デートのススメ
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今日も今日とてヘルサレムズ・ロットは剣呑に平穏だった。スペーシスザグザック教がミサと称した魔術式爆破テロを起こしたりギガフトマシフ伯爵が放ったくしゃみがビル二棟を倒したりと毎度お馴染みのニュースが飛び交う中、街頭モニターが突如として切り替わった。
『ご機嫌よう諸君、堕落王フェムトだよ』
「またかよ」
「今月は多いですね」
辟易したように呻く斗流兄弟弟子を尻目に、結理も盛大にため息をつきながらペンを置いて立ち上がった。今日中にもう少し書類を減らしたかったが、それは無理そうだ。
「先行します。ひとまず四番街方面から潰していきますんで」
「ああ頼む。ザップはレオナルドと、ツェッドはチェインと探索にあたってくれ」
「はい」
「うっす。おら陰毛!何ぼさっとしてんだ行くぞ!」
「あ、はい!」
慌てて返事をしてから、レオはモニターを一瞥して気付いたことを口にした。
「堕落王、最近ずっとあの髪飾りつけてますよね」
「はあ?お前よくそんなこと覚えてんな!」
「確かに、服装を変えてもあの髪飾りだけは着けていますね。最近のお気に入りといったところでしょうか?」
レオに同意の言葉を返してから、ツェッドは視界の端に捉えた少女の方を見て、怪訝そうに首を傾げる。
「結理さん?どうかしましたか?」
「っ!べべべべ別に!!?そ、それより早くあの馬鹿堕落王どうにかしないとでしょ!!」
明らかに動揺した様子で返した[FN:結理]は、誰かが何かを言うより早く窓から外へ出ていった。何となく疑問の空気が流れたが、現在ばらまかれた事態の収拾が最優先と判断した面々はそれぞれの持ち場を目指して行動を開始する。
(成程、お嬢さんからの贈り物か)
それが反撃どころか隙をつく手札にもならないから厄介な相手だよなあと独りごちた言葉は、誰にも届くことはなかった。
end.
2018.11.28
2024年11月3日 再掲