真哉に駆け寄るとその隣にはアシタバがいる。


「今日はどうしたの？」

「ハデス先生がデートするってウワサがあったのよ！」

「で…なんで僕も一緒なの…」


隣に立つアシタバは少し青ざめている。


「一応、藤くんも誘ったわよ！　でも今日は仕事で疲れたって言うから…」

「たいして何にもしてないけどね……」

「藤くんは通常運行でもきっと来ないと思うよ…」

「なによー梓ちゃんとアシタバくんだって少しは気になるでしょ！？」


まあ少しは…そう思いながら梓がチラリと眼を向けた先には、才崎と楽しそうに会話をしているハデスの姿があった。

ただし、デートと言うにはハデスは白衣、才崎はジャージのままだが。
そうこうしているうちに２人はレストランへと入っていく。


「私たちも行くわよ！！」


一番奥に座るハデス達からメニューで顔を隠すようにしていると、ウェイターがやってきた。


「鏑木さん注文だって」

「いらない」

「えぇっ！？」

「アシタバくん、カフェオレでいいかな？　みっつお願いします」


ハデス達に視線を戻すと、顔を赤らめた才崎が口を開いた。


「……あのハデス先生。実は…今日お呼びしたのは、あなたに…どうしても伝えたいことがあって…
はっ…ハデス先生…私…！！　ずっと前から…あ…あなたに…」


告白にしか見えないシチュエーションに真哉の手が震え出す。


「鏑木さんこぼれてる、こぼれてる盛大に！！」


真哉の姿に苦笑いしながらもハデスに視線を戻すと、運ばれてきたスープを口にしていた。
すると、才崎の動きが止まったかと思えば突然ハデスにスープ皿を投げつけた。


「いやらしい!!!　こっ、公共の場で何を考えてるんですか！！　あなたはそれでも教師ですか！？
不潔です！　最低です！！　幻滅です!!!」

「えっ…！？　なっ…何故…」


訳が分からずハデスはオロオロとしている。


「あの…僕何か気に障ることでも…？」

「とぼけないで下さい。私の目の前にはあなたしか居ないんですよ！！　あなたしか……
やっ…安田くん!!？」


なぜかハデス達のテーブルの下からトラブルメーカー"安田"が現れた。


「ご…ごめん、みのりちゃん……気ぃ利かせたつもりだったんだけど…」

「ったく、余計なことすっからだ！」

「つまらん幕引きだったな」


ここまで騒ぎになるとバレるのも時間の問題だと思った梓達も顔を見せる。



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