第20診:麓の言い訳
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その夜、紫藤から話を聞いた山蔵の怒号が響いた。
「正座!!! あれだけ人様に迷惑をお掛けして何も覚えとらんとは何事だっ!!
すべて思い出すまで寝かさんぞ!!」
「だから覚えてねーモン思い出せるかっつってんだろクソハゲ。なんかすげー変な夢見た気はすっけど…
あっ、お婆助けて!!」
「反省しろ、馬鹿者!!!」
そう言い残し山蔵は一旦部屋を出ていく。それを見計らって梓は静かに障子を開けた。
「麓介?」
「うわっ!? なんだ梓かよ……」
藤は慌てて起こした身体を再度横たわらせた。気まずい空気が流れたが、梓は気にせず口を開く。
「麓介、あんたに1つ教えてあげる」
「はあ? んだよ……」
「これはね、麓介のお父さんとお母さん、それに私のお婆ちゃんとか1部の人しか知らないんだけど……」
梓は一度息を大きく吸う。
「私ね……お父さんとお母さんの本当の子供じゃないの」
「……………はあ!!?」
大きく開いた目を瞬かせる藤に梓は病魔の事は伏せたまま、あの事故の日の出来事を話した。
「なんで…今まで……」
「今まで黙ってたのは周りにそんな顔させない為だよ」
周りが気を使えばそれだけ梓の悲しみは残ってしまう。それならいっそ、誰も知らない方が良いのでは……と言うのが大人の意見だった。
そして幼かった梓もそれを受け入れた。今の両親を本当の両親と思う為に。
「麓介には血の繋がった家族がいる。それは絶対に敵じゃない。それだけは覚えておいてね。じゃあ私そろそろ帰るから」
梓は障子に手を掛けたが、「あっ…」と声を漏らし振り向いた。
「今の話、皆には内緒ね。あと、絶対気を使ったりしないでよ!!」
それだけ言うと梓は紫藤を後にした。
暗くなった道を一人で歩いていると、獄狼 が姿を現す。
【随分とスッキリした顔をしているな……】
「そう? ……ねえ、お腹すいちゃった。早く帰ろ」
【…………ああ…】
その後何を話すでもなく、一人と一匹は心地好い風を感じながら家路を急ぐのだった。
To be continued...
「正座!!! あれだけ人様に迷惑をお掛けして何も覚えとらんとは何事だっ!!
すべて思い出すまで寝かさんぞ!!」
「だから覚えてねーモン思い出せるかっつってんだろクソハゲ。なんかすげー変な夢見た気はすっけど…
あっ、お婆助けて!!」
「反省しろ、馬鹿者!!!」
そう言い残し山蔵は一旦部屋を出ていく。それを見計らって梓は静かに障子を開けた。
「麓介?」
「うわっ!? なんだ梓かよ……」
藤は慌てて起こした身体を再度横たわらせた。気まずい空気が流れたが、梓は気にせず口を開く。
「麓介、あんたに1つ教えてあげる」
「はあ? んだよ……」
「これはね、麓介のお父さんとお母さん、それに私のお婆ちゃんとか1部の人しか知らないんだけど……」
梓は一度息を大きく吸う。
「私ね……お父さんとお母さんの本当の子供じゃないの」
「……………はあ!!?」
大きく開いた目を瞬かせる藤に梓は病魔の事は伏せたまま、あの事故の日の出来事を話した。
「なんで…今まで……」
「今まで黙ってたのは周りにそんな顔させない為だよ」
周りが気を使えばそれだけ梓の悲しみは残ってしまう。それならいっそ、誰も知らない方が良いのでは……と言うのが大人の意見だった。
そして幼かった梓もそれを受け入れた。今の両親を本当の両親と思う為に。
「麓介には血の繋がった家族がいる。それは絶対に敵じゃない。それだけは覚えておいてね。じゃあ私そろそろ帰るから」
梓は障子に手を掛けたが、「あっ…」と声を漏らし振り向いた。
「今の話、皆には内緒ね。あと、絶対気を使ったりしないでよ!!」
それだけ言うと梓は紫藤を後にした。
暗くなった道を一人で歩いていると、
【随分とスッキリした顔をしているな……】
「そう? ……ねえ、お腹すいちゃった。早く帰ろ」
【…………ああ…】
その後何を話すでもなく、一人と一匹は心地好い風を感じながら家路を急ぐのだった。
To be continued...