昼休み、アシタバ達は保健室の扉を開けて固まった。
そこには普段の白い肌は青白く、どんよりした顔のハデスが立っていたからだ。


「怖っ！！」

「どうしたんだよ先生…いつものホラー顔がいつにもましてホラー顔だぞ」

「私も朝見てビックリした…」

「ああ…いや、ちょっと寝不足なだけだよ。今から来週が楽しみでね……」


ハデスの言葉に首を傾げるアシタバ達だったが、梓には１つ心当たりがあった。


「ヒント①、みんなにも関係があります。
ヒント②、先生が大活躍します……
ヒント③、お楽しみがたくさん…」

「え～…なんだろう。町内仮装大会とか…？」

「あ！　わかった」


答えが判らず悩むアシタバの隣で藤が声をあげた。


「ねぶた祭」

「超大役じゃん」

「残念…どれも外れです。……っていうか皆、行事表とか見ないのかな…？」


美作やアシタバは内容を覚えておらず、藤にいたっては行事表自体を捨てていた。
残念そうにするハデスが少し不憫に思えた梓が答えを出す。


「健康診断。ですよね…？　何でクマができるのかは判らないですけど……」

「その通り！　さすが梓さん」

「くっ…くだらねぇーーー!!!」


梓の言葉に見せた笑顔は美作の一言で瞬時に青ざめる。


「な…なんてこと言うの。一年のうちでこれほど養護教諭が活躍するイベントも中々ないって言うのに…」

「まあ、授業ないのはラクでいいけどよ―――」

「先生、俺の診断書テキトーに埋めといて」

「それでハデス先生、夜遅くまで一体何してるんですか？」


健康診断と寝不足の関係性が判らず尋ねる梓に、ハデスは自信満々にとんでもない答えを返した。


「いい機会だからみんなの顔と名前を覚えてしまおうと思って……」

「全校生徒のですか！？」


こうして活躍を楽しみにする者、身長の高さ低さを気にする者、体形を気にする者などの様々な思いを乗せ健康診断当日を迎えた。



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