこむアシタバの後ろには、バランスの悪い美作、本好、才崎が立っていた。





ーーーーー

後日、前日に食べた物のリストを持った量が保健室ににやってきた。
おおよそダイエットを考えているとは思えない食事量にしばしの間、ハデスと梓の動きが止まる。


「よし…じゃあ、これと…これと、これを明日から我慢して。少しずつ頑張っていこうね…」

「あと…ジュースはやめてお茶とかお水にした方がいいよ。どうしても我慢できない時は炭酸水にするとか…」

「う…は、は～い」

「ズルしたらすぐにチクってやるかならな！」


ようやくやる気をだした量に伸も嬉しそうにしている。

そして帰り際に発した｢ハデス先生って顔コワイけどやさしいよね｣発言に一人焦りの色を見せる真哉だった。





To be continued...